読み聞かせは、親子のコミュニケーションのきっかけを作り、絆を深めるのに役に立ちます。
しかし、「言葉のわからない赤ちゃんに読み聞かせをしても効果はあるの?」と考える方もいることでしょう。
そこで本記事では、読み聞かせが0歳児にもたらす効果や、おすすめの絵本などについて解説します。
絵本の読み聞かせ、いつから始める?赤ちゃんへの効果と1日の冊数
2,457 View子どもの能力を伸ばすうえで効果的とされる「読み聞かせ」。早い人では胎教として妊娠中からスタートすることもあるようです。本記事では、読み聞かせが赤ちゃんに与える効果やおすすめの絵本、読み聞かせのコツなどを紹介します。
絵本の読み聞かせは0歳から可能
赤ちゃんに絵本の読み聞かせをスタートする時期に決まりはありません。
生まれて間もない0歳からでも読み聞かせをスタートすることは可能で、早い人では妊娠中からスタートさせることもあるようです。
0歳でも、赤ちゃん向けの絵本であれば絵柄や言葉がシンプルで興味を惹きやすく、言葉の意味や物語の中身まではわからなくとも読み聞かせを楽しめます。
とはいえ、赤ちゃんが絵本に興味を示さないようであれば、途中でやめても構いません。
絵本の読み聞かせが子どもの成長にさまざまなメリットをもたらすとされていますが、必ずしも読み聞かせをしなければならないわけではないため、赤ちゃんの反応を見て、赤ちゃんのペースに合わせて読み聞かせを始めるとよいでしょう。
無理して読むことで、絵本を嫌いになってしまうということがないよう気を付けましょう。
0歳から読み聞かせをする効果
0歳児は視力がまだあまり発達していないため、絵本の絵を見てもらうよりも、読み聞かせをしてくれる人の声がポイントとなります。
読み聞かせの声の抑揚や高さ、速さなどを工夫すれば、赤ちゃんの反応を引き出してより楽しんでもらえますし、起きている時間よりも寝ている時間の多い赤ちゃんにとって、場合によっては心地のよい子守唄代わりにもなります。
また、大人が積極的に話しかけることによって言語の習得にもつながっていくとされており、赤ちゃんに話しかけることができる絵本の読み聞かせでも同様の効果が期待できます。
普段の生活の中で、どのように赤ちゃんに話しかければよいかわからない場合は、絵本を通して親子のスキンシップや楽しい時間を共有するきっかけにするとよいでしょう。
参考:東京都生涯学習情報
0歳の赤ちゃんは絵本を楽しめている?
0歳児への読み聞かせで気になるのが、「絵本を楽しめるのかどうか?」という問題です。
個人差はあるものの、赤ちゃんは生後3か月までに人の顔を見つめたり、ものを眼で追ったりするようになります。
さらに6か月ごろになると、人の表情の違いなどが分かるようになる子もいます。そのため、生後3ヶ月ごろの赤ちゃんであれば、絵本の絵や読み聞かせの声に反応を示してくれるかもしれません。
ただ、0歳児への読み聞かせで重要なのは、絵や物語を理解できるかどうかということよりも、大人との温かい触れ合いや語りかけによってコミュニケーションを図ることです。
「きれいだね」「美味しそうだね」と赤ちゃんに声をかけながら絵本を読んであげることで、赤ちゃんもその声の調子や息遣いを感じ取って楽しんでくれるでしょう。
参照:大垣市 子育て支援ポータルサイト
0歳の赤ちゃん向け絵本を選ぶポイントとおすすめの絵本
0歳児の赤ちゃんに読み聞かせをする場合は、絵柄がシンプルでわかりやすく、身近な物が題材になっている絵本や、音の面白さによって興味を惹きつける絵本がおすすめです。
また、親子の触れ合いを促してくれるような仕掛けのある絵本なども、コミュニケーションを深めるうえで効果的です。
「わんわん」「びりびり」など、動物の鳴き声や物の状態を音で表現したオノマトペが多く出てくる絵本もおすすめです。
色や形の変化や擬音の面白さが赤ちゃんを惹きつける絵本
赤ちゃんの認識能力について生後約4か月で色の見分けができ始め、約5ヶ月で形の区別ができるようになると言われています。
そのため、生後5か月ぐらいになると本の中で変化していく色や形を認識できるため、言葉がわからなくとも絵本を楽しむことができるでしょう。
また、擬音は赤ちゃんが真似しやすく、語感やリズムを面白いと感じてもらいやすいようです。
以下に擬音を豊富に使用した0歳の赤ちゃんにおすすめの絵本を紹介します。
