まずは何と言っても子宮・胎児の変化です。世界中の生物で、哺乳類だけが持つ子を宿す為の臓器である子宮。人間の子宮は、普段は拳大の大きさで重さも50g程ですが、妊娠後期になると約30cm、重さは実に1Kgにまで増大します。もちろん大きくなるのは子宮だけでなく、胎児も出生直前には3Kgもの重さになります。
また子宮内は胎児から産生される羊水で満たされており、おおよそ500〜800mlと言われています。合計すると、約5Kgもの重さが余分に母体にかかります。さらに子宮への血流は非常に豊富であり、妊娠後期の子宮血流量は毎分約1Lにも及びます。
これだけの大きさのものが腹腔内に存在するので、胃、膀胱や腸等が本来の位置から押し出され便秘や胃部不快感等様々な症状を呈します。
妊娠による体の変化を解説!私の身体は今どうなっているの?
5,090 View妊娠は本当に不思議な現象で、妊娠期間中はお母さんの体にも、とても大きな変化をきたします。なんでこんなに体調が悪くなるの?と悩んでしまうかたも少なくないはず。身体の状況が判れば気持ちが落ち着くかもしれません。今回は妊娠中に母体におこる変化について解説します。
子宮・胎児の変化
心臓や血液の変化
妊娠中は循環血液量が約1.5倍に増加します。増えた血液の性質は、やや赤血球が薄まっており、白血球が増加し、さらに通常よりも固まりやすいものになります。さらに増加した血液量を全身に送り出す心臓の仕事量も大きく変化します。
妊娠中の心拍出量は1,3〜1,5倍に増加します。そのため妊娠中は心臓の負担が増え動悸等も頻繁に認める様になります。さらに増加した循環血液量により、頭痛等の症状も来しやすくなります。
ホルモンの変化
さらに妊娠中は、多くのホルモン産生にも変化が表れます。
生理に関連するホルモンはもちろん、甲状腺機能も亢進しやすくなり、もともと甲状腺の異常を持っている妊婦さんは注意が必要です。
また血糖を下げる能力である、耐糖能にも異常を来しやすくなり、妊娠中に糖尿病の様な症状を呈す妊娠糖尿病という合併症を来す事もしばしばあります。妊娠糖尿病の多くは産後改善しますが、妊娠期間中のコントロールがあまりに不良な場合、産後に糖尿病に移行してしまう事もあり注意が必要です。
さらに妊娠初期にホルモンの影響でおこる代表的な疾患といえば、悪阻(つわり)があげられます。悪阻の原因は胎盤から産生される、hCGとういうホルモンが吐き気を誘発する事にあります。さらに悪阻は甲状腺機能が亢進してしまっている場合に重症化しますので、そちらにも注意が必要です。
腎機能の変化
妊婦さんは頻尿になると聞いたことはありませんか?実は腎機能や尿の変化も妊娠中の代表的な変化の一つなのです。
血液内に溜まった老廃物を尿細管でこして産生されるのが尿ですが、循環血液量の増加に伴い尿量も増加します。さらに大きくなった子宮によって膀胱が圧迫されることにより、頻尿や尿漏れといった症状も良く見られるのです。
まとめ
妊娠期間中は、胎児を育てる為に、様々な体の変化が起こります。そしてその変化の多くは、これまでの臓器により大きい負荷が掛かります。つらいと感じた時には、周りの人の助けを借りて、体調のコントロールをしっかり行うようにしましょうね。
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