我が家には小学校3年生の男女の双子がいます。
双子たちは保育園の年長の頃からピアノ教室に通っているのですが、先日、発表会がありました。
小学校1年生のとき初めてピアノの発表会を経験したのですが、発表会に向かって練習することや、大きな舞台での演奏を経験をすることでグンと成長する姿を見たので、2年生の発表会も楽しみにしていました。
双子たちの通う教室では、発表会は、自分たちが好きな曲を演奏できます。
娘は先生と話し合いの結果、クラシックな曲を。
息子はアニメ「鬼滅の刃」の映画主題歌を弾くことになりました。
娘はコツコツ練習を続け、少しずつ弾けるようになっていきました。
かたや息子は、普段のレッスン曲は練習するものの、発表会の曲に取り組む様子がありませんでした。
さすがにこのままいくと発表会で演奏するのは無理では?
そう心配していると、新型ウィルスの影響で発表会延期のお知らせが届いたのです。
本番に向けて一生懸命練習してきた子や、準備を進めて下さっていた先生方にとって、発表会の延期はとても残念なこと。
ただ正直なところ、私はそのお知らせを聞いてホッとしました。
そのときの息子の様子では、とても暗譜して演奏することなど不可能だと思っていたからです。
しかし、少し時間的な猶予ができてホッとしたのもつかの間。
やはり息子に練習する様子は見えませんでした。
口出しはしたくないけれど……さすがに、しびれを切らして練習するよう息子に声をかけました。
すると、その時は少し練習するものの、またすぐにやめてしまうのでした。
「このままのペースでは、延期になった日にも間に合わない……」
そう思っていると、ピアノ教室から二度目の延期のお知らせが届いたのです。
配慮を重ねつつ、発表会をどうにか開催しようと奔走してくださる先生方。
そんな先生方に感謝しつつ、かたや練習しない状態で発表会の舞台に立つことになりそうな息子を見て、どうしたものかと困り果ててしまいました。
私は息子とピアノの発表会について話し合うことにしました。
・ピアノ教室には自分で通いたいと言い出したこと
・発表会も自分で参加したいと言ったこと
・発表する曲は好きな曲を選んだこと
そんな話をすると息子は
「でも、今はこの曲より違う曲が好きなんだもん。もう練習したくない。やめたい」
と言いました。
二度の延期で、半年遅れとなった発表会。
自分の中で弾きたかった曲の旬が過ぎてしまったと……
それはたしかに一理ある。
けれど、そもそも最初から練習していなかったはず。
そんな話をすると、今度は
「本当に弾きたかったのはアニメ版の曲だけど、それは弾きたい子が多いから、映画版になった」
と。
確かに選曲のとき、本当はアニメ版の曲が良かったと息子が話していました。
それもあってなかなかモチベーションが上がっていなかったのか。
「でも、映画版の曲でもいいって先生と話して決めてたよね」
と続けると
「そうだけど、練習しろって言われたくない」
と言うのでした。
話し合いをしたことで、息子の言い分は理解できました。
理由は1つではなく、いくつかの息子にとっての小さな違和感が積み重なり、練習に気持ちが向いていなかったのです。
とは言え、発表会までは1ヶ月を切っていました。
理由は分かったけど今の息子の様子を見ていると不安になる、という話をした上で
「もう練習のことは言わない。そのかわり自分で発表会までに弾けるようにして」
と伝えると、息子は「分かった」と言いました。
そんな息子との話し合いの様子を見ていた娘が、私にこんなことを言ってきました。
「弾けない人に色々言われるのっていやなんだと思うよ。息子くんの気持ちもわかる」
発表会が近づく中、私や夫がヤキモキしている気持ちは息子にも、そして娘にも十分伝わっていたのでしょう。
なかなか練習しない息子と、それを見て困り果てていた私に、娘は助け船を出してくれたのかもしれません。
「そうか。分かったそれならば!」
と、私はその日から双子たちの発表会の曲を2曲練習することにしました。
私が練習をする。
双子たちも練習をする。
そんなことを続け、息子は自主的にピアノに向かうようになり、ラストスパートをかけていきました。
当初の予定から半年後。
厳重な感染症予防対策の中で発表会は開催されました。
例年は大きな会場で開催されるのですが、今年は小さな音楽室で、参加者と家族だけの小さな発表会でした。
娘は日々の練習の成果を発揮し、最後までしっかりと演奏しました。
1年生のときは、間違えるのが嫌だと練習のたびに泣いていたのが嘘のように、堂々と演奏することができ、成長を感じた数分間でした。
続いて息子。
話し合い後は自分なりに練習をするようになり、最後まで両手で弾けるまで仕上げてきました。
私が少し心配する中はじまった演奏は、終わってみれば最後までノーミス。
発表を終えた息子の顔は、緊張から開放されたのか晴れやかで、「ほらね、弾けたでしょ」と言わんばかりでした。
そして発表会の最後には、5回連続で発表会に参加した子どもたちに授与されるトロフィーを見て
「あれをもらうまで頑張る!」と言い出したのでした。
今回私は、発表会の練習に取り組まない息子の姿を見て
「ピアノは好きじゃないのかもしれない。『練習』を強制してまで続けることはないよな」
と思いはじめていたので、今回の発表会を機にいっそピアノを辞めてもよいのではと思っていました。
しかし、発表会を終えた息子はやる気満々。
子供の習い事は、何を選択するのか、誰に習うか、続けるか、辞めるか、その判断が難しいものだなと改めて感じた出来事でした。
これから先2人がどんな選択をするか分かりませんが、続けるも辞めるも子どもたちの選択として受け止めていきたいなと思ったのと同時に
目に見える行動だけで判断せず、今後も話し合いを重ねながら、親としてサポート出来るところはしていきたいなと思いました。