児童扶養手当とは、両親の離婚や死別などにより、1人親になった家庭に対して手当を支給する制度です。
生活の安定および自立支援を目指し、子どもの健やかな成長をサポートすることを目的としています。
従来は母子家庭のみに支給されていたため「母子手当」とも呼ばれていましたが、平成22年8月から父子家庭も支給の対象となりました。
児童扶養手当と混同されやすい制度として、児童手当が挙げられます。両者は対象年齢や対象条件などが、以下のように異なります。
児童扶養手当の条件は?年収いくらまで?対象者・支給額をわかりやすくご紹介
3,380 Viewさまざまな事情により、1人で子どもを育てることになった方は少なくありません。いわゆる1人親家庭を経済的に支援するために設けられているのが、児童扶養手当の制度です。今回の記事では、児童扶養手当の条件や支給額などについてご紹介します。児童扶養手当を受けようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
児童扶養手当とは
なお児童手当の支給対象となる子どもの年齢は、2024年10月からの拡充により、中学校卒業から高校生卒業まで引き延ばされる予定です。
参考:厚生労働省「児童扶養手当について」
参考:東京都福祉保健局「児童扶養手当」
参考:内閣府「児童手当制度のご案内」
児童扶養手当の対象者・支給条件
児童扶養手当を受給するためには、国が定めた一定の条件を満たしている必要があります。
こからは、児童扶養手当の対象者および支給条件についてご紹介します。
児童扶養手当の対象者
児童扶養手当の対象となるのは、後述する条件に該当する子どもの父または母、もしくは父母に代わって子どもを育てている保護者です。
対象となる子どもの年齢は、18歳に達する日以降の最初の3月31日までとされています。
ただし、心身に一定以上の障害がある場合は、20歳未満の年齢まで対象です。
児童扶養手当の支給条件
児童扶養手当の支給条件は、以下の通りです。
・父母が婚姻を解消した後、父または母と生計を同一にしていない子ども
・父または母が死亡した子ども
・父または母が一定の障害をもつ子ども
・父または母の生死が不明である子ども
・父または母が、申し立てによって保護命令を受けた子ども
・父または母が法令によって1年以上継続して拘禁されている子ども
・婚姻によらず生まれた子ども
・父母が不明な子ども(棄児など)
児童扶養手当の対象外になるケース
以下の条件に該当する場合は、児童扶養手当の対象外となります。
・子どもまたは請求者の住所が日本国内にない場合
・子どもが児童福祉施設などに入所している、または里親に委託されている場合
・子どもが両親と生計を同一にしている場合(父または母が障害による受給を除く)
・子どもが、父または母の配偶者(事実上の配偶者も含む)に育てられている場合
なお児童扶養手当法の改正により、平成26年12月1日から、公的年金などの給付額が児童扶養手当の支給額よりも低い場合は、その差額分の児童扶養手当を受け取れるようになりました。
参考:厚生労働省「児童扶養手当について」
参考:東京都福祉保健局「児童扶養手当」
児童扶養手当はいつからいつまで支給される?
児童扶養手当の支給は、認定請求のあった月の翌月からスタートします。
申請方法については、各自治体のサイトを確認してください。
また、支給をスタートした月から起算して5年、または支給要件に該当した月から起算して7年経過したときに、手当額の一部が制限されることがあります。
ただし認定請求をした日に、子どもが満3歳未満であった場合は、子どもが満3歳を迎えた月の翌月の初日から起算して、5年過ぎたときから制限が始まります。
制限額について、手当額の2分の1を超えて制限されることはありません。
詳しくはお住まいの自治体に確認することをおすすめします。
参考:埼玉県「児童扶養手当」
児童扶養手当の支給タイミング
児童扶養手当の支給されるタイミングは、奇数月の年6回です。
具体的には、1月、3月、5月、7月、9月、11月に2ヶ月分ずつ振り込まれることになります。
参考:厚生労働省「「児童扶養手当」が年6回払いになります」
児童扶養手当の支給額
児童扶養手当の支給額は、物価の変動などに応じて毎年改定されます。
支給額には「全部支給」と「一部支給」の2パターンあり、前年の所得と子どもの人数に応じて、どちらの支給方法になるかが決まります。
満額もらうためには、所得が一定以下である必要がありますが、実際にはさまざまな条件により異なることもあるため、住んでいる自治体に確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省「「児童扶養手当」についての大切なお知らせ」
参考:厚生労働省「児童扶養手当制度の概要」
参考:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
参考:埼玉県「児童扶養手当」
参考:横浜市児童手当の支給額(月額)
所得の計算方法
児童手当で扱われる所得の計算方法は、以下の通りです。
なお養育費とは、子どもの父または母から、前年中に母または父および対象となる子どもが受け取った金品などを指します。
所得=年間の収入金額-諸経費(給与所得控除額など)+養育費の8割-8万円(社会保険料相当額)-諸控除額
児童扶養手当の金額を決める所得制限限度額は、以下の通りです。
なお、所得制限限度額は年によって変更される場合があります。
参考:埼玉県「児童扶養手当」
参考:厚生労働省「8.自立を促進するための経済的支援」
一部支給額の計算方法
一部支給額の計算方法は、以下の通りです。
1人目月額=4万3,060円-{(受給資格者の所得額-全部支給所得制限限度額)×0.0230070}
2人目加算月額=1万160円-{(受給資格者の所得額-全部支給所得制限限度額)×0.0035455}
3人目以降加算月額=6,090円-{(受給資格者の所得額-全部支給所得制限限度額)×0.0021259}
※{ }内の額については、10円未満四捨五入
なお計算式の中の数値は、物価変動などによって改定される場合があります。
参考:大阪市「児童扶養手当」
参考:岡山市「児童扶養手当の所得制限と一部支給手当額の計算について」
実家で親と同居している・持ち家の場合も受け取れる?
実家で親と同居していたり、持ち家に住んでいたりする場合でも、1人親であれば児童扶養手当の申請ができます。
ただし、同じ実家で暮らしている両親や祖父母、兄(姉)弟(妹)の所得によっては、手当支給の有無や金額に影響がでる場合があります。
児童扶養手当を受けられるかどうかの最終判断は自治体によって異なるので、心配な方は早めに自治体に問い合わせましょう。
まとめ
今回は、児童扶養手当の条件や支給額などについてご紹介しました。
児童扶養手当は、1人親家庭が安定的な生活を送れるよう、国が設けた制度です。
子どもの健やかな成長を支えるために、制度をうまく活用していきましょう。
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