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公開 2021年01月26日  

ついやっちゃう「怖いモノ」で脅かす戦法。育児に「絶対」がなさすぎる

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我が子につい繰り出す「こわいのが来るよっ!」
それは一体何か、分かりやすくオバケなのかそれとも。
3人いれば3人分違う、ウチの子のコワイものの話。


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注意警告効果なし

「お願いだから、それは絶対やらないで」

という注意警告を、私は子どもに素直に聞いてもらえたためしがない。

今、長男が11歳、長女が9歳。
言葉全般を特に問題なく操って理解できる年頃の2人の子ども達さえ、苛烈なきょうだい喧嘩を始めると、最初の内は止めなさいよ、どっちかが泣くことになるんだよと柔らかく注意しているけれど結局、全然言う事を聞いてくれなくて

「お母さんがやめろって言ったら、それは止めろって意味なんだよ! 」

オラオラお前たちいい加減にしないかと、アイドルの握手会の剥がしよろしく小学生2人の襟首をつかんで引き離さないといけない。

だから3歳の末っ子、次女なんか言うに及ばず。

親のいう事、特に「これはやっちゃダメよ」という注意なんか、全く聞く耳を持ってくれない。

だからつい、使ってしまうのが

「怖いのが来るよ!」

これ、児童の精神発達とかその界隈ではどう言われる類の事なのか、あまり褒められた方法ではないような気もするけれど、とにかく今、絶対それだけはやめて、命に係わるからという事をやっている時はつい使う。

そしてその「怖いもの」は同じ親から生まれたきょうだいでも、全然バリエーションが違ってなかなか興味深い。

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長男がコワイもの

長男は、歩き始めた1歳児の頃から3秒後の動きの見えない子だった。

3秒目を離した隙に、器用に台所の流し台の引き出しを開けて、キッチンばさみを持ってニコニコしていた猟奇的な1歳半時代。

帰省していた実家の玄関で、私が少しもたついている隙に庭に駆け出し、実家で飼っている柴犬のお外用の犬小屋を占拠した、瞬間移動可能なエスパー2歳児時代。

3歳の頃はもう何をしたか、ここに列挙する事が出来ない位の量だ。

それ位目を離せない子どもだった。

ママとのお約束事項が毎日増え続けて立派な本になる位の恐ろしい子ども。

だから私は毎日ひたすら長男に

「あのね、ハサミは危ないから持っちゃダメ、ワンちゃんの家に入ったらワンちゃんが嫌がるからダメよ」

そういう事を呪文の如く唱え続けたが、まあ聞いちゃいなかった。

この子は今も昔もはっきりと

「イヤダ!」

とは言わない、でも無言で従わない、お客様そういうの困ります。

それで、触って欲しくない場所、刃物なんかがある棚には、100均によくある赤ちゃん用の鍵をかけるついでに、某絵本で有名な寝ないオバケのイラストをプリントアウトして張り付けた。
確か2歳の時だ。

友人がウチの子はこれが怖いと言って近づかないんだよと言ったからだ、持つべきものはママ友、有益な情報をありがとう。

そしてそのオバケを家の「触るな危険」箇所、そこかしこに貼って数時間、長男はすべてのオバケを綺麗にはがして、全部齧ってくれていた。

この長男は当時そういう細かい作業の匠だった。

ありがとう匠、家をきれいにしてくれて……。

じゃあなんだったら怖くて言う事を聞くんだよと思っていた時、地域の子ども支援施設のイベントで豆まきがあってそれに参加し、息子はそこにいたどう見ても、施設の保育士さんがお面をかぶっているだけの鬼が

「怖いいぃ~」

と言ってひっくり返って泣いたのだ。

生まれて初めての鬼、と言っても保育士さんなのだけれど、それに慄いて部屋の隅に一目散に逃げる長男、可哀相にそしてこれは使える。

その日から

「イヤ、鬼なんかいてへんやろ」

そんな風に冷静に突っ込みが入る児童期まで、鬼の皆様には大変お世話になった。

あの当時は鬼から電話を貰えるというアプリがこの世に存在していたけれど今でもあるのだろうか、それも、勿論持っていた。

長い刃物が大好きで、隠しても隠しても私の刺身包丁を探し出して握ろうとする長男の命を守ったのは鬼だ。

昨今は流行りの漫画とアニメの中でひたすら斬られている鬼の皆さん 、当時は大変お世話になりました。


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長女は無駄に怖がり

それで、鬼は長女にも有効だったかと言うとそれがそうでも無くて、この子はあのイタリア歌謡『フニクリフニクラ』の音程で歌われる鬼のパンツはいいパンツで歌い踊るのが大好きだったからなのか、その理由は定かではないけれど、鬼に対して割と好意的だった。

