完ミ(完全ミルク)育児へ切り替えるタイミングに、明確な基準はありません。
完ミ育児への切り替えタイミングに、絶対に守るべき明確な基準はありません。
1番大切なのは、
ママのメンタルや体調を優先すること。ご家庭の状況に合わせて、産後すぐに完ミ育児を始めることに問題はないでしょう。
パパママの生活スタイルを考慮して、無理のない選択がおすすめです。
なお、WHOでは、生後6ヵ月頃までは母乳育児が好ましいとしています。
しかし、母乳が思うように出ない、赤ちゃんが産後すぐに入院したなど状況によって、すべての人が母乳育児をできるとは限りません。
完ミや母乳育児にこだわりすぎず、
各家庭の状況に合わせた選択が大切です。
今しかない赤ちゃんとのコミュニケーションも楽しめるとよいでしょう。
完ミ育児をする場合でも、基本的に「初乳」は与えましょう。
産後すぐの完ミ育児に大きな問題はありませんが、覚えておきたいポイントが
「初乳」についてです。
最初の授乳時に分泌される母乳は、
「初乳」と呼ばれています。
初乳は免疫物質が多く含まれています。
生まれたばかりの赤ちゃんの未熟な腸管に、初乳に含まれる免疫物質が付着すると、感染症を防御する効果が期待できるといわれています。
産後すぐからの完ミ育児を考えているパパママも、初乳は可能な限り与えましょう。
産後すぐの時期から始める完ミ育児に大きな問題はありませんが、メリットとデメリットが気になる方は多いでしょう。
あらかじめメリット・デメリットを知っておくと、より安心して完ミ育児が始められます。
【完ミ育児のメリット5つ】
・哺乳量がわかりやすい
・授乳間隔がとりやすく、生活リズムがつきやすい
・ママ以外の人でも授乳ができる
・場所を選ばずに授乳できる
・ママに服薬や飲酒の制限がない
【完ミ育児の気をつけたいデメリット3つ】
・母乳育児と比べて経済的負担が大きい
・外出時の荷物が増える
・哺乳瓶の洗浄や消毒などの手間がかかる
完ミ育児のメリットは、パパや周りのサポートが受けやすい点です。
母乳育児では授乳できるのはママだけですが、完ミ育児であればパパをはじめ周りの家族が一緒に協力できます。
また、母乳と違い、哺乳瓶のメモリでミルクを準備できるため、1回にどれくらい飲んだかひと目でわかります。
ミルクは腹持ちがよいともいわれているため、満腹感を得られて夜もよく寝てくれたり、夜間授乳の回数が減らせたりする可能性も。
さらに、母乳を与えない完ミ育児では、ママの服薬や飲酒の制限がありません。
完ミ育児は、ママの負担やストレスを軽減できる点もメリットといえるでしょう。
完ミ育児で注意したいデメリットは、母乳育児と比べて費用がかかる点です。
赤ちゃんの哺乳量や月齢、ミルクの種類によりますが、完ミ育児には毎月4,000~1万5,000円程度の費用がかかるでしょう。
粉ミルク以外にも、哺乳瓶や哺乳瓶の消毒液、哺乳瓶用の洗剤やスポンジなど、完ミ育児には、多くのグッズが必要です。
基本的に消耗品であり、授乳のたびに器具を洗浄したり消毒したりといった手間がかかります。
また、外出時は調乳用グッズ常に持ち運ぶ必要も。
完ミ育児を選択した場合、自然と荷物も増えるでしょう。
粉ミルクの原料は牛乳です。
可能な限り母乳に近づけるために、牛乳を構成する成分を加工したり栄養素を置き換えたりして調整しています。
一般的な赤ちゃん用の粉ミルクに含まれる成分は次のとおりです。
【一般的な粉ミルクの成分】
・たんぱく質
・炭水化物
・脂質
・ビタミン
・ミネラル など
赤ちゃん用粉ミルクの主要成分は、
厚生労働省によって基準が決められています。
よりよいミルクを目指し、各メーカーが独自の開発や研究を重ねているため、成分は商品ごとに異なるでしょう。
