双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったことのタイトル画像
公開 2023年07月27日  

双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったこと

4,940 View

私は今年11歳になる男女の双子の母です。
今、「異次元の少子化対策」が話題ですが、私が双子を出産した10年前、あったら嬉しかった支援ってなんだろう…と考えてみました。


>シリーズの最初から読む

やっぱり大変。産後ケア


双子の場合、切迫早産になるリスクが高く、出産前の数週間管理入院することが多いと言われています。

私自身も、2ヶ月半の管理入院を経験しました。

出産までは要安静。

お腹の中で双子たちが1日でも過ごせるように、大きくなれるようにと寝たきり生活を強いられます。

そこから一変。

無事に出産したあとは、帝王切開の痛みも癒えぬままに、生まれたての双子との暮らしがスタートしました。

あれだけ安静といわれていたのはいつのこと。

3時間おきの授乳サイクルに飲み込まれていくのです。

2ヶ月半、寝たきり生活をしていたため筋力もなく、ヨロヨロの状態の私のもとに、コットと呼ばれる透明のベビーベットに小さな赤ちゃんが二人入った状態で部屋に連れられてきました。

双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったことの画像1
pixta_21111756_S

エンドレス授乳の日々


不安で押しつぶされそうになりながら母になった私と、新生児2人との生活がスタートです。

双子は約2000gと小さく生まれたため、ミルクの哺乳力も弱く、授乳にはかなりの時間がかかりました。

単胎児の赤ちゃんよりも体重は1000gも少ないのです。みなさんが想像する赤ちゃんより、一回り小さいと思ってもらえるとよいかなと思います。

そんな小さい小さい双子たちに、一人に授乳して、ようやく規定の量を飲み終えたと思うと、もうひとりの授乳。二人の相手をしているうちに、もう次の授乳タイムがやってきます。

エンドレス授乳タイムの始まりと、眠れない日々は、不安を増長させ、精神を蝕みました。


想定外…!双子がバラバラに退院するなんて


そんな中、息子はミルクが上手に飲めないため、新生児の退院規定体重に到達できず、入院をすることになりました。

「娘は退院してよいけれど、息子は入院」

そう告げられた時は、理解するのに時間がかかりました。

多胎児向けの情報誌に、「双子は出産後NICUに入院することも多い」と書いてあったので、二人同時に入院することは覚悟していました。

でも、一人だけ家に連れて帰れて、もう一人は入院だなんて。

赤ちゃんが入院している場合、毎日母乳を搾乳して病院まで届けなければなりません。

新生児の双子の娘がいる状態で、毎日病院に通う…?どうしたらいいんだろう…?

このまま、私も娘も退院せずに息子と一緒に病院に居られたら、どれだけよかっただろう…。

でも退院の日は迫ってきます。



双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったことの画像2
pixta_65010052_S

希望の産後ケアセンター


私は泣く泣く息子を病院に残して、自宅に帰りました。

あれから10年。今、徐々に増えてきている産後ケアセンターという施設があります。

産後ケアセンターの目的は母体の回復と育児の支援で、助産師や保健師、保育士といった専門職を中心としたスタッフがサービスを提供しています。

日帰りでの利用のほか、宿泊をしてサポートを受けられる施設もあります。

当時そんな施設があれば、娘を預けて入院している息子のところへ行くという選択肢が生まれたかもしれません。

実際、私は実両親の手を借りて、娘を預かってもらっている間に、入院している息子のところへ通ったのですが、これは運がよかっただけのこと。誰しもそんなサポートを見つけられるとは限りません。

この冬、出産を控えている友人が、産後は自宅には帰らずに産後ケアセターに入所する予定と聞きました。とてもいい流れだと思います。

もっともっと普及して、産後はケアセンターへ入所して、心も体調も整えてから自宅へ帰宅する。これが産後ケアのスタンダードになると良いなと思っています。


双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったことの画像3
pixta_81259238_S

もう一つの願いは、乳幼児健診のサポート


そして、私にはもう一つ出来たらいいなと思っていることがあります。

それは、乳幼児健診のサポート体制の拡充です。

乳幼児健診は、母子保健法第12条及び第13条の規定により市町村が乳幼児に対して行う健康診査で、1歳6か月児健診および3歳児健診は法定健診として義務付けられています。

その他にも、3〜4か月児健診があったりしますよね。

この産後の健診が、双子育児中はとってもハードルが高いのです。

双子母の脳内シミュレーション


まず、指定された医療機関や、検診センターに二人を連れていかなければなりませんが、辿り着くまでの当日の流れをイメージします。

二人分のミルクやおむつ、着替えを用意して、双子を着替えさせて、ベビーカーで外出するとします。

(平日の健診でワンオペのイメージです)

徒歩でいくのか。公共交通機関を使うのか。タクシーを使うのか。

抱っこ紐&一人用ベビーカーの併用スタイルでいくのか。

双子ベビーカーを使うのか。

そもそも双子ベビーカーは通れる場所なのか。

施設にエレベーターはついているのか。などなど。

何度も脳内でイメージしたり、ネット上にその施設や健診にまつわる情報がないか調べまくります。

健診に行ったら何をするんだろう。
一人ずつ順番で回らなければならなかった場合、双子を連れて行ったらどうなるんだろう?

二人いっぺんに見てもらえるのだろうか…?たとえば、問診の間、だれかもう一人を見ていてくれるなんてことがあるんだろうか。

もうこんなことを考えるだけでぐったりなのです。

母子手帳の、記録ページを書く前に心が折れそうになります。

そんな時、とある自治体では「乳幼児の健診を双子育児経験のあるボランティアさんがサポートしてくれる仕組み」があることを知りました。

これだ!と思いました。

乳幼児健診に行くためのサポートがしてもらえる。

多胎育児中の当事者の方々がボランティアではじめた活動ですが、こんなに心強いことはありません。

双子を産んだ10年前。あの時に、助けてほしかったことの画像4
pixta_99002181_S

多胎だけのためではなく、みんなのために


多胎じゃなくても、一人で健診に行くのが大変な方はいらっしゃると思います。

年の近い兄弟姉妹がいる場合などもあるでしょう。

外出が困難なこともあるかもしれません。

色んな状況を抱えたみんなが、安心して健診に行けるようなサポートを受けられた、いいな。

欲を言えば、通院もサポートしてもらえると、とても助かります。

そんな施策がもっともっと拡充されると良いなと願っています。

今回、多胎児の母親目線で、感じてきた双子育児中の「負」の側面について書いてみましたが、きっと「ふたごみつごにやさしい社会は、みんなにやさしい社会」になると思っています。

せめて我が家の双子たちが大きくなるまでには、みんなが安心して妊娠出産できる社会になっていてほしい。そんなふうに願っています。

Share!

ふたごを生んで、ここまで来られてのタイトル画像
ふたごを生んで、ここまで来られて #63
おぎのタイトル画像 おぎ

関連情報