我が家にはこの春小学校6年生になった男女の双子がいます。
ある日のこと、私がキッチンで夕食を作っていると、息子が「ぼくさ、ふわふわのオムライスが食べたいんだよね」と言い出しました。
ふわふわのオムライス。それは美味しそう。母も食べたい。
そんな会話をしていると、「作れる?あの、ナイフで切ると中から卵がトロ〜って出てくる、ふわふわのオムライス」と言います。
あー。あの、よくテレビで見るきれいなオムライスのことね。
残念、母にはあのふわふわオムライスを作った経験がありません。
「あのふわふわオムライスは作ったことないな〜。だって家で食べたことないでしょ」と言うと、「そっか〜。あれ食べてみたいんだよね。僕も作れるようになるかな〜」と言いました。
私も作ったことはないけれど、「練習したら作れるんじゃない?」と伝えると、その日から息子のオムライス研究が始まりました。
料理本を見たり、YouTubeを見たりしながら、色んなオムライスの作り方を調べていた息子でしたが、ある日読んでいたマンガの中に、フライパンを使わずに、ボウルで卵を湯煎して作るレシピを発見。
これなら自分でも作れるかも!ということで、作ってみることにしました。
ボウルで卵を湯煎するのですが、なんと12分間湯煎すると言います。
ガ…ガス代が気になる…。とか、一回12分だとすると、家族全員分出来上がるのはいつになるの?とか。
色々気になってたまりません。
そんな中、ひたすら卵の入ったボウルをかき混ぜ続ける息子。
「きつい〜」「腕がいたい〜」と言いながらも楽しそうです。
12分間かき混ぜた結果、ボウルの中の卵は、ふわふわの卵に変わっていました。
出来上がった”ふわふわの卵”をチキンライスにのせて、「息子作ふわとろオムライス」は完成したのです。
さすが12分の湯煎。とっても濃厚で、娘も「おいしいーーー!!」と大絶賛でした。
正直、とんでもなく時間がかかったのですが、息子は「あれだけ混ぜた甲斐があった。あの時間の意味が今ならわかるわ〜。」とご満悦でした。
マンガのふわとろオムライスが作れた息子は、なんだか自信がついたようで、「次こそはあのナイフで切るオムライスを作るんだ!」とさらに意欲的になりました。
そして数ヶ月後。息子が再びオムライスを作ることになりました。
せっかくなのでチキンライスも作ってもらうことに。家族4人分のチキンライスを作ってみると、「材料切るのって大変だね」とか、「お米混ぜるのってこんなに重たいんだ。」とブツブツ。
料理ってこんなに大変なんだね。と言いながらメインイベント、卵の部に入りました。
素人がふわふわオムライスを作るには、卵の量が多いほうが作りやすい。との情報を得た息子は、大量の卵を割っています。
私がオムライスを作るときには使わない量の卵に「えー、そんなに卵使うの!!」と言いたいところでしたが、余計な口を挟むのはやめよう。今日は息子に任せたんだから最後まで見守ろう。私は言いたいことをぐっとこらえました。
中をふわふわにするためには、火加減も大事です。(ちょっと火が強すぎるんじゃない?)
卵液をフライパンに入れて、手早くフライパンを動かす必要もあります。(早くフライパン傾けた方がいいんじゃない?こげちゃうよ!)
箸も使いこなさねばなりません。(ほら、もっと早くかき混ぜないと…!)
言いたいことが、次から次へと出てきます。
でも、一人でやり切る経験も大事。これは母の修行。と自分に言い聞かせ、ひたすら見守り、ようやく1人分が完成しました。
素早くチキンライスの上に乗せて、ナイフで切ってみると…。
思ったほどトロ〜っととろけ出ることはなかったのですが、中はちゃんと半熟になっていました。
私からしたら、初めてのオムライスでこの出来栄えは十分じゃない?と思うほどでしたが、息子としては、もっとトロ〜っととろけ出てほしかった〜と悔しそう。
「チャンスはあと3回!」家族分のオムライスで挑戦を続けました。
途中、思うように形が整わなかったり、チキンライスの上に乗せるのがうまく行かなかったり…な〜んてこともありましたが、お店ほどトロ〜っと開くことはなくても、十分おいしいふわふわオムライスが完成しました。
正直、息子のオムライス作りについて、口を出したいタイミングはいっぱいありました。
でも、見守り係に徹してみて良かった。息子はもうここまで一人でできるんだ。
小さい頃は、キッチンでお手伝いしたい!と言われても、私一人で双子を見守るには限界があり、思うようにお手伝いをさせてあげられなかった我が家ですが、いつの間にか一人でオムライスが作れるまでになり、息子の成長を感じた出来事でした。
そんなオムライスに挑戦する息子に触発された人が一人。
そう、娘です。
さすが双子というべきか。今度は娘が「”だし巻き卵”を作りたい」と言い出し、今、我が家では娘によるだし巻き卵研究が始まりました。
なんとも双子っぽい…笑。
そこはかとなく張り合っている感じがします。
正直、見守り係は苦しいときもあるけれど、双子たちが「料理を作りたい」なんていつまで言ってくれるかわからないので、この時間を楽しもうと思います。