関東ではサケ、関西ではブリが年取り魚とされています。
お正月だけでなく、年間を通じて関東ではサケ、関西ではブリが好まれる傾向があるようですよ。
その歴史については、以下の解説をどうぞ!
「年取り魚」といえばサケ?ブリ?この答えでざっくり出身がわかるかも(2ページ目)
2,249 View関東と関西で違うようですよ
年末年始のお祝いに食べる「年取り魚」はサケ?それともブリ?
年末年始は、新しい年を迎えるために、さまざまな縁起物を食べて1年の門出をお祝いする。
そんな縁起物の一つに「年取り魚」がある。
このときに食べる魚の種類を聞けば、その人が関東と関西いずれの出身なのかわかるかもしれない。
なぜなら、関東ではサケ、関西ではブリが年取り魚とされているからだ。
お正月だけでなく、年間を通じて関東ではサケ、関西ではブリが好まれる傾向があるらしい。
総務省の家計調査では、サケの1年間の合計購入金額は、東京は4627円に対して、大阪は4089円、ブリでは東京が2915円に対して大阪は3717円と逆転する。
サケもブリもどちらも縁起魚とされているのだが、好みが東西で分かれているのである。
ブリは関西では「ツバス、ハマチ、メジロ、ブリ」、関東では「ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ」と、大きくなるにしたがって名前が変わる。
武士は元服や出世で名前を変える文化があったことから、ブリはお祝いの席などで食べる出世魚として好まれるようになった。
ブリを獲る漁場は17世紀頃に日本海側を中心に拡大し、海運の発達で全国から食材が集まっていた上方では、17世紀末から18世紀初頭の元禄時代にはすでに正月にブリを食べる習慣が定着した。
特に京都では、「二十日正月」にブリを食べて、師の教えで徳を増すことを祝う「骨正月」という慣習があった。
このように、もともと出世魚として親しまれていたブリが年取り魚として定着したためか、同じく海運の発達によって蝦夷地から入ってくるようになったサケは上方ではあまり好まれなかった。
18世紀頃には、サケが上方から江戸に回送されるようになり、江戸では「栄える」に通じる縁起物として受け入れられた。
塩鮭は長期保存でき、塩分をとれるという点も、江戸での人気を後押ししたようだ。
関東では幕末頃からサケを正月に食べる習慣が根付いたという。
こうしていつしか関西ではブリ、関東ではサケを重用する文化が定着し、今でも受け継がれているのである。
出典:『関東と関西 ここまで違う! おもしろ雑学』(三笠書房/2019年刊行)
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