地震に備えるうえで自宅での被災を考えた対策も必要です。
特に寝室や子ども部屋は、自宅の中でも危険度が高い場所になります。
そこで今回は、寝室と子ども部屋に重点を置いた地震対策を紹介します。
部屋別!自宅の地震対策・寝室&子ども部屋編
1,415 View大地震は、いつどこで発生するか予想ができません。
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、倒れてきた家具の下敷きになって、亡くなったり、けがを負ったりした方が多くいました。
寝室と子ども部屋は地震による災害リスクが高い
地震発生時に、寝室や子ども部屋で多い被害は「家具の倒壊」です。
寝室は寝るための部屋です。人は就寝中には無防備な状態になります。
寝ている間に地震が発生すると、とっさに逃げられず、家具の下敷きになりやすいのです。
さらに、人の睡眠時間は1日の3分の1を占め、寝室は多くの時間を過ごす場所であることから、地震による災害リスクの高い部屋だといえます。
子ども部屋も、子どもの寝室を兼ねている家庭が多いことから、地震時に被害が発生しやすい部屋だといえます。
寝室の地震対策のポイント
就寝中に地震が発生した場合に、被害を受けるリスクを下げる工夫が必要です。
詳しく解説していきます。
大型家具の転倒リスクを下げる工夫をする
地震が発生すると、背の高いタンスや本棚などの大型家具が転倒する可能性があります。
就寝中に大型家具が転倒してきた場合に避けることはほぼ不可能です。
前提として、背の高い大型家具はできるだけ寝室に置かないようにします。
もし、どうしても寝室にしか置けない場合は、倒れた際に寝ている場所に当たらないような配置にします。
寝室に置くタンスは、なるべく背の低いものにしたり、ベッド下の収納を利用したりするようにしましょう。
本棚は重心が下に来るように、下段の奥行が上段に比べて大きい本棚もおすすめです。
また、しばらく読まない本は収納ボックスなどに入れて平置きし本棚のサイズを小さくすることで転倒リスクを下げられます。
家具はすべて固定する
寝室に家具を置く必要がある場合は、次にご紹介するような方法で固定して、家具の転倒や移動によるケガのリスクを減らしましょう。
寝室の家具の固定には、以下のような方法があります。
※商品情報や価格は2021年1月のものです
・L字型金具
建物と家具を直接固定するので、転倒やズレを防止する効果が高いです。
商品例
・転倒防止ベルト
家具と壁をベルトで固定する器具で、強度が高く取りつけも簡単です。
商品例
・つっぱり棒
賃貸住宅で壁に穴をあけたくない場合や、簡単に家具を固定したい場合にお薦めです。
商品例
・耐震マット
家具の下に敷いて家具の転倒やズレを抑える方法です。
L字型金具やつっぱり棒と併用すると効果が高まります。
商品例
ベッドや布団の近くに物を置かない
置き時計や小型スピーカー、ラジオなど、けがにつながるリスクが低い小物も、ベッドや布団など寝る場所の近くには置かないようにしてください。
地震によってそれらが落ちたり、猛スピードで飛んできたりすることもあります。
けがにつながりかねませんし、けがを免れても、散乱して避難の邪魔になる可能性があるからです。
また、地震によって窓ガラスが割れ破片が飛び散ることがあるため、ベッドや布団は窓からできるだけ離し、飛散防止として厚手のカーテンを引いておきましょう。
子ども部屋の地震対策のポイント
子どもの寝室としてだけでなく、勉強や遊びの場としても使用する子ども部屋には、ベッドや本棚、学習机、タンス、おもちゃなど、ほかの部屋と比べて物が多い家庭が多いことでしょう。
物の多い部屋は、地震発生時に物が転倒・移動して体に当たったり、散乱した物が避難の妨げになったりする可能性があり、災害リスクが高くなります。
そこで、子ども部屋の地震対策のコツを紹介します。
本棚の本を固定する
地震時に本棚の本が散乱して避難の妨げにならないように、本棚を固定するだけでなく、中の本も固定しましょう。
本を固定する方法のひとつとして、フック型の金具とひもを使う方法を紹介します。
本棚の一段一段にひもを水平に張り、本が飛び出してくるのを防ぎます。
① フック型の金具を本棚の各段の両端に取り付けます。取り付ける際の高さは、それぞれの段の中央にします。
② 本棚の幅よりも少し長めのひもを用意します。
③ ひもを左右のフックにかけ、とれないように結びます。
ほかにも以下のような落下抑制テープを貼って、本の散乱を防ぐ方法もあります。
商品例
ドアの近くに物を置かない
物を収納する際は、できるだけドアから離れたところに置きましょう。
ドアの近くに物が多いと、地震が発生したときに、散乱した物がドアを塞いでしまい、避難が遅れる可能性があります。
小物類は、上から蓋ができる収納ボックスや、引き出し型の収納ケースに入れてまとめておき、地震で散乱しないようにしておきましょう。
複数の収納ボックスを縦に重ねて置く場合は、上下の収納ボックスの間に滑り止めのシートを挟み、さらに背面のつなぎ目部分を粘着テープでしっかりつなげて固定しましょう。
落下・飛散しても危険性のないやわらかい素材の物を選ぶ
子ども部屋に置く小物は、落下しても危険性のないやわらかい素材を選ぶようにしましょう。
たとえば、おもちゃを入れるカゴなら、キャンバス生地など丈夫な布で作られているもの、時計なら紙製のものなどです。
やわらかくけがのリスクが少ないシリコーン素材もおすすめです。
特に、子どもの目線より上にある小物は、落下・飛散したときにけがのリスクが高まるので注意してください。
また、子ども部屋をチェックし、落下や飛散によるけがのリスクがある物を置いておく必要があるかどうか、あらためて考えてみましょう。
地震の災害リスクが高い寝室や子ども部屋を見直しましょう
寝室や子ども部屋は、1日の中で過ごす時間が長く、無防備な睡眠状態であることも多いため、家の中でも特に地震による災害リスクが高い場所です。
物をできるだけ減らし、家具は固定して転倒や移動のリスクを減らしましょう。
また、地震で物が散乱して避難の妨げにならないよう、日ごろから整理整頓を心がけることも大切です。
地震発生時にけがを負ったり、逃げ遅れたりしないためにも、寝室や子ども部屋の家具の配置や置いてある物を見直してみましょう。
<執筆者プロフィル>
田頭 孝志(たがしら たかし)
防災アドバイザー/気象予報士。
愛媛県在住。
不動産会社の会員向けに防災記事、釣り雑誌にコラム・特集記事を執筆。
BS釣り番組でお天気コーナーを担当。
自治体、教育機関、企業の防災マニュアル作成に参画。
講演も多数。
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