ただ、基本的にどの粉ミルクも、赤ちゃんに必要な栄養を補給できる商品です。
治療用やアレルギー用の粉ミルクもあり、
赤ちゃん一人ひとりに合ったミルクを選べます。
赤ちゃん用のミルクは、非常に多くの種類があります。
完ミ育児において、粉ミルクは毎日一定量が必要なため、たっぷり入った大缶での購入がとくにおすすめです。
一般的に、調乳スプーン1杯(約2.6g)で20mlのミルクが作れます。
1回の哺乳量が160mlの場合だと、約20gの粉ミルクが必要です。
1日6回の授乳を仮定すると、大缶800gであれば6日ほどで使い切ると考えられるでしょう。
粉ミルクの消費量は月齢と1回の哺乳量、1日の哺乳回数などさまざまな要素によって異なるため、購入頻度やパパママの負担を考えてサイズや種類を選ぶのがおすすめ。
また、最近は液体ミルクも登場し、調乳の手間が省けるようになりました。
あらかじめ粉が計量されてキューブ状になっている粉ミルクもあるため、シーンや使用用途によって選ぶと便利でしょう。
粉ミルクは使う場所や用途によって、タイプが選べます。
ただ、商品のタイプによって費用が異なるのも事実。
経済的な負担を抑えるためにも、粉ミルクをどのようなシチュエーションで使いたいか考え、種類を選んでみましょう。
粉ミルクの主なタイプは下記のとおりです
【粉ミルクの主な種類】
・缶タイプ:大容量でコスパよし!自宅での調乳におすすめ
・詰め替えタイプ:ストックの場所も取らず捨てるときもかさばらない
・個包装タイプ:粉を計る手間がなく素早く調乳ができる
普段使いには、コスパのよい
大缶タイプがおすすめ。
毎日の粉ミルク代を少しでも節約したい方にぴったりでしょう。
詰め替えタイプは、最初に専用容器のミルクを購入し、2回目から袋に入っている詰め替え用ミルクを容器にそのままセットできます。
ゴミが少量で環境にやさしく、コンパクトなのが特徴。
ただ、取り扱いメーカーが限られているため、注意が必要です。
個包装タイプは、外出時や粉を計る手間をなくしたいときの便利アイテム。
キューブやスティック型などの種類があります。
大缶に比べ多少割高ですが、1番手軽に調乳ができるでしょう。
液体ミルクは、母乳代替食品です。
調乳された粉ミルクと同じ栄養成分を含んでいます。
液体ミルクの特徴は下記のとおりです。
【液体ミルクの特徴】
・お湯が不要で調乳の手間がかからない
・温めずにそのまま授乳できる
・外出時や緊急時にすぐ使えて便利
・滅菌済みではあるが、飲み残しは与えない
・粉ミルクに比べ高価
液体ミルクは、お湯や温めの手間が不要で、
開封後そのまま授乳できる点がメリットです。
滅菌処理は行われていますが、一度開封したものは雑菌が繁殖しやすいため、与えないようにしましょう。
また、大容量の粉ミルクなどと比べると、価格は高い傾向にあります。
状況に合わせて、粉ミルクと併用して使うのがおすすめです。
・育児用ミルクは授乳の都度作る
・哺乳瓶は常に清潔を保つ
・粉ミルクは70度のお湯で溶いてから冷ます
・授乳間隔は赤ちゃんのペースに合わせる
完ミ育児を行うには、粉ミルクの調乳が不可欠です。
まだ、免疫機能の弱い赤ちゃんに与える粉ミルクだからこそ、しっかりと調乳のきまりや手順を覚えておきましょう。
育児用ミルクの作り置きはNGです。赤ちゃんに授乳するタイミングで都度、調乳しましょう。
飲み残しを再度与えることも控えてください。
少量しか飲んでいないと、もったいないと思うかもしれませんが、1度口をつけたミルクは、雑菌が繁殖しやすいです。
調乳から2時間で使い切れなかったミルクは、次の授乳に持ち越さず廃棄しましょう。