参考:一般財団法人日本色彩研究所
ごぶごぶ ごぼごぼ
「ごぶごぶ ごぼごぼ」は、「お母さんのお腹の中」をテーマとして、響きやリズムの楽しさが味わえる赤ちゃん向け絵本です。「ぷーん」「ぷくぷく」「ぷぷぷ」など、不思議な擬音とともに大きさや色、並び方を変えながら無数の丸が登場し、赤ちゃんの興味を惹きつけます。ページの所々には穴が空いており、赤ちゃんが指を入れたり触ったりして反応を示してくれます。読み聞かせると赤ちゃんが自然と笑顔になると評判の1冊です。
親子のコミュニケーションが生まれる絵本
「いない いない ばあ」のように、身体や手を使ったコミュニケーションが親子の間で生まれる絵本は、ページをめくるたびに赤ちゃんのワクワクした気持ちをかき立ててくれます。
触ってみたくなるような仕掛けがある絵本であれば、さらに読み聞かせに変化がつき、赤ちゃんの笑顔を引き出せるかもしれません。
以下に、親子のコミュニケーションを促進するのにおすすめの絵本を紹介します。
いないいないばあ
「いないいないばあ」は、1967年の発売当初から世代を超えて読み継がれているロングセラーの定番絵本です。作者の松谷みよ子さんによる「赤ちゃんの精神が芽生え始める時期に美しい日本語を伝えたい、よい絵本で育てたい」という想いが込められた絵本で、言葉はシンプルながらも文章がよく練られ、赤ちゃんのリズムに合わせて作られています。動物の絵は赤ちゃんと目が合うように描かれており、「いないいないばあ」と語りかけながら読んであげると、きっと赤ちゃんも喜んでくれるはずです。
いないいないばああそび
「いないいないばああそび」は、親子が一緒に遊べるおもちゃのような絵本です。見開き2ページにわたって描かれる動物の絵の手の部分に仕掛けがあり、「いないいなーい」と語りかけながら手をめくると、「ばあー」と笑顔が現れます。こいぬ・ことり・ねこなどの笑顔のあと、最後はママの番です。目の部分に穴が空いており、お面のようにして顔の前に掲げると、赤ちゃんの笑顔を引き出せるでしょう。
身近なものがテーマになった絵本
食べ物や生き物、乗り物など、赤ちゃんの身近にあるものが出てくる絵本は、赤ちゃんの興味を惹いたり、言葉を理解するきっかけになるでしょう。
ページ数が少なく、かつ身近なテーマが題材であれば、赤ちゃんも集中して聞きやすいはずです。
以下に赤ちゃんにとって身近な物をテーマにしたおすすめの絵本を紹介します。
赤ちゃん絵本セット
「赤ちゃん絵本セット」は、10cm角の手のひらサイズが可愛らしいミニ絵本の4冊セットです。それぞれ「いきもの」「のりもの」「しぜん」「せいかつ」がテーマとなっており、バッグに入れて持ち歩きやすいサイズなので、外出先での読み聞かせにも便利です。イラストはシンプルでわかりやすく、配色が鮮やかで美しいのも特徴です。ページは厚紙でできているため、赤ちゃんが多少乱暴に扱っても簡単には破れません。また、ページの角が丸く抜かれているので、赤ちゃんのそばに置いていても安心です。
くだもの やさい
「くだもの やさい」は、タイトル通り「りんご」「いちご」「とまと」「たまねぎ」など赤ちゃんに食べてほしい身近な15の果物と野菜を取り上げた、赤ちゃん向けのミニ絵本です。ひらがなに加えて英語と英語の読み仮名も表記されているので、英語に興味をもつきっかけになるかもしれません。愛らしいフォルムと色鉛筆の優しいタッチが親しみやすく、はっきりとした鮮やかな色使いが赤ちゃんの興味を惹きつけます。ほかにも「どうぶつ」や「のりもの」をテーマとした絵本もあり、シリーズでそろえるのもおすすめです。
1日に読み聞かせる冊数は?
赤ちゃんが集中して楽しめる絵本の冊数には個人差がありますが、幼児教室などでは1日10冊程度を勧められることもあるようです。
10冊というと膨大な量に思えるかもしれませんが、赤ちゃん向けの絵本はページ数や文字の量も少ないため、実際に読んでみるとあっという間に読み終わることも少なくありません。
赤ちゃんによっては、いきなり多くの絵本を読み聞かせようとすると嫌がる可能性があるので注意してください。
1日に読み聞かせる本をすべて違う本にする必要はないので、お気に入りの本を何回も読むなど、工夫をしながら親子が無理なく楽しめる範囲で読み聞かせを行うことを意識しましょう。
読み聞かせは1日のどのタイミングで行うのがベスト?
