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公開 2022年09月14日  

産後の義実家滞在が大正解だったワケ。冷静さと、まるで”母”のような姪っ子の存在。(2ページ目)

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そこそこなんとなかると思った3人目の産後も、やっぱり訳が分からなかったです。



長女が熱発してから2日後、私もやはり罹患して高熱にうなされた。

長男の産後と違うのは、まごうかたなき高熱が出ているという点。

意識が朦朧とする。

体を起こすことができない。

それどころか頭を持ち上げることすらままならない。

思考が定まらなくて何かを考えようとする側から瞼が閉じていく。

新生児の末っ子にうつる心配ももちろんあったけれど、そもそも私の状態が悪すぎて授乳が非常に困難だった。

彼女の命を繋ぐための健常な肉体は、あの日あの場所にはなかった。


私も母の子なので、こんなときはいちいちそこそこパニックになるんだけれど、義実家の皆さんは違った。

とても冷静で通常で、そのことがとても心強かった。

彼らを見ていると、私は今とてつもない窮状にさらされているのではなく、ちょっとしたトラブルにほんのひととき巻き込まれているだけ、という気持ちになった。

私が夜間授乳のことを考える前に速やかにチームが結成され、当時中学生の姪っ子が義母と一緒に夜間授乳を手伝ってくれることが決まっていた。

姪っ子は赤ちゃんや小さい子が大好きで、長男が赤ちゃんの頃もそれはよく面倒を見てくれていて、そこから3年弱の時を経て、彼女はさらなる成長を遂げていた。

ミルクを飲ませた後の末っ子を横抱きして左右に揺れながら、床に伏せる私の様子を見にきてくれたのだけど、あの日私が見たものこそ真の後光だった。

真っ暗い和室から見る彼女は廊下の蛍光灯を背後に浴びて、物理的にも眩しく、精神的にも心底眩しくて、あの逆光で見た彼女の立ち姿を私は一生忘れないと思う。

「下ろすと泣いちゃうから」

さらりとそんなことを言ったあと、なにか私をいたわる言葉をかけて去っていった。

朦朧とする頭で

「あれは……?もしかしてお母さん??」

と錯覚するほどの佇まいだった。


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義実家の皆さんがつつがなく長男と末っ子の面倒をみてくれている間に、私と長女はゆっくり回復していった。

弱り切った病み上がりの産後の体で上の2人のお世話をする間も、姪っ子は膝の上で末っ子をあやしながらスマホで好きな動画を観たりしていて、まるで体の一部のように赤ちゃんのお世話をこなす様子は本当に頼もしく眩しかった。

いつか彼女が困ったときは全力でサポートするとひっそり決意している。

急に冷蔵庫が壊れたりしたら早急に購入の上、配送手配したいし、網戸が突然破れたら夫をすぐに派遣して網戸をびしっと張り替えてあげたい。

この伯母くれにできることがあればなんでも言ってほしい。


そんなふうにほとんど命拾いのようだった末っ子の産後を振り返って笑えるのはもちろん、義実家の皆さんのおかげであるし、同時に、誕生というのは圧倒的に幸福だからだと思っている。

子どもにまつわるいろんなことは、喉元を過ぎるとたいてい都合がいいほどいい思い出になってしまう。

鮮烈な産後だったけれど、親族一同にとってそこそこのインパクトを与えた新生児期も味わいがあっていいよね、と今なら思う。


※ この記事は2024年11月11日に再公開された記事です。

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