ミルクを調乳する前に、自分の手をよく洗い、哺乳瓶や器具の衛生状態を確認しましょう。
哺乳瓶や乳首は、常に清潔に保つ必要があります。
哺乳瓶の一般的な消毒方法は次のとおりです。
【哺乳瓶の一般的な消毒方法】
・煮沸消毒
・電子レンジ消毒
・薬液消毒
哺乳瓶をはじめ乳首などの付属部品は、専用ブラシを使ってしっかりと洗いましょう。
調乳は、基本的に粉ミルクのパッケージに明記された手順に従って行いましょう。
一般的な粉ミルクの調乳方法はつぎのとおりです。
【粉ミルクの調乳方法】
1.粉ミルクを計量して哺乳瓶に入れる
2.70度のお湯で粉ミルクを溶く
3.水または白湯で人肌くらいまで冷ます
粉ミルクには、「E. sakazakii(エンテロバクターサカザキ)」などの細菌が含まれている可能性があります。
感染リスクを減少するために、一度
70度以上の熱湯で溶いてから冷ますことが大切です。
ミルクを冷ますときには、流水でも構いませんが、
「湯冷まし」の活用もおすすめです。
授乳間隔には個人差があります。
あくまでも目安と考え、個々の赤ちゃんに合わせたタイミングで授乳しましょう。
月齢ごとにも授乳間隔は異なります。
一般的に新生児期であれば、3時間おきに授乳するとよいといわれています。
ただ、きっちりと3時間おきに授乳する必要はないでしょう。
赤ちゃんの体調や様子を見ながら進めるのがおすすめです。
・母乳育児のほうがいいのですか?
・育児用ミルクをあげてもすぐに欲しがるのですが大丈夫ですか?
・育児用ミルクはいつまで飲ませればいいのですか?
産後の完ミ育児に多くの不安や疑問を持つパパママも多いでしょう。
母乳育児にこだわりたいと考えるパパママもいるかもしれません。
ここでは、よく聞かれる完ミ育児への不安をまとめてみました。
A.必ずしも母乳育児がよいというわけではありません。
母子のスキンシップや赤ちゃんの免疫的な観点などを理由に、「母乳育児がよい」との意見は、一定数あります。
しかし、ママの体調やメンタル、赤ちゃんの状況により、すべての母子が母乳育児できるとは限りません。
育児用ミルクにも、赤ちゃんに必要な栄養はしっかりと含まれています。
母乳育児にこだわりすぎず、ママの体調やメンタルを考え、その家庭に合った方法を探してみてください。
A. 可能であれば、ある程度は授乳間隔をあけるようにしましょう。
赤ちゃんが泣いてしまうと、「ミルクかな?」と、考えるパパママもいるでしょう。粉ミルクには、1回量にその分の栄養がしっかりと含まれています。頻繁に授乳するのではなく、
授乳間隔や1回の授乳量を調節するのがおすすめです。赤ちゃんは、空腹以外にも不快感や眠さ、寒暖差などさまざまな理由で泣くことがあります。ミルク以外の要因も一緒に考えられるとよいでしょう。
A.一般的には1歳頃までといわれています。
一般的に、ミルクをやめる時期は1歳頃までといわれていますが、
明確な基準はありません。基本的には、離乳食の進み具合に合わせて、ミルクの量は減っていく傾向にあります。個人差が大きいため、無理に1歳までとは決めずに、個々の赤ちゃんの成長段階に合わせて進めるとよいでしょう。
完ミ育児や母乳育児への不安は産後によく聞かれる不安の1つです。
中には、完ミ育児には抵抗を感じるパパママもいるかもしれません。
しかし、完ミ育児は「パパや周りの人に協力を得られる」「授乳間隔がとりやすい」など、母乳育児にはないメリットも多くあります。
ママの身体的・精神的な負担を減らし、パパと協力して育児できる点は大きなメリットです。
各ご家庭のライフスタイルに合う選択をするのがおすすめ。
今しかない赤ちゃんとの生活を楽しめるよう、完ミ育児もひとつの方法として候補にいれてみてはいかがでしょうか。