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公開 2021年08月23日  

母からの、「言い返しなさい」の言葉が苦手だった。同じ想いを繰り返さないために

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負けん気が強い母と、先生に「感じやすい子」と評されていた私。
母にはよく強い言葉で発破をかけられ、萎縮してしまいがちでした。
大人になっても自分に自信がもてないなか、ある育児書の言葉が私に自信を与えてくれたのです。


負けん気が強かった母


「言われたらちゃんと言い返して来なさい」
「こんなこともできないなんて、悔しいと思いなさい」

私の母は負けん気が強く、よくこのような言葉を口にする人でした。

普段はとても愛情深く、優しく、頼りになる母なのです。

しかし、向上心が強く完璧主義というのでしょうか。

私がお友だちと言い合いになったとき、逆上がりがなかなかできなかったとき……

弱気ですぐ諦めてしまう私に対して物足りなさを感じているように、このような発破をかける言い方をしていたのです。

小学校の先生にも、「感じやすい、夢見る夢子さん」と評されていた私。

かろうじていじめられてはいないものの、主張の強い子には負け、花いちもんめでは最後のほうに残り……

お世辞にも学校生活をエンジョイするタイプではありませんでした。


やがて、私は学校で辛いことやショックなことがあっても、母には話さなくなりました。

できないこと、負けることに対して、私以上に悔しがる母の物言いが怖かったのです。

理不尽に怒られているなら反抗のしようもあったのですが、母の言うことは正論。

「悔しさをバネにして頑張ってほしい」

という母の熱い気持ちは伝わってくるのですが、悔しさよりも怖い思いが先立ってしまったのです。

そんな状態では「よし頑張るぞ」といったやる気も出てこず、ただ黙るしかないのでした。

成長するにつれ、私は自分に自信がなく、失敗をひた隠しにし、人に相談することのできない性格になっていきました。

「辛い時はひたすら我慢すればいい」という、諦めの感情に支配されていたのです。

そんななか、「自分が親になったら、子どもに寄り添い相談してもらえる存在であろう」と心に決めていました。


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一冊の育児書に出会って


そんな私も、32歳で出産して親になりました。

母は私よりもはしゃいで泣いて、大喜びしてくれました。

この頃になると私も大人になり、「この人は直情型なんだ」と母の性格を受け入れていました。

ただ、子どもの頃に誓った「子どもにとってなんでも相談できる親になりたい」という思いは胸に抱いたまま。

自分の性格に自信がなかった私は、もちろん子育てにも自信がなく、ネットで育児情報を調べ、新旧の育児本を読み漁りました。


そんななか、名作と評判の高い古い育児本を読んでいたとき、その内容の一部に衝撃を受けたのです。

「感じやすい子には、家では楽しい話をしてあげること」
「人間のなかにはデリケートな人がいる。世界を美しくしてくれるのはそういう人だ」

まるで雷にうたれたような気がしました。

「感じやすい子」と評されたときからずっと負い目に感じていたことを、一気に覆されたのです。

「『感じやすい心』で生きていってもいいんだ。むしろ世界を美しくできるかもしれないんだ」

と救われた気持ちは、今でも忘れられません。

これは、私が自信を取り戻すきっかけとなった言葉でした。

それ以来、私は自分の思考や判断に少しずつ自信がもてるようになったのです。


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娘の言葉にホッ…


娘は小学校に入ったあたりから、お友だちとのケンカなど、トラブルも話題に挙がるようになりました。

娘の話だけで判断するわけにはいきませんが、聞いてみると理不尽な言われようだったり、おかしなルールが押し通されたりしていることもあります。

親の立場となった今、確かにこれを聞き続けるのはずいぶん悔しいものだと、私の母の気持ちも理解できました。

それでも私は、まず悲しかったこと、悔しかったことを、口をはさまずにじっくり最後まで聞くようにしています。

「それは悲しかったね、悔しかったね」と共感してあげると、しばらく愚痴った後には

「明日もう一度話してみる」
「次はこう言ってみる」
「私も悪かったから謝る」

などの解決策が、子どものほうから自発的に出てくるように思います。


先日、娘がお友だちとのトラブルをひとしきり話したあとに、「悲しいことはママに相談するのが一番だね」と言って笑っていました。

私は心のなかで「ちゃんと信頼されている、良かった」とホッとしたものです。

これから年齢があがり、中学生や高校生になれば、より複雑な困りごとが出てくるでしょう。

共感だけでなく、親として時には厳しく、娘にとって耳の痛いアドバイスをしなくてはいけない場面も出てくると思います。

そんなとき、まず相談できる存在でありたい。

ママに話してもわかってもらえない、と思われたくない。

そう思いながら、じっくり話を聞き共感することを心がけているところです。


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※ この記事は2024年12月13日に再公開された記事です。

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