子育てと、子どもの体調不良。
これは切っても切り離せないもので、ある時は突然、またある時は「なんか今日静かじゃない?」と予兆をチラ見せしつつ、夜中にアララ……と来たりパターンは様々である。
我が息子も例外ではなく、そういったことが何度もあった。
息子が今よりもっと小さい頃、咳が悪化しやすいタイプで、3歳になる直前に喘息の診断を受けた。
朝起きて「あれ?咳してる?」と思ったら、もうその夜は咳が酷くて寝られない状態になるほど。
少しでも楽になるようにと寝る向きを変えてみたり、お茶を用意したり、背中をさすって親子二人で眠れない夜を過ごすことも頻繁にあったあの頃。
そんな当時、ふいに夫からかけられる言葉になんだかモヤモヤしてしまうことがあった。
我が子の体調不良で余裕ナシ…そんな時「かわいそう」と言われたくない理由
2,772 View言われてモヤモヤしたのに、その言葉を言ってしまった私の反省の記録。
子どもの風邪
かわいそう、って言わないで
朝起きて「息子、咳ひどいわ」と言うと
「そうかー。かわいそうだね……なんで風邪引いたんだろうね?」
「児童館とかでもらったり、とか?確かめようがないけど風邪は引くものだよ」
「そうかー。しかしなんで咳こんなに出ちゃうんだろうね」
「喘息だから、気管支が弱くて?悪化しやすいの、かな?」
「かわいそうだね。なんで喘息になったんだろうね。
寝られないとか本当にかわいそう」
・・・。
「かわいそうかわいそう言わないで!!夫、自分ばっかりぐっすり寝て何もしてないのに私のこと責めないでよ!!」
我ながらなかなかの瞬間湯沸器だったなとは思うけれど、自分も不眠だったため、大・爆・発!!
「えええ……全然責めてなんかないよ!
息子の看病してくれてありがとうって思ってるし、息子かわいそうなのは本当のことだし、何でそんなに怒るの……?」
そして私は思った。
いや、本当に、私は何をそんなに怒っているんだろうな、と。
その時はこの件について掘り下げる時間も気力もなかったので、とりあえず「もうかわいそうだなんて言わないで!」と一喝したのであった。
そして何だかわからないけど「かわいそう」って子を看病している親に言っちゃいけない言葉なのでは、と感じた。
何でかはちょっと分からないのだけれど、この時の私にはそう思われて仕方がなかった。
そして、このことは心に留めておこうと密かな決意をしていたのだけれど。
言われてモヤったはずなのに
それから数年後の最近の話である。
新型ウイルスが一時期落ち着きを見せた春先、友達親子と久々に遊ぼうか、という話になった。
けれども前日になって友達から電話が掛かってきた。
「ごめん、明日なんだけど、ちょっと病院に行かないといけなくなっちゃって」
「それは大変だ!長女ちゃん?どうした?」
「なんか先週から口内炎がいくつか出来て、すぐ治るかなーと思ってたんだけど」
「うんうん」
「なんかもう今6個くらいに増えちゃって」
「え!?6個?それはかわいそうだね」
……あれ、私、今なんて言った。
あれだけ言われて嫌だった言葉が、不意に自分の口からこぼれていたのである。
慌てて「ごごごめん!かわいそうなんて言っちゃって」と謝る。
「いやいや!本当にかわいそうでさ。
今日小児科行ったら大きな病院に行くように言われて、明日行くことになっちゃって。
前日にごめんね」
「全然大丈夫だから気にしないで!」
「本当、私が先週のうちに病院連れて行けば良かったんだけど、判断ミスだったー。
長女ごめんよ、って感じ」
うんうん、お大事にね。と電話を切って、ようやく気付いた。
「かわいそう」にモヤモヤしてしまう原因は、「当事者との心の距離感」じゃないのかしら、と。
その効果によって、幼き息子に喘息の発作が出てしまったあの日。
夫に「かわいそう」を連発されたことにより「息子がすごく咳をしているね。自分は仕事があるので、遠巻きに見ていますけれども」と私は受け取ってしまい、結果、大爆発してしまったのだ。
実際夫にそんなつもりはなかったとしても、だ。
本当に欲しかった言葉
言葉とは本当に難しいもので、それが実際の会話なのか、はたまたスマホ上でのものなのか、また相手との関係性でも感じ方は変わっていく。
実際、何人かのママ友に「子どもが具合悪い時に夫に『かわいそう』を連発されるとモヤっとしない?」と聞いてみた。
すると、「分かる!!」派と「え?しないよ〜」派とあり、やはり受け取り方は人それぞれなんだなと思った。
ちなみに私は「かわいそう」と連発されると、子の健康管理責任を追求されているような気すらして、自責の念に駆られてしまう厄介な人間なのである。
嗚呼、それなのにそれなのに。
自分が言われてモヤってしまったのに、「かわいそう」をママ友に言ってしまってもう反省の極みで、穴があったら入りたいくらい。
この言葉を受け取った相手には何ということはなくても、私にとってはなかなかのやっちまった案件だった。
そこで私はこのシチュエーションの場合、伝える言葉を「定型セリフ」として決めたのである。
それはズバリ、「心配だね」である。
極めてフツーの言葉なのだけれど、息子喘息騒動の時、私が夫に言われたかった言葉は多分これだったのだ。
子どもの回復を願う気持ちに変わりはないのだから、言葉の行き違いで誤解があるのは悲しい。
それを伝えてから夫は「心配だね」と言い換えてくれるようになり、ケンカの種がまた1つ消えた。
辞書に載っている言葉の意味と、あなたや私が解釈する「ことば」にはちょっと温度差がある時がある。
ある人には毒であり、ある人には薬であることだってあるのだ。
今回のケースは、もしかすると私の神経質が過ぎた部分もあったのかも知れない。
とはいえ、ただでさえ穏やかな気持ちを失いがちな子どもの体調不良。
周りと支え合って、お互いを労いながら乗り越えていけたらベストだけれど、非常時には難しいこともある。
それでもなお、私自身も誰かを傷つける言動をなるべくしたくないし、気をつけていきたいなと改めて感じている。
ああ、言葉ってほんとにむずかしい……!!
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