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公開 2024年06月12日  

今、人生史上最高にアツい!世界観を一変させた小4男児のドッジボール

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私は今新しい扉の向こうにいます。ドッジボールが楽しいです。


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3人の子どもたちが全員小学生になっですぐの頃、なんだかひとつのステージが終わった気がして、少し寂しかった。

ここから先はつないでいた手を離して、そばで見守っていくのだな、と誰に言われたわけでもないのにそう思った。

刺激的だった未就学児との日々を手放して、少しずつ秩序ある人間へと仕上がる彼らの伴走者になる。

そんな気持ちをゆっくりと受け入れていった。

それは寂しくもあるけれど、自然なことだ。

刺激的だった毎日よさようなら、今までありがとう。

そうして手を振ったあの毎日を懐かしく思うと同時に、今、私は新たな刺激を浴びていることをあの頃の私に教えたい。

私は今、人生の新しい扉を開き新しい世界を見つけ、肌つやが良くなっている。


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現在、真ん中長男が小学校4年生。

小学生男子と言えば、全国津々浦々、北から南、西から東、ドッジボールが最前線だと昔から相場が決まっている。

私が小学生のときもそうだった。

男子はみんなドッジボールが大好きで、鋭い眼光で狙いを定めて剛速球を投げ飛ばしてくるの生き物だった。

あの頃、あれがほんとうに嫌で嫌でたまらなかった。

運動神経のない私はいつだって逃げるしか能がなく、必死でコートの隅から隅までを走り潰して、最後のひとりになっていた。

狙われることのない外野にさっさと行きたいのに、あの剛速球にあたる勇気もない。

始まりから終わりまで絶望しかなかった。

担任の先生が体育の時間に気まぐれに「時間が余ったからドッジボールをします」などと言おうものなら、心底悲しかった。

さて前置きが長くなったけれど、転じて今、私の一番の関心事はドッジボールだ。

誇張でもなんでもなく、毎日ドッジボールのことを考えている。

ドッジボール最高。

ドッジボール楽しい。

ドッジボール大好き。


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きっかけはよく覚えていないけれど、今年のGWは息子をはじめとする小学生男子たちとほぼ毎日ドッジボールをしていた。

彼らは当然のように毎日公園へ行き、なぜだかいつの間にか私もドッジボールメンバーとして換算されており、気がつけば私も全力でボールを投げていた。

小学生の頃は恐怖に取りつかれて逃げることしか考えていなかった景色は、すっかり大人になった今、落ち着いてコートの中で見るとまったくちがっていた。

私が入れてと言ったのか、頭数が足りなくて誘われたのか、よく覚えていないが、コートの外から見るのとコートの中に入るのとでは訳が違う。

私も等しく狙われるし、油断なんてしていられないのだ。

日ごろ、うんことかゾンビとかゴリラとかを無意味に叫んでいる小僧たちが、鋭い目つきでボールを投げている。

私には到底受け止めきれない速球を、体をくの字に折り曲げて受け止めている。

その球の速さを表すように、受け止めた瞬間パァンと音が鳴る。

痺れる。

運動神経に恵まれなかった人生だから、彼らの身体能力の高さに何度も目を見張ってしまう。

球をキャッチした瞬間に、素早い動きで次のターゲットを見極め、体重を乗せて素早く投げる。

なんと頼もしいことか。

素晴らしい反射神経、素晴らしい動体視力。

君たち軒並み、もっとその、なんていうの、おバカだと思っててごめん。

全員最高だ。

私は、試合開始早々に球を当てられて外野に送り込まれるのだけど、味方の内野からはジェスチャーで

「当てようとしなくていいから、球を拾ったらこちらへ投げよ」

と指示が出る。

ついこの前「しちしちにじゅういち」と言っていたのに、そんなことが君は分かるのか、と感心する。


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ゴールデンウィークの後半は夫も仕事が休みだったので、ぜひドッジボールを見せたいと一緒に公園へ行かせた。

最初は大人の余裕を見せていた夫も、次第に白熱し、ついには「もう腕が上がらない」と弱音を吐いた。

ひとり、ものすごく上手い子がいて、「あいつに一度でいいから当てたかったのに」と上がらない腕をさすりながら悔しがっていた。

そんな風に、ドッジボールに開眼した私たちは、見つけてしまうのだ。

市政だよりの中に書かれた「市内小学生ドッジボール大会」の文字を。

私と夫は阿吽の呼吸で頷き合い、息子とその友人に「これに出よう。メンバーを集めるんだ」と通達した。

そして、公式のルールを調べ、練習用のドッジボール3号球をすぐに買った。

今や、私たちがすっかりドッジボールのとりこになっている。

毎日、間もなくやってくるドッジボール大会のことを考えて楽しくなっている。

息子や少年たちの本気のドッジボールを観戦できるのが楽しみで仕方がないのだ。

スポーツ好きの人から大ひんしゅくを買ってしまいそうなのだが、私はこれまでスポーツ観戦の面白さを人生で一度も理解したことがなく、あらゆるスポーツをうまく情報処理することができないまま大人になってしまった。

ところが、今、私は来る「市内小学生ドッジボール大会」を心待ちにしており、早く試合を見たいと首を長くして待っている。

贔屓のチームがあるってこんな気持ちなんだな、人はこんな気持ちで野球場へ行ったり、スポーツバーへ行ったりしているのだな、とやっと理解した。


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そんな風に、私は新しい扉の向こうで人生で初めての刺激を今たっぷりと頂いている。

スポーツがこんなにワクワクするものだとは知らなかった。

ちなみに、もともとスポーツ全般において観るのもやるのも好きな夫は、若い頃から贔屓にしているチームがあり、スポーツ関連のグッズやアイテムもたくさん所有している。

そんな彼が今、新たに贔屓のチームを手に入れてしまったので、どうなったかというと、有料のイラストソフトをインストールして、手引きを片手にチームTシャツをデザインしてしまった。

夜遅くまで頭を抱えてパソコンと睨めっこしていると思ったら、ある日おもむろに「これどうかな」とビシッと決まったロゴデザインを見せられて度肝を抜かれた。

数社に見積もりを取り、間もなく現品が納品されるらしい。

少年たちの親御さんに引かれないか少し心配している。



さて、ここからは後日談になるのだけど、件のドッジボール大会で我々野良ドッジボールチームは、並みいるクラブチームを跳ねのけて、準優勝を飾ることとなった。

ここまで来たらもう、楽しいどころの騒ぎではない。

道頓堀に飛び込む人の気持ちも、ビールを浴びる人の気持ちも、シーズン中それしか考えられなくお父さんの気持ちももう全部分かってしまった。

来年の試合まで待てそうにないので、次なる供給を求めるべく、ドッジボール大会の開催を探している。


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