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公開 2015年09月04日  

「妹のことで、嫌な思いしたことある?」お兄ちゃんの答えから、障害児の兄妹子育てについて考える

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障害児の兄弟姉妹は、学校へいくといじめに合わない?いつも我慢ばかりさせられて、かわいそう~!などと不安の声も聞こえてきますが、現状はどうでしょうか?我が家が子育てを通して感じたことをお伝えします。


障がいのある子とその兄妹の子育て。一番大きな影響を与えるのは、親の感情ではないでしょうか

障がいのある子の兄妹子育てにおいて、一体どんな影響があるのでしょうか。



可哀想な気持ちを抱いている人からは「本当に気の毒よね?」と思われてしまうこともあるでしょう。

恥ずかしい気持ちを持っている人からは、できるだけ触れないように、触れてはいけないんだと感じられてしまうかもしれません。しんどそうにしているときには、「しんどいの?大丈夫?」と声をかけてもらえるでしょう。



周囲にいる全ての人の考えや接し方が子どもに影響を与えると思いますが、特に親の思いは、一番に我が子に影響を与えると感じています。親が不安や心配をしていると、それがそのまま子どもに伝染してしまうのではないでしょうか。



ですから、親が、どういう感情で接するか?によっても、その兄弟姉妹への影響が違ってくると思っています。

「かわいいから仕方ないやん!」と、お兄ちゃんが妹を気遣う言葉にほっこり!

娘は、息子(お兄ちゃん)が1歳3ヶ月の時に生まれました。年子だから、「双子のような感覚で育てられるだろう」「お兄ちゃんやねんから、という言葉は使わんとこな!」と、当時夫婦で話しました。



やがて、娘は他の子よりも成長が遅く、障害があることがわかってきました。双子のように育てるつもりが、どんどんとお兄ちゃんとの差がついていったのでした。



そのため、息子になら怒ってしまうようなことも、それがいけないことだと分かっていない娘には『ダメ!』と言いつつも怒れないことが多くなっていきました。



そんな時、息子へは『ちぃちゃんはかわいいから、仕方ないかぁ~』と言うと、息子もそれで納得してくれていました。



だから、私が娘に『ちぃちゃん!ダメでしょ!!』と怖い顔して言うと(本気で怒ってるわけじゃないのですが)息子の方から、『ちぃちゃんは、かわいいから仕方ないやん』と言ってくれるようにもなりました。



そして、障がいがあっても、自然体で子育てをしてきました。

それは、夫も私も、小学生の頃にクラスに障がいのある友達がいたことで、当時から障がいのある子に対して、マイナスのイメージを持っていなかったことが大きかったからかもしれません。



一緒に育ってきた経験がなければ、障がいがあることは特別なことに感じるかもしれませんが、障がいがあってもなくても、かわいい我が子に違いはないと思うのです。



自然体というのは、私の場合、元々がズボラな性格の為、息子にも、ええ加減な母で何が悪い?!という調子で子育てしていました(苦笑)



そんな親なので、わざわざ我慢させる必要はなくとも、同じ家族である以上、娘や私たち家族に様々な壁があるなら、そのことをどう捉えて、時にはどう解決していくか?について、その年齢に応じて、息子にも一緒に考えてもらってもいいのじゃないか?と思っていました。



親は子を守るもの、という考えばかりにならず、子どもといえども家族の一員に違いはないので、頼れるところは頼りながら、私も一緒に育っていこうと思いながら、生きてきました。ええ加減な子育てのおかげで、悲観的になることもありませんでした。

兄妹を育てる上で気をつけていた、たった一つのこと

一つだけ、意識して気をつけていたことといえば、息子の話を聴くことでした。



娘を抱っこすることが多かったので、その際にできるだけ、息子の話は聴くように気をつけていました。そのせいかどうかはわかりませんが、大学生になった今も、息子はよく喋るんですよ(笑)



夫の方も、小さい頃は、できるだけ息子の方を抱っこするように心がけてくれていました。

大きくなったお兄ちゃんに、「妹のことで嫌なことはあった?」と聞いてみたら・・・

では、そんな息子の本音はどうでしょう?



娘が小学生の頃、息子にクラスメートの友達が『おまえの妹って、障害児なん?』と聞いているのを目撃していた先生方から、その時の様子を聞かせていただきました。



先生方も少しドキッとしながら横で聞いていたところ、お兄ちゃんは、 『そうやで~!(それがどうかしたん?)』と、ごく“フツー”に答えていたそうです。



そして、大学生になった頃、お兄ちゃんに、 「今まで、妹のことで、からかわれたり、嫌なことってあった?」と聞いてみたら、「そうやなぁ~~。あったかなぁ~~???」

と少し考えてから、



「別にないんちゃう?」

「一緒に学校行ってたし、みんなちぃちゃんのこと知ってたし、理解してたしなぁ~」

「大変やなぁ~と気の毒そうに言われたことがあって、その時は、ビミョーにムカついたけど、でも、まあ、怒るようなことじゃないし」

「高校になってから、障害者がきらい!と言ってる人がいて、ちょっとムッときたけど、そいつも、今まで、周りに障害者がいてなかったんやろう~~」

と教えてくれました。



そして、『兄弟姉妹の会』などもあるそうですが、息子に聞くと、 「いらんで。妹が障害児やからって、なんの悩みもないねんし。」と言われています。



もちろん、少しの悩みや心揺れることはあったでしょう。



でも、どこの家庭にも、その家庭にしかわからない悩みや葛藤はあるのではないでしょうか?

たまたま我が家では、障がいのある子がいるということなだけで。

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子どもはどんなに小さくても、自分の考えをもっている。

親は、“育てる”ことばかりに意識がいくと思います。ですが、幼児の頃から、どの子も自分なりに考えを持っていると思います。



そんなステキな子どもたちのことを、大人は認め、守ることばかりにとらわれずに、障がいのある兄弟姉妹と一緒に生きていく力は十分にあると信じてあげていいと思います。それは息子を見ていて思ったことではなく、娘に関わってくれる周りの子どもたちの様子をみながら感じてきたこと。



もちろん、まだまだ未熟ですし、個人差もあるでしょうから、何かあればその時はすぐに対応できるように、目を離さずに見守っておくことは大事なことだとも思います。



心配するのは当然ですが、同時に、子どもの力も信じてあげてほしいなと思います。子どもはみんな、小さいときから、自分なりの考えを持っているのですから。

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