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公開 2021年01月13日  

冬休みに感じた、子どものエネルギー。親の声をかき消すレベルの、魂の勢い。

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長期休みをひとつ乗り越えるたびに、魂と肉体のレベルが上がっていくと思うことにしています。

子育てが終わる頃には、隕石から地球を救えるくらいに、なってるかもしれない。


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この冬休みが、とんでもない難所だった。

私はものすごくよく頑張ったし、とてもよく努めた。


まず、末っ子のイヤイヤスパートがものすごかった。

なんなの。

確かに、長女も長男も4歳手前にそうとう面倒な時期があったのだけど、末っ子はそれをはるかに凌いでいる。

溺愛してきたはねっ返りなんだろうか。とてつもない。


長女以外(なんでなんだろう)の、すべての人に当たり散らす狂犬と化しているのが、今の末っ子。



「持ってきて!!」と、ただ怒り散らかすだけで、なにを持ってきてほしいのか言わないとか、少し注意すれば「ママ悪い!!」やら「ママこわい!!」やら、泣き散らかす。

踵のあたりの靴下のおさまりが悪いとか、ママがお返事しなかったとか、このコップじゃいやだったとか、もっと牛乳たくさん入れてほしかったとか、よくもまあ、そこまでクレームのつけようがあるものだよね、と思うばかり。

知能の発達と言語中枢の発達って目覚しいな、今度はそれら鬱憤と、折り合いをつけることを学ぶんだよね、そういう道筋、知ってる、うんうん、って見守る姿勢と強い心で気張っていたんだけど、ここにまさかの反抗期なのかな?6歳が、全身から不満を噴出させていたから、もう。



活発な長男に、冬の長期休みはストレスでしかないらしく、はっきりとイライラしていた。

「なんかわかんないけど、イライラする!!!!」とまで言っていた。

言葉にできて素晴らしいね、と思う反面、でどうしたらいいの、と途方に暮れた。


田舎に暮らしているので、お庭がうんと広いのだ。

そう、お庭を走っておいで、と促すのだけど、いったんイライラしてしまうと私の話なんて聞きたくないらしい。

すごい形相で突っぱねられた。ひどい。

では、ほらあれ、時代はアンガーマネジメントですよ、とアンガーについて、柔らかくかみ砕いた絵本を読んでやったりもしたんだけど、焼け石に水でしかなく、その場でそれらしく頷いたきり、やはりイライラしていた。

公園に行こうと言えば、半袖で行くと言い張って、構わないよ、と外に出れば寒いと怒り、では上着を着たらと促せば、袖の収まりが気に入らないらしく、ぷんすかぎゃーすか忙しかった。

公園が遠い。

あげく車で行くだの、末っ子のストライダーをよこせだの、喚き散らして面倒が過ぎて、ああもう二度と公園には行きたくない、こんなの何かしらのトラウマになってしまうと、心底思った。


右から左から、腹に背中に顔面に、パンチをくらって、よろよろ立ち上がろうとしているところに、また蹴りをくらうような日々だった。



さてさて、冬休みの後半戦に入ると、短い冬休みを経て、息子のサッカー教室がひと足早く始まった。

大好きなコーチやお友達にも会えて、体もうんと動かせて、ここを境にようやく息子のストレスは発散されたらしかった。

コロンとご機嫌になって、胸をなでおろした。

…んだけど、あまりにつかの間だった。

ご機嫌になった息子を筆頭に、全員が結託して手に負えなくなった。


どういうことかと思われるかもしれない。


ご機嫌で、エネルギー満タンになった息子は、終始ふざけ倒した。

お尻を出したり、なんだかよく分からない替え歌を歌ったり、外では言えないようなワードを、叫び散らしたりしていた。

姉と妹はそれにゲラゲラ笑って、笑って、笑って、みんなでとんでもなくハイになって、そう、こうなると誰も私のお話を聞いてくれない。


車に乗り込んで、さあ、シートベルトとチャイルドシートを、と運転席から後部座席を振り返ったら、なんか知らんけど3人のうち2人が靴下を脱いで、狭い車内をうろうろしている。

ちょっとなにごと、とりあえず靴下はいてほしいし、ちゃんと着席してほしい。

すぐに着くから、靴下ちゃんと履いてお靴も履いて、そして着席の後、カッチンしてしてちょうだい、と言ったって誰も聞いてない。

なんだかよく分からないことを言って、ゲラゲラ騒いでいる。

息子が、高めのテンションで何かしらを高らかに叫ぶと、まるでそれが合図みたいに、祭みたいな騒がしさになる。


晩ごはんですよ、お座りしてね、お座りしてね、座って、座ろう、ね、でようやく座ったかと思ったら、息子の口からとんでもないワードが飛び出したのをきっかけに、ああなんてこと、お祭り騒ぎが止まらない。

止めて、ごはん中だよ、こら、ねぇ、ごはんの時間、もういい加減やめよう、聞いてるの?!こら、ね、と言ったところで、もちろん誰も聞いてない。

3人分の大歓声に、すべてかき消されてしまう。

私の声帯がかわいそう。

かわいそうで不憫。



息子の第一声が、姉妹にはとんでもない影響力があるらしく、彼がひとこと「ねえ!」と叫んだら、そこからなし崩しだ。

いったん総崩れすると、どうやらママなんてへでもないらしい。

上がり切ったテンションが、すべてかなぐり捨ててしまうのかしら。

お願いだから、そんなところでリーダーシップを発揮しないでほしい。


3人してものすごく楽しそうで、けたけた笑って、そこだけの静止画なら、きっと飛び切りの眩しい1枚になると思うの。

なんだけど、私ひとりが口パクみたいなお説教を繰り出しているこの現象、端的に言って崩壊。


ご機嫌であれ、不機嫌であれ、エネルギーの塊を全身で受け止めて暮らしていると、心身ともにとっても疲労した。



前半戦は、イヤイヤ期と反抗期の袋叩きだったし、後半はまるで学級崩壊の様相だった。

子育て9年生だけれど、何年かに1度、今なかなかの難所だなと思う時期がある。

この冬休みは、まさにそれだった。

久しぶりに子育てって超むずいね、と思った。


冬休みが始まる少し前、みんなずいぶんお姉さんお兄さんになって、私も楽になってきたなぁ、と思ったのはなんだったんだろう。

嵐の前の静けさだったのかしら。

こんなに精神を試されて、いったい私はどこへ向かうんだろう。

このままいくとそのうち、なにかしらのえらい人になるんじゃないかしら。

それとも100年後くらいに、石碑とか建ってるのかな。

そのときはぜひ、口パクで叫んでるところでお願いしたい。


※ この記事は2024年10月18日に再公開された記事です。

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