我が家には小学校4年生の男女の双子がいます。
ある日のこと。
「自宅の水道工事で平日の午後の時間帯に断水します」というお知らせが届きました。
平日の午後、基本的に我が家は3人が在宅しています。
小学校4年生の子ども2人と、在宅勤務中の私。
子どもたちは学校の授業が終わると昼過ぎには帰ってきます。
断水の時間は、お知らせでは、12時から18時までと案内されていました。
午後6時間、自宅の水が使えない状態で乗り切れるか…?
これは困りました。
学校帰りに最後にトイレに行ってきてもらえればどうにか耐えられるだろうか。
色んなケースを想像してみたところ、導き出されるのは「トイレ〜」と我慢できなくなる子どもたちの様子でした。
これは、どこかに避難した方が安全。
でも我々夫婦の実家は遠方のため、こんなときに頼れる実家や急に身を寄せられる場所はありません。
さてどうしたものか。
そんな時、ママ友が「最近のマンガ喫茶は子供を連れて行きやすいよ」と話していたことを思い出しました。
そうか。
マンガ喫茶であれば子どもたちはマンガを読み、大人は仕事をすることもできる。
これは断水の時間帯を乗り切るには最善なのでは?と自宅近くのマンガ喫茶に双子たちと一緒に行ってみることにしました。
学校から帰宅した双子に、「今からマンガ喫茶に行く」ことを伝えると、生まれてはじめてのマンガ喫茶にテンションの上がる双子たち。
我が家では6歳ころからマンガを読み始めましたが、ちょうど3年生ぐらいから夢中でマンガを読んでいる姿がありました。
なので、きっと喜ぶだろうと思っていましたが想像以上の喜びよう!
いざマンガ喫茶に足を踏み入れると、上から下までマンガだらけの本棚を見て目を輝かせている双子たち。
親子で利用するのは初めてだったので、店員さんに相談してみたところ、ペアブース(2人で利用できる個室)を隣同士で2つ借りることにしました。
そして1つの部屋に双子、もう1つの部屋を私が利用することに。
一度3人で館内を周り、本を借りる場合のルールや、返す場所を確認し、私語禁止!を厳命して、フリータイムのスタートです。
「ここにある本、何でも読んでいいの?」と一目散に読みたいマンガを探しにいきました。
子どもたちがマンガを読むのに夢中になっている間、私は仕事をすることができて、ママ友の情報通り、そこには最適な空間がありました!
こんなに快適で、双子も私も満足できる空間が家の近くにあったなんて。
たまに双子連れでマンガ喫茶に来るのもいいかもしれない。
そんなことを思いながら、帰宅した矢先…
またもや事件が発生したのです。
出社していた夫も合流して外で夕食を済ませ、断水の終了を確認して自宅に帰りました。
洗面所もキッチンも無事に水が流れることを確認し、さぁお風呂のお湯を沸かそう…なんて準備している間に、事件は起きました。
トイレの水が流れないのです…。
え? 断水は終わったはず。
普通に水も使えています。
なのに、なんでトイレの水は流れないの?
水が流れるべき蛇口から、一向に水が出てきません。
これは大ピンチ…。
思い返せば、お昼断水が始まった時トイレで異常な水の音が聞こえていた時間帯がありました。
もしかしてあのとき、トイレが故障したのかも…?
嫌な予感がしました。
時刻は20時過ぎ。
明日も学校はあります。
急遽管理会社に連絡するも、すぐに連絡はつきませんでした。
朝までトイレが使えないかもしれない恐怖。
しかも時刻は21時を回ろうとしていました。
明日の学校に備えて、双子たちを寝かさなければ。
何をしてもトイレの水は流れないまま、絶望感の私。
すると管理会社と連絡をとっていた夫が、今日中の復旧は無理だと悟ったようで「よし、もう行くしか無い」と言い出しました。
この状況で、行くってどこに?
私は全く理解が追いついていなかったのですが、夫は「トイレが使えない状況で、家族4人で一晩過ごすのは無理。ホテルに泊まりに行こう」と言い出したのです。
そんなことを考えもしなかったので、びっくり。
でもたしかにそれが一番安全な気がしました。
明日の学校のことを考えると悩んでる暇もなく、一泊分の荷物を持って家の近くのホテルに泊まりに行くことにしました。
急遽当日、それも今すぐ泊まれるホテルを探しつつ、双子たちには理由を説明して、一泊分の荷物を準備するように双子に伝えました。
すると、新型コロナウィルスの影響で久しく旅行に行ったりホテルに泊まることができなかった双子たちの喜びが爆発。
ものすごいスピードでホテル泊の準備をしていました。
ルンルンの双子を連れて家から近いホテルに泊まりに行くと、久々の外泊が本当に嬉しかったようで。
大人側のバタバタを知るよしもない双子たちは「今日はマンガも読めたし、ホテルに泊まれるし最高の1日だったね〜」と2人でニコニコしていました。
親としては、水の止まってしまったトイレの復旧や、双子の明日の登校、自分の仕事のことなど不安要素満載でした。
しかし、イレギュラーな状態を楽しそうにしている双子の様子をみていると「365日のうち、こんな1日もあってもいいか」そんなことを思いました。
あのとき、咄嗟にホテルに泊まろうと決断した夫のおかげで、安心して夜を越すことができました。
翌日には無事にトイレも復旧したので、結果的に、なんでも無い1日が、思い出の1日になりました。