2023年6月1日、政府が「異次元の少子化対策」の素案を発表しました。
それが「こども未来戦略方針」案で、6月中の方針決定を目指しています。
素案には、どのようなことが盛り込まれているのかを見ていきましょう。
厚生労働省の調査では、2022年に生まれた子どもの数は 79 万9000人あまりと、国の統計以来、初めて80万人を下回りました。
このままのペースで少子化が進むと、今後50年で日本の人口の約3分の1を失う可能性があります。
素案では「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である」とし、「若年人口が急激に減少する 2030 年代に入るまでが、こうした状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点」と明記しています。
■児童手当の所得制限の撤廃
現在、児童手当は、3歳未満の子ども1人につき月額1万5千円、3歳から小学生までは1万円(うち第3子以降は1万5千円)、中学生は一律1万円が支給されています。
また、受給には所得制限があり、一定以上の所得がある世帯は一律5千円で、さらに高収入の世帯にいたっては支給されません。
素案には、児童手当の受給にあたって所得制限をなくし、受給できる期間を高校生まで延長できるようにすると書かれています。また、第3子以降は子どもの年齢にかかわらず月3万円を継続して支給する方針で、これらを2024年度中に施行できるようにするとしています。
■出産等の経済的負担の軽減
2023年4月からは出産育児一時金が、42万円から50万円へ引き上げられました。
2026 年度をめどに出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める方針です。
あわせて、無痛分娩について麻酔を実施する医師の確保を進めるなど、「妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向けた支援の在り方を検討する」ともしています。
■親が就労をしていなくても、保育園を利用できるようにする
両親が働いているかを問わず、時間単位で柔軟に保育園を利用できる制度に変えようというプランです。
「多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付を創設する」(「こども誰でも通園制度」(仮称))
2024 年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施する方針です。
■学童保育の拡充を継続
待機児童が約2900人と年々減少する一方で、放課後児童クラブの待機児童は約1万5000人に達しています。
政府はもともと「新・放課後子ども総合プラン」を打ち立て、2019 年度~2023 年度に受け皿を約 122 万人から約 152 万人への拡大する計画を進めています。
素案では「小1の壁」打破に向けた量・質の拡充と銘打ち、学童保育の受け皿拡充を着実に実行するとしています。
しかし、課題もあります。
政府はこれらの施策を「年間で約3兆円の予算を確保」して進めるとしているものの、肝心の財源をどうするかはまだ決まっていません。
今後の進展が気になりますね!
(コノビー編集部)
参考:
内閣官房 「こども未来戦略方針」案
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29856.html
新・放課後子ども総合プラン
https://www.mhlw.go.jp/content/shinnplan.pdf