平たく言うと、豆まきの日に全然怖がってくれなかった。

でも、この長女というのが、兄である長男とは全然違って、少し目を離したからと言って、目視できない程の俊敏な動きで瞬間移動して水たまりに突然飛び込むとかそういう事をしでかすタイプではなかったので、コワイものを引き合いに出してこちらの言う事をきかせる必要は、そこまでなかった。

ただ、別に怖がらなくていい物が怖かった。

例えば、子ども達が大好きなEテレのお人形のガイコツを思わせるキャラクターが怖いと言って泣くし、小児科の先生も、歯医者さんも、転じて白い服の人を恐れるようになったのは2歳過ぎ、人見知りもあったのだろうけど、これには結構困った。

意外と世の中に白衣、白いユニフォームで働く人と言うのは多い。

カウンセリング化粧品のお店の白いユニフォームの人まで怖がる日が来たときには流石にこれはまずいのではと思ったものだ。

先方は美を売っているのであって恐怖対象ではないのですよ長女。

そんな風だから、幼稚園の夏祭り、今から6年前だけれど、その時初めてお化け屋敷にいった時は大変だった。

「おばけ、こわいよッ!」

恐怖のあまり、普段はとても穏やかな長女が逆切れしはじめて、入る前から教室の前で激怒し泣く始末で、中からお化け役の先生やバスの運転手さんが

「長女ちゃん、ホラホラ先生だよ~」

ネタばらしまでしてくれた。

それが年少児の時。

その後、年中、年長と同じように夏祭りには毎年お化け屋敷があったけれど、毎年入り口で怒り狂いそして泣き、先生に説得されていた。

そして何故か入らないという選択をしない。

それならせめて記憶してくれ、中の人がすべて関係者だと言う事を。

この長女は今でこそ、そこまでの臆病者ではないけれど、今だに自室のベッドで就寝する時

「1人が怖い」

と言って、あるだけのぬいぐるみをベッドに敷き詰めて寝ている。

絶対狭いと思うし寝づらいと思う、けど止めない。

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次女最強伝説

そして、今

「言葉は解するけれど、こちらの言う事は一切聞かない」

という態度を貫いて、鬼でもオバケでもなんでもいいからこの子を説得してくださいと思っている次女には怖い物が無い。

違う、あるんだろうけれど、一般に幼児が怖いと目されている物一切が全然怖くないらしい。

鬼も平気だし、オバケも全然怖くない、最近は「おばけなんてないさ」 の歌をマスターしてその態度に磨きがかかっている。

それ、居る事にしてくれないだろうか、そしてオバケを畏怖して少し位こちらの言い分を聞いてほしい、でもそんなことはしないらしい。

あとは幼児が大体怖がる予防接種と小児科医の類、これに関しては、少々持病のある次女はちょくちょく病院に行く機会があるので、病院の先生は

「センセイノトコ アソビニイコウ!」

多分友達だと思っているし、勿論痛いのは嫌いなので注射採血その手の事を忌み嫌ってはいるけれど、いざ接種採血の場に行くと泣くというより

「ヤメテッテ イッテルデショ!」

ブチ切れるのだ。

看護師さんから言わせると『相当気の強いタイプ』。

だから最近の私のこの次女を巡る一番の悩み

「なんでご飯を食べずにひたすらお菓子を欲しがるのか」

には解決の糸口が見つからない。

2~3歳の子でよくある事と思うけれど、ご飯を全然食べてくれなくて、それなのにおやつの時間は長男長女の分まで強奪して目の前にあるものを全部食べたがる、そして要求が通らないと泣く。

『ひとはお菓子のみで生くるにあらず』

そう思って毎回諭してみるけれどそんな事聞いてはくれない。

鬼もおオバケも、ビョウインのセンセイも注射も、それを動員した「そんなこと言うと怖いのが来るよ」は今一つ効果を発揮しない。

それで困り果てた私は、この前長男と長女に聞いてみた、岡目八目とはよく言ったもので、私は気が付かなくても、他のきょうだいから見ていたら、この次女の怖いものが何か見えているかもしれない、その怖い方によくよく諭してもらいたい、健康の為にそうお菓子を山盛り欲しがるのを止めてはもらえまいかと。

そうしたら、2人は口をそろえて言った。

「多分お母さんの事を怖いと思ってると思う!」

ありがとう、全然言う事聞かないわ。



※ この記事は2024年10月27日に再公開された記事です。

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