「小学校は楽しい。でも学童には行きたくない」
そう息子が言ったのは、5月の半ばの日曜日でした。
4月から小学校に入学した息子。
わが家の初小学生!ということもあり、右も左もわからない中で入学準備をしていた私たち夫婦。
「小学校ともなると1歳の頃から通っていた、みんな知り合いで至れり尽くせりの保育園とは全然違うはず……」
「行きたくないって言ったらどうしよう」
「授業中、じっと座っていられないのでは」
様々な不安が旨をよぎり、3月はずっと胸がざわざわしていました。
でも実際始まってみると、あまり物おじせず、マイペースな性格なのが逆に良かったのか、息子は小学校に行き渋ることもなく順調に通っていました。
本人よりも親の方が環境の変化に戸惑い、振り回されていたように思える慌ただしい4月が過ぎ、5月の連休明け。
ちょっとイライラすることが増えた息子。
小学校生活の疲れが出てきているのかな?と思い、なるべく食後なども息子との時間を取るようにしていました。
そんな中、息子が急に「学童に行きたくない」「小学校が終わったらまっすぐ家に帰りたい」と言うようになったのです。
夫婦で共働きのため、日中は誰もいないわが家。
息子は小学校の授業が終わったら、小学校の敷地内の学童保育に移動してもらい、私か夫がお迎えに行く、という流れでした。
最近は物騒な事件も多く、小さな息子を1人で歩かせるのも、留守番させるのも不安しかありません。
息子は「1人で帰宅している同級生もいるから俺も大丈夫!」と主張してくるのですが、その子はともかく、正直、息子にはまだ無理だな…というのが夫婦の見解でした。
家に家族全員がいても、トイレに1人で行くのは「1人にしないで」とイヤがるほどの寂しがりや。
興味があるものが目に入ると、それを追いかけて車道に飛び出してしまいそうな性格。
学校からの道のりは車も多くて危ないから、お仕事終わりのお迎えまで待っててほしいと伝えても、
「じゃあお仕事早く終わらせてよ!」
「早く帰ってきて、迎えに来てくれたらいいじゃん!」
「どうしてわかってくれないの!」
といったふうに自分の希望が通らないことを怒って怒って悲しんで、夜そのまま寝てしまうことも。
一方で、「どうして帰りたいの?」と尋ねても、「帰りたいから」の一点張り。
具体的な理由ははっきりとは話してくれません。
私たちはそんな息子に、「それは無理なんだよ」と言い聞かせるしかありませんでした。
小学校の同じクラスには保育園の時からの男友達が数人いましたが、学童は女の子の知り合いしかいないから、学童がつまらないのかな?など、その時は、深刻に考えてはいませんでした。
そんなある日、息子がお迎えの帰り道のことです。
「上級生にいきなり叩かれた」
「僕が邪魔なとこにいたから……」
と、息子はポツリポツリと話をしてくれました。
息子からだけの話だとハッキリと状況がわからないため、次の日のお迎え時に学童の先生に確認することに。
すると、どうやら少し前から特定の上級生との関係がうまくいってなかったようなのです。
息子が打ち明けてくれた日、息子と上級生の間でもめ事があったようだと先生は話してくれました。
みんなでアニメを見る時間に、椅子の取り合いから始まり、それを見ている途中に夢中になった息子が少し前に出てしまった時に上級生から叩かれたそうです。
ただ、学童のクラスの方針としては「こういったもめ事はしょっちゅうなので、ケガをするなどのよっぽどのことが無いとお伝えしていません」とのことでした。
先生は「また同じようなことが起きないか気を付けてはおきますから」とは言ってくれましたが、保育園との対応の違いに少し衝撃を受け、その場で私は「そうなんですか……、よろしくお願いします」としか言えませんでした。
叩かれた時の息子の気持ちを思うと、胸が痛くなる思いでした。
「でも、こういうことも小学生あるあるで、ここから息子も集団行動を色々学んで成長していくのだろうか……」
「でもイジメにつながってしまったら……」
などとモヤモヤしっぱなしでした。
とりあえす私はできる範囲で在宅勤務に切り替え、少し早めにお迎えに行くなど、なんとか息子の気持ち面での負担を減らせるように努めていました。
そんな息子が変わったのは、スポーツ少年団、いわゆるスポ少に入ることになってからでした。
息子が通う小学校のグラウンドでは週2回、16時からスポ少のサッカーの練習が行われています。
4月の初めから、ずっと「サッカーチームに入りたい!!」と言っていた息子。
募集開始のチラシと同時に見学と体験を申し込みして、チームに入れてもらえることになりました。
そのチームには小学校2年生と3年生の上級生がメインで、その子たちがすごく息子の面倒を見てくれています。
上級生の中には同じ学童保育に通う子もいて、自然と息子の学童内の過ごし方も変わってきたようです。
「上級生の知り合いがいるって、なんて心強いんだろう……!」
小学校に上級生のママ友がいなかった私は、とにかく感動しました。
今では息子が「早く帰りたい!」ということはほぼなくなりました。
ずっと屋内にいるより、週2回でも外で好きなサッカーができるというのも大きいようです。
今回はたまたま、上級生に心強い知り合いができたこともあり、行き渋りを乗り越えることができました。
ですが、もし息子が自分から理由を話してくれなかったら、実際の状況を把握するのは難しかったと思います。
これからは息子が「行きたくない」と言った時点で、自己判断せずにまずは先生に相談してみようと思いました。
これからも息子の小さなサインを見逃さず、打ち明けてくれる関係性は維持していきたいと思っています。
今回はラッキーでしたが、これからまた色々な事件が起こるんだろうな……と新米小学生ママとしてまだソワソワする日は続きそうです。