「朝ご飯、食べたばっかりなのに、もう夜ご飯の心配してる…」
「体調の悪い日くらい、誰かの作ったご飯を食べたい…」
1日3食、家族のご飯を作り続ける日々にもう限界!
日々のご飯作りから見つめ直す、家族のカタチ。
『料理は妻の仕事ですか?』(アベナオミ著/ 白央篤司監修/KADOKAWA)より、一部エピソードをご紹介します。
自炊力って、いろいろなスキルの総合力だと思っています。
ただ料理するだけなら話はシンプルですが、日々のごはんを用意し続けるのって、実は様々な能力が求められているんですよね。
「買い物に行って、その場で献立を考える」
「家にある食材とかけ合わせて何を作るか決める」
「食材の質と値段のバランスを考える」
「栄養バランスも気にかける」
「調理する」
「残ったものをそれぞれに適した状態でしまう、保存する」
これらの間に「運ぶ(かなり重労働なときも多々ありますよね)」「買ったものの個包装をといて、しまって、出たごみを片づける(この面倒さは地味にきます)」「洗い物」「食器類を乾かして戻す」など、いわゆる「名前のない家事」も多々あるもの。
これらが総合的に折り重なってくる大変さって、経験してみないと分からない。
一日二日ぐらいの体験では分からないタイプのつらさで、1カ月ぐらい担当してようやく「こんなに大変だったの
か!」と気づく方はとても多いです。
そして日々の食事を用意するって、人によって優先することも様々。
倹約を一番に考える方もいれば、おいしさがトップの人もいる。
「ラクで手間がかからない」を最優先という人もいます。
何が正解ということはありません。
家ごはんの形は人それぞれ、自分なりでいいはずです。
なのに「私、全然ちゃんとできてなくて……」と悩んでしまう人、ものすごく多い。
誰かに「もっとこうあるべき」と言われてるわけではないのに、自分を恥じて、責めてしまう。
まったく感じる必要のない思いですよ。
自分たちの食事を用意する、それだけでもうじゅうぶん立派なこと。
作れない、作りたくないときは買うのだって私は「自炊」の一環だと思うのです。
作る日もあれば、そうでない日もありつつ、暮らしを続けていく。
じゅうぶん「家の事」をこなしています。
自分の自炊の形をゆるやかに、自由に定めて、恥じない。
人と比べない。
そう考える力も生活力のひとつじゃないでしょうか。
そして理想をいえば自炊力は、家族全員が持っていてほしい力。
人間いつまでも一緒にいられるわけもありません。
ひとりになったときに自分をまかなえる力は、早いうちに身につけておきたいもの。
お子さんなら、いつか誰かと暮らしたとき、役にも立ちます。
ごく簡単なことから自炊に近づく方法を、本書でお話できればと思います。
(監修・フードライター白央篤司)
自炊の形は、個性に合わせて自由につくっていい。
少し気持ちが軽くなりますね!