コノビー編集部の選りすぐり!何度でも読みたい、名作体験談。
今回は、コノビーで連載中の「あめのさん」の名作をご紹介いたします!いつも一緒にいると見えなくなってしまう、子どものこと……。ふとしたことをきっかけに、気づくことがあります。
初回公開はこちらです。
https://mama.smt.docomo.ne.jp/conobie/article/27047
「この子は大変そうだなぁ」
息子に対する叔父のその一言が、キッカケでした。
わが家の小1息子はとにかく気になるものに一直線な性格。
良く言えば、マイペース。
悪く言うと、周りが見えない、気にしない。
親の言うことも完全にスルーして、自分の興味を最優先します。
みんなで目的地に向かっていても、自分だけ別行動をとろうとする、なんてことは日常茶飯事。
お友達と一緒に遊んでいても途中で抜けてしまったり、人が大勢いる場所でよそ見をして、見知らぬ人にぶつかりそうになったり。
他の人に迷惑をかけてしまうこともしばしばありました。
この春、小学校に入学してかなり落ち着いたものの、まだまだ自由奔放な息子。
私はそんな息子に対して、もっと周りを見て行動してもらえないものか、落ち着きや協調性が身につかないものか、と私は日々、頭を悩ませていました。
そんな中、家族全員で初のUSJへ行くことに。
関西に住む義理の叔父も誘い、コロナの影響で3年ぶりとなった再会も含めて、とても楽しみにしていました。
当日、新幹線で新大阪駅に到着すると、息子は初めての大都会に大興奮。
興味をひくものがたくさんあるのか、あっちに行ったりこっちに行ったり。
新幹線のホームから、待ち合わせ場所の改札まで、誘導するのにまず一苦労でした。
他の人の迷惑になるから、よそ見せずにパパとママに付いてきてね、と事前に話していたことは、すっかり忘れた模様。
そこからも、乗り込んだタクシーの中では景色が気になってじっと座れない、ホテルのチェックインが待てなくてフロント階からフラフラとどこかに歩いて行ってしまうなど、息子から目が離せない状態が続きました。
私も長距離移動と、息子の動向に神経をとがらせていた疲れもあったのか、義理の叔父の前で息子を何度か叱っていました。
そんな様子を見ていたこともあったのか、叔父は子どもたちが就寝後、 「この子(息子)は大変そうだなぁ。ちょっと困るな」 と、冒頭の言葉を口にしたのです。
叔父の言葉に対して、私は自分でも予想外な反応をしてしまいました。
私はすぐさま一気に、叔父に話しました。
「確かにそうなんです、でもですね、そうは言ってもいいところもたくさんあって!」
「最近は学校でもずいぶん落ち着いて授業が聞けるようになって!勉強が大好きで、もう掛け算や割り算も得意なんですよ」
「友達が多くて、サッカーが大好きで、先輩のお兄ちゃん達にもすごくかわいがられていて……」
そう、私は息子の「いいところ」をアイドルのマネージャーばりにアピールし始めたのです。
「大変そうだな」という叔父の言葉に対して、「そんなことない、すごくいい子なんです!」と。
正直、普段は母親である自分が一番「息子君はなんでいつもこうなのかな」とヤキモキしているのに。
義理の叔父とはいえ、普段の姿を見てない他人から少しネガティブな言葉を言われただけなのに。
その叔父がちょっと引き気味になるほどに、私はかなり過敏に反応してしまったのです。
この経験の後、自分こそ日頃から息子の短所ばかり見ていたかもしれないと気づかされ、反省しました。
「自分は言ってもいいけど、人に言われるとイヤ」
というよくある勝手な言い分を、身をもって体験してしまった瞬間でした(笑)
小学校入学から、気付けばもう約7か月。
入学したばかりの一学期は、息子のメンタルケアのために仕事をセーブしたり、なるべく余裕を持って接するようにしたりと、自分も母親として色々と工夫していました。
ですが息子が学校に馴染むとともに、いつの間にか自分こそが「マイペース」になっていたようです。
好奇心旺盛で何にでも興味を持つことができる息子。
気になることは追及したい、というその探求心。
とても素敵なことだな、とわかっていたはずなのに。
何よりも大切な息子の、「良いところ」を見てあげる余裕が無くなっていたことに気付きました。
その後の道中は、私が見る視点を変えたこともあるのか、怒ることは少し減ったように思います。
息子がずっと行きたがっていたマリオエリアで、楽しそうな笑顔を見ることもできました。
つい言い返したようになってしまい、失礼なことをした……と内心ヒヤヒヤした叔父も、御礼の電話の際に「楽しかったよ」「また誘ってね」と言ってくれて、良い思い出になりました。
ちなみに私がフォローできていなかった部分はいつも、穏やかな夫がカバーしてくれていたので感謝しかありません。
叔父の何気ない一言のおかげで、わが身を振り返ることができた旅行となりました。
これからも、子どもの良いところを見る余裕を持っていたいと思います。