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公開 2015年05月21日  

子どもの見て学ぶ力を信じて。心と目は離さずに、手を離してみませんか

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入園して1ヶ月。幼稚園でお着替えやトイレがうまくいかず、朝行きたくない!というお子さまも多いのでは?そんな我が子を見て悩むママ・パパに、幼稚園で子どもたちが日々どうやって学んでいるのか、またその時、大人はどうするべきかをお伝えします!


入園して早1ヶ月。幼稚園でトイレやお着替えなどが思うようにいかないことで、「幼稚園に行きたくない」という子や「パパ~!ママ~!」と泣き叫ぶお子さまも多くなってくる時期かと思います。



保護者の皆様もそんな我が子を見て、「うちの子に、この幼稚園は合わなかったのでは?」「家ではトイレは完璧なのになぜ?」と、思い悩んだりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。



子どもは親が思っているよりも、園生活では不安でいっぱい。それは、いつも手伝ってくれたお父さん、お母さんがそばにいないからです。



しかしその不安を乗り越えることが、その子にとって「小さいけれど大きな一歩」となります。

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子どもには見て学ぶ力があります

保護者の皆さまの中で、自分がどうやってトイレや着脱の仕方を覚えたのかハッキリと思い出せる方はいますか?

…きっといないですよね(笑)



トイレを覚えるには、まずお手本を見て学ぶことが大切です。



以前働いていた幼稚園では、お家で一日に何回もトイレを失敗してしまう子がいました。しかし幼稚園に来てからは、どこで用を足せばいいのか、お友だちがするのを見て学び、すぐにできるようになりました。



一番目のお子さまと二番目に生まれたお子さまの育ち方の違いを見てもそれは明らか。二番目に生まれた子は、兄弟がやっていることの真似をするのが得意です。ですから「気がついたらいつの間にかできていた!」なんてことの方が多いのではないでしょうか。



衣服の着脱も同じで、子どもはまず、どうすればできるようになるのか?という「疑問」に直面する必要があり、「できなくて嫌だ」という気持ちを知らなければ次に進めません。その気持ちに立つことで、次にどうするのか?ということを学ぶわけです。焦って覚えなくとも、いつか必ずできるようになります。

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「できないからやってほしい」と我が子から言われると、つい大人は「子どもにやらせると時間もかかるし…」と手を貸してしまいがちです。でも…。



大人は手を貸すより手本となること。

子どもに観察させることが何より大切です。



今は高度な機械中心社会になり、2歳くらいの子が器用にスマートフォンを使いこなしている姿を目にします。「何も教えてないのに~」というご両親のお話を聞きますが、まさにご両親を見て学んでいる証拠ですね。



昔は虫の取り方なんて教えてもらわなくても、ミミズが土の中にいることは知っていたし、固い泥団子の作り方も見て真似して作っていました。私もよく楽しいことを探しに家の庭で遊んでいました。自然は子どもに色々なことを学ばせてくれる教室だし、遊び場でした。



そして周りには少し年の離れた近所のお友だちという「良い先生」がたくさんいました。

お友だちは「小さい先生」

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私がいた幼稚園にも職員以外に、年長さんのお兄さんやお姉さんたちという小さい先生たちがいました。大人はついつい周りと比較して、子どもができないことに注目してしまいますが、子どもはできるようになったことを実践したいし、周りに自慢したいという気持ちがあります。なので、できるようになったことはどんどん実践していきます。



ところが、もちろんうまくできないことも。



その「できなくて悔しい気持ち」を誰よりも理解してあげられるのも、お兄さんやお姉さんたちなのです。



私は年少クラスの子で着脱が上手くできない子がいると、年長さんを呼んで教えてあげるようにお願いしていました。そして教えてくれた年長さんには「ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、年少さんには「今度年長さんになったら、困っている子を助けてあげようね」と伝えていました。



そうすると、子どもたちは年長さんに憧れの気持ちを抱くようになり、着脱以外にも話す言葉や遊び方なんかを真似するようになっていくのです。

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幼稚園は学びの連鎖

うちの園では、5月には田植え実習教室に行きます。お米を育てる大変さを身をもって体験し、食べ物の大切さを学ぶためです。田植えに行ったことがある方はご存じかもしれませんが、田んぼでは思うように身動きが取れません。



そしてこの時期は天候にも左右されますが、ものすごく寒いです。子どもたちはTシャツに短パン姿で田んぼの中へ入ります。私達職員は「汚れるから入りたくない~」なんて言う子どもや「さむい~」という子、「虫がいる~」と叫ぶ子を抱っこして、泥へダイブです。



全身泥まみれになり、苗を植えるのですが、子どもが植えた苗は機械で植えるように均等にはいきません。でもみんなで声を揃え、一歩ずつ後ろへ下がりながら苗を植えていきます。そしてその後に待っているのが、「お風呂!!」



…ではなく、山の雪解け水が流れる用水路での体洗いです。まるで滝修行のような水の流れと冷たさに声を上げて泣く子が続出でした。正直、本当に冷たくて辛いです。



でも園長先生は「今ではどこでも買えるお米だけれど、農家の人達がこういう苦労をして育ててくれるからお米が食べられています。一粒残さず感謝しながら食べなさい」と言って教え聞かせてくれます。



子どもたちも、お米をつくる方々への感謝の気持ちと、食べ物の大切さを、身をもって知ることができます。帰りのバスの中で「今日からごはん絶対に残さない」という声も。そして「お父さんお母さんも連れて来てあげたい~」という子もいます。



学んだことを教えてあげたいという気持ちの表れですね。

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心と目は離さず、手は離す

子どもたちに求められる成長のスピードは年々上昇しているように思います。ご飯を食べられるようになったら次は字が書けるように。字が書けるようになったら、次は算数や英語ができるように…。



本当に現代を生きている子どもたちは大人から求められることに対して素直に対応していて、すごいなぁと心から思っています。

教育が向上しているからなのでしょうか?物覚えの早い子や要領の良い子が多くなった気がします。



一方、私は両親の話を素直に聞かない反対の行動ばかりしている子どもでした。2月生まれなので月齢的な差に対するコンプレックスも多少ありましたし、年の離れた兄弟に対し、強いライバル心を抱いていました。両親に言われた通りにできる姉と、言われた通りにしない妹。姉に負けるのが本当に嫌でした。



しかし、今振り返るとライバルの存在は自分を強くしてくれました。「教えて」と言いたくないし「教えるから聞いて」という両親に「もうできる!」と言って強がる私は、人の話を素直に聞かないので、たくさんの失敗を経験してきましたが、教えてもらわないなら見て盗むしかないのです。



その経験から、できるようになりたいと思うことに対しては今でも「見て学ぶ姿勢」で挑んでいます。一つひとつの失敗が今の私を支えてくれていると感じます。



失敗や挫折を経験しないで大人になってしまうのは、とても心配です。子どもには「考える頭」と「物事を見る目」があることに大人が気づくこと。そして、それをいかに小さいころから「子ども自身が使えるようにしていけるか」を大人が教えていかなければいけないのではないでしょうか?



それには、持論ではありますが、子どもが大人や「小さな先生たち」から学ぶ力を信じ、「心と目は離さず、手を離すこと(見守ること)」が一番ではないかなと思います。



「○○ができてえらいね~!!」という評価を与えるより

「○○ができるようになったの?やったね!!」と子どもの達成感と一緒に喜んであげて欲しいですね。



この「やった!!」という感覚を親子で共感できたら、子どもたちも最高だと思います!

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