コノビー編集部の選りすぐり!何度でも読みたい、名作体験談。
今回はコノビーで連載されている、宮野茉莉子さんの記事を紹介。
末っ子の急な発熱時、驚くべき頼りがいを見せてくれた兄2人の成長エピソードです。
初回公開はこちらです。
https://mama.smt.docomo.ne.jp/conobie/article/27729
子どもの体調に急な変化はつきもの。
急に熱が出たり、咳が止まらなくなったりと、かかりつけ病院の開いていない時間に症状が強く出ることもあります。
小学生から未就学児まで3児を育てている私は、これまで何度か夜間救急へ受診したことがあります。
あれは、末っ子が2歳のころ。
夜中に高熱と腹痛で起き、その後寝付けなった様子を見て、小児救急電話相談で相談しました。
夜間ですが、受診したほうが良いとなりました。
時計を見ると、夜中の1時過ぎ。
大人は私しかいないので、当然、上の2人の子たちも連れて行かねばなりません。
上の子たちには「夜中に起こしちゃってごめんね」と、申し訳なく思いつつ声をかけました。
すると、目覚めた瞬間に「こうなるって分かってたから大丈夫」と、当時小3の長男。
まだ眠る次男(年中)を、一緒に起こしてくれました。
次男が起きると、長男が「妹がお腹痛いから病院に行くよ」と説明。
ぐっすり眠っていた次男も、非常事態だとわかったのか、シャキッと目覚め、進んで着替えて「さぁ行こう!」と言ってくれました。
次男はさすがに眠いと愚図るのではないかと思っていたので、この対応には驚き、息子2人の臨機応変さに感謝しました。
車に乗り込み、エンジンをかけると、焦る私に長男がひとこと。
「こんな時だけど、焦らず落ち着いて行こう。焦る方が良くないからね」と。
末っ子は家を出る直前に吐いていました。
そのことを気にかけ、次男が「大丈夫? 気持ち悪くない? 吐きそう?」と末っ子に話しかける声が聞こえてきます。
子どもたちに心配そうな様子は見せまいと思っていましたが、ソワソワしている私に長男が「大丈夫だよ」と安心させてくれることも。
長男と次男の優しい思いやりに胸が熱くなりました。
そして、何度も何度も「ありがとう」と伝えました。
無事診察と治療を受け、帰宅したのは朝方の4時頃。
「時間外診療って高いんだね」
「すっかり目が覚めちゃった」
「外ってもう明るいんだ」
「お腹空いちゃった。特別にお菓子食べない?」
なんて子どもたちの他愛ない話を聞きながら、緊張の糸が切れたのか、ホッとする自分に気が付きました。
大きな壁を乗り越えた後の、安堵感のようなものがありました。
深夜に上の子たちを連れて行くことを、申し訳なく感じていた私。
気づけば上の子たちの冷静さと思いやりに、助けられた自分がいました。
「いつの間にこんなに大きくなったんだろう」
「小さくてもここまで思いやることが出来るんだ。子どもってすごい」
と感心し、自分とは違う「ひとりの人間」として、子どもたちを尊敬する出来事でした。
「母親の私がしっかり子どもたちをリードしなきゃ」と心のどこかで思っていたものの、少しずつ確実に成長していく子どもたちに、嬉しく、誇らしく、そして、私一人じゃないと安心できる気持ち。
いろんな気持ちが混じっての、「ありがとう」が溢れてくる出来事でした。