子育て世帯向けのメディアを運営する株式会社コズレが2018年に実施したインターネット調査によると、読み聞かせをするタイミングとしては、昼と就寝前が多いことがわかっています。
生後8ヶ月までの赤ちゃんにはお昼寝前、生後9ヶ月からは就寝前に読み聞かせを行うケースが増えてくるようです。
絵本を読むタイミングを決め、毎日続けることで、読み聞かせを習慣化していくのもおすすめです。
とはいえ、特に時間を決めず、子どもが読んで欲しいタイミングで読む親も少なくありません。
無理がないように親子でリラックスして楽しめるタイミングで絵本の読み聞かせを行っていきましょう。
参考:「絵本の読み聞かせに関する調査(株式会社コズレ)」
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)
絵本の読み聞かせをする際のポイント
初めて絵本の読み聞かせをする際に「どのように読めばいいのかわからない」「読み聞かせに苦手意識がある」と感じる方もいるかもしれません。
赤ちゃんに絵本の読み聞かせをする際に押さえておきたいポイントを紹介します。
音や声をはっきり出して読む
0歳の赤ちゃんは視力がまだ弱く、はっきりと絵が見えていないことがあります。
そのため読み聞かせの際は、色使いが鮮やかで単純かつわかりやすいイラストの絵本を選ぶこと、内容を声や音で伝えてあげることが重要です。
はっきりと発音しながら、耳で楽しんもらうことを意識しましょう。
赤ちゃん向けの絵本は、オノマトペなどリズムのよい言葉の繰り返しを多く使用しているため、音がきちんと伝われば赤ちゃんも喜んでくれるはずです。
正しい読み方にこだわらない
必ずしも最初から最後まで通しで読む必要はありません。
赤ちゃんの反応に合わせて読む順番を変えたり、興味を示さないようであれば途中で読むのをやめたりするなど、それぞれのペースで進めることが大切です。
赤ちゃんが絵本に興味を持つと自分でページをめくることもあるので、赤ちゃんの好奇心を満たしてあげるように語りかけながら読み聞かせましょう。
親子で一緒に楽しむ
読み聞かせは、赤ちゃんだけを楽しませようとしてもうまくいかない可能性があります。
「子どもの能力を伸ばすには読み聞かせをしなければならない」といった義務感から読み聞かせを行うと、続けるのが難しくなります。
一方で、親自身が読み聞かせを楽しんでいれば、それが赤ちゃんにも伝わり、赤ちゃんも自然と楽しい気分になれます。
無理に上手に読もうとしなくても、親が絵本を読んでくれているだけで、その声から赤ちゃんは安心感を得たり、満足してくれます。
忙しいときに無理に時間を作ることはせず、親の気持ちや時間に余裕のあるときに、親子で一緒に楽しむように心がけるのがポイントです。
最後のページまで聞いてくれないときは?
赤ちゃんによっては、親が読み聞かせをしても興味や反応を示さなかったり、途中でほかのことに関心が移って最後まで聞いてくれないこともあります。
それでも、先述したように最初から最後まで通して読まなければいけないわけではないため、特に問題はありません。
そのページそのページを赤ちゃんが楽しんでいればそれでよいと考え、赤ちゃんのペースを尊重してあげましょう。
そのうえで、なるべく興味を持ってくれるように、少しオーバーに語りかけてみるなど工夫してあげることが大切です。
赤ちゃんへの絵本の読み聞かせを始める時期に決まりはなく、0歳からでも可能です。
読み聞かせには親子間のコミュニケーションを深めるという側面もあり、言葉がわからない0歳からでも行う意味はあります。
0歳児は、物語の中身ではなく絵の色や形、親の声に反応を示すため、色使いが鮮やかでイラストがわかりやすい絵本を選び、赤ちゃんに語りかけるようにはっきりと発音して読んであげましょう。
【監修】絵本屋Hotto 代表 山田太一
産経新聞社で事件取材や行政取材を担当。同社退社後、リクルートキャリア入社。新卒採用媒体リクナビの営業担当を務める。その後、コンテンツマーケティングエージェンシーのクマベイスに入社。2022年12月、熊本市で絵本専門店「絵本屋Hotto」を立ち上げ、来店客に絵本選びのアドバイスを送っている。
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