政府は今年9月、中小企業向けの両立支援策を拡充する方針を示しました。
焦点が当たっているのは、育児休業(以下、育休)の取得のしやすさ。
育休を取得した本人だけでなく、欠員を支える側への手当の支給について触れられています。
情報源は、厚生労働省の労働政策審議会 (雇用環境・均等分科会)で発表された「令和6年度概算要求の概要(雇用環境・均等局)」という資料。
それによると、これまでの両立支援策に加えて「育休中等業務代替支援コース(仮称)」を新設する見込みです。
新支援策がフォーカスしているのは、育休取得者を支える従業員(以下、代替要員)への手当の補助額を増やすこと。
現行では育休取得者1人当たりの補助額は10万円ですが、金額を引き上げて最大125万円を補助する方針であることが明記されています。
具体的には、体制を整備するのにかかる費用を2〜5万円補助するほか、中小企業が代替要員に支払う手当額の4分の3を、月10万円を上限に12か月まで政府が援助する仕組みを想定しています。
育休は働く人の権利ではあるものの、職場に迷惑がかかることを気にして取りづらさを感じるがあります。
特に、人員にゆとりがないことが多い中小企業にとって、欠員が与える影響は小さくありません。カバーする側の社員の負担感も増してしまいます。
育休を取る人はやがて復職するわけですから、気にしてしまうのは仕方がないことだと言えます。
しかし、代替要員にも手当が支給されることで彼らが「単純に業務が増えて負担だ」と感じづらくなる効果が期待できます。
今年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」でも、「代替要員への配慮」が次のように書かれています。
「男女ともに、職場への気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため(中略)育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。その際、業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額を検討する」
今後、育休を取る従業員は気兼ねしづらくなりそうですね!
参考:労働政策審議会 (雇用環境・均等分科会) 令和6年度概算要求の概要(雇用環境・均等局)
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/24syokan/dl/gaiyo-08.pdf
内閣府「こども未来戦略方針」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/pdf/kakugikettei_20230613.pdf