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公開 2021年09月04日  

災害時は子育ても過酷に! 体験談をヒントに備えを

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災害は子育て世代にも過酷な試練を与えるが、公的な支援策は十分とは言えない。
被災生活ではどんな困難が予想されるのか。
あらかじめ知っておき、できる範囲で備えを進めることが大切だ。


西日本豪雨で被災した親たちが訴えたこと


「嘔吐(おうと)、ぜんそくなど子どもの体調が次々に悪くなった。自分の精神状態も不安定で、つらかった」

「台所が浸水して調理できず、炎天下の校庭で1時間も並んで弁当をもらい、残りは弁当箱に詰めて、幼稚園へ行く子どもに持たせた」

「子どもが騒いで迷惑になると思い、避難所に行けなかった」


2018年7月の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備(まび)町の岡田地区で、まちづくり協議会が住民アンケートを行うと、子育て世代が苦しさを訴える言葉が、びっしりと書き込まれていた。


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写真説明:西日本豪雨で浸水した岡山県倉敷市真備町(2018年7月)

驚いた専門家が備えを冊子に


兵庫県立大や倉敷市立短大などの防災、育児支援の専門家がそうした実態に驚き、「災害と子育て研究会」を作って、備えや対処策を検討した。

その成果を2021年3月、「災害時の子育て」という小冊子にまとめた。

被災時のつらい体験談を紹介するとともに、事前に備えておく物や避難生活で困ること、子どもの様子が気になる時や親の心的負担が重くなった時に対処する際のヒントを伝えている。


Q.何を持って逃げればいい?

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Q.水が出ない時は、どうする?

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Q.子どもの様子が気になる時は?
いつもと違うのは、子どもが不安を訴えているサインかも

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幼稚園や保育園、学校が使えなくなると、子どもを一時的に預かってもらえるサービスが必要になる。

真備町では関係者の尽力で体制が迅速に整えられたが、情報が届かず利用できない人もいた。

そうした仕組みを事前に整え、子育て世代に周知しておくことも求められる。


◆浸水で使用できなくなった主な幼稚園、学校の再開状況

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我慢の実態が知られていない


子育て世代には次々と難題が降りかかるが、我慢を強いられて声を上げられない人が多く、実態が知られていない。

研究会メンバーの阪本真由美・兵庫県立大教授は「被災体験を共有し、改善策を社会全体で考える必要がある。

地域の人たちは、子どもたちを避難所で温かく見守るなど、助け合いの心を持ってほしい」と話す。


Q.ママ、パパの気持ちがしんどくなってきたら?

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自分への手当て(セルフケア)

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自治体が備蓄しているのは?


行政による乳幼児用品の備蓄にも課題がある。


災害で停電、断水が起きている時の授乳には、熱湯で溶かして使う粉ミルクより、開封してすぐに飲ませられる液体ミルクが便利だ。

常温で長期保存もできる。

しかし、日本では液体ミルクの販売が2019年に始まったばかりとあって、公的備蓄はまだ進んでいない。


◆全国自治体における乳幼児用品の備蓄状況

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自治体による備蓄は補助と考え、必要な物は各家庭で準備しておくほうがよい。

紙おむつと消臭処理袋、ウェットティッシュは3日分以上を用意しておきたい。


アレルギーに配慮した食事も避難所にあるとは限らず、自前での調達が欠かせない。

避難所での炊き出しは、原因食物が使われていないか、確認が必要だ。

日本小児アレルギー学会は、胸に「○○アレルギーあり」と書いたシールを貼るなどして周囲に伝え、誤食を防ぐよう求めている。

避難所運営担当の行政職員に伝えておくことも大事だ。





(読売新聞 2021年5月27日掲載 編集委員・川西勝)

※ この記事は2024年09月04日に再公開された記事です。

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