コノビー編集部の選りすぐり!何度でも読みたい、名作体験談。
今回は、コノビーで連載中の「あめのさん」の名作をご紹介いたします!ある日突然娘さんに、「ママのことが嫌いだった……」と言われたあめのさん。読めばきっと、あめのさんのように家庭内を見つめなおすことができる大切な作品です。
初回公開はこちらです。
https://mama.smt.docomo.ne.jp/conobie/article/27839
「4歳の時、ママのこと嫌いだった」
それはまだ寒い日のお風呂上がり、5歳の娘にパジャマを着せてあげている時のこと。
唐突に娘が私の言葉に、私は一瞬ポカンとしてしまいました。
数秒の間があった後、なんとかひねり出した言葉は「え、い、今は?」でした。
少し大人びていて、親も驚くような発言をたびたびする5歳の娘。
私は、なんとか笑顔を作ってはいましたが、内心では驚きを隠せませんでした。
「今は好きだよ」
娘が少しはにかむように言ったので、ホッと胸をなでおろす私。
そこで、もう一つ気になるのは理由です。
でも、「よくわからない」としか答えてくれず、その話はそこで終わってしまいました。
「嫌われた理由はわからないけど、今がいいなら、いっか!」
…とはまったく思えず。
大人だけしかいないときに、夫に一連の流れを話したところ、驚いた彼にまず言われたのは、「ママは娘ちゃんのこと、全然怒らないのにね」でした。
たしかに私は娘に対して、叱ることはほとんどありません。
でもそれは、娘は落ち着いていて、周りをよく見て行動するので、注意するようなことが起こらないという結果論にすぎません。
正直、上の息子の方がマイペースすぎて目が離せないのでよく怒ります。
もちろん、子ども達どちらのことも愛しています。
ただ、娘に対しては叱らなくて済むぶん仲良く穏やかに過ごせていたので、愛情をストレートに伝える機会は多かったと思っています。
それなのに「嫌いだった」発言は、なかなかの衝撃でした。
それから半月くらい経ったある日、夫が私に続報を伝えに来ました。
娘と送り迎えの車内で、その件について話す機会があったそうです。
ママのことを嫌いだった理由は、なんと「いつも怒っているから」だったそう。
「えっ?私、娘ちゃんのこと全然怒ってないじゃん!」と、驚いている私に、夫は言いにくそうに答えました。
「お兄ちゃんをママが怒っている姿を見るのがイヤだったらしい」
私は絶句しました。
たしかに大人でも同じようなことってありますよね。
たとえば職場で上司から同僚が叱責を受けている時。
自分は怒られていなくても、なんだか体が縮こまってしまいます。
職場の雰囲気も殺伐としますしね。
それと同じことを、私は家庭内でやっていたのか……と衝撃を受けました。
娘は周りを見ることに長けているぶん、私が息子を叱っている状況に対して、余計にネガティブに反応してしまう。
そんなことにやっと気づきました。
息子が小学生になって、だいぶ落ち着いてきたこともあり、ここ最近は叱る機会が減っていました。
そこでやっと娘の心が安定したのかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
そして同時に、本音を話してもらえて良かったとも思いました。
今回は思わぬことがキッカケで、自身が家庭内で与える影響の大きさを再認識しました。
「母親は家庭の太陽」みたいな言葉はプレッシャーを感じて苦手でしたが、やはり「私は子ども達にとって大きい存在なんだ」と思わされた出来事でした。
家の中は子どもにとって、リラックスできる安全な場所であって欲しいと思っているので、反省もしました。
ただ、育児の中で「叱る」ことは避けて通れないアクションな分、ここは悩ましい部分。
とにかくなるべく笑顔で過ごすことを意識しようと思っています。
……ところで娘は、夫のことは「ずっと好き」らしいです!
夫はそもそも穏やかで、細かいことを気にしないからなのか、イライラしていることもほぼ無く、子ども達にもあまり怒りません。
なのでつい、私が叱ることが多くなるため、今回の件に関してはなんだか悔しい気持ちもあります(笑)
「夫婦でバランスが取れている」とも言えますが、今回のパターンのように本音を話してくれるのは何歳までなのか……と思うと、ちょっと不安もあります。
夫婦でも「叱ること」についてよく話し合うつもりです。