「おめでとう!」
おなかの中に生命が宿ると、家族、友人、上司、同僚・・・さまざまな人から祝福のシャワーを浴びます。だってとってもおめでたいことですものね。
けれども私は、その「おめでとう」が、実はとてもつらかったです。なぜなら自分は、母親に向いていないと思っていたから。母親の資格がないと思っていたから。
でも、子どもを望んでも恵まれない人がいる現実の中で、大きくなっていくお腹がちっとも嬉しくないなんて、言えませんでした。子どもを授かることイコール嬉しいことが当たり前の世の中で、不安と恐怖の方がずっと大きいんだなんて、誰にも言うことが出来なかったんです。
もしかしたら、たったひとりで同じような想いを抱えているプレママの方もいるかもしれない。今日はそんな方に向けてのメッセージです。
【体験談】母親になるのがこわい。母親になる自信がなかった私が、出産して気づいたこと
59,244 View妊娠すると、「おめでとう!!」そう周りから祝福される中で、実は不安を抱えていらっしゃるプレママもいるかもしれません。かくいう私がそうでした。なぜなら私は、「母親になる資格がない人間」だと思っていたからです。そんな私が実際に出産して、母親になってみて気付いたことを、お伝えします。
「おめでとう」がつらかった
母が好きだったからこそ、母になることがこわかった
私は以前、拒食症(摂食障害)でした。行き過ぎたダイエットが病気の原因かと思っていたら、本当に原因は別にありました。母との関係。母からの愛情飢餓が原因だったのです。
といっても、私は別に母から虐待を受けていたわけでも、育児放棄されていたわけでもありません。母は確かに私を愛してくれていましたが、私の欲しい愛情の形を、母が示してくれなかっただけ。ただそれだけのことなのに、私は骨と皮だけになるほどに、やせ細ってしまいました。
それがあるゆえに、私は母になることがとてもこわかった。文字どおり身を持って親が子に与える影響の大きさ、子どもが母に求める愛情の大きさというものを知ってしまったので、人の親になることが恐ろしかったのです。むしろ私は人の親になる資格がない、そう思っていました。
私とは違う経験にしろ、母との関係がうまくいってなかったり、暴力や虐待を受けておなじように感じている人も、もしかしたらいるかもしれません。実際私は心理カウンセラーという仕事柄、「妊娠を喜べない」というご相談を受けることがあります。
「虐待を受けて育った子どもは、自分も同じように虐待する」そんな哀しい言葉もありますが、私自身も、子どもが生まれた時にどう変わってしまうのか、自分でも予測がつかないから、とてもこわかったのを覚えています。
産んでみて初めて分かったこと
けれどもそんな私が、実際に産んでみて、母親になってどうなったでしょう?変わったんです。それも180度(笑)
まさか自分の命より大切なものが出来るなんて。まさかこんなに理屈抜きで愛しい存在が出来るなんて。世界でなにより大切な、たからもの。
妊娠中、いやそれ以前からも何度も、「自分の子どもが出来たら変わるよ」と言われましたが、鼻で笑っていました。「みんなはそうかもしれないけれども、私だけは絶対に変わらない」と、根拠のない自信で頑なに思っていました。
そして、「虐待を受けて育った子どもは、自分も虐待をする」という言葉もウソだということが分かりました。なぜなら恵まれない幼少期を過ごした人は、「本当は親にこうしてもらいたかった」「こんな風に愛されたかった」という子どもの気持ちを、狂おしいくらいに知っています。
それは言葉を変えて言えば、子どもが親になにを求めているのか、知っているということ。だから誰より、子どもが親に求めていることを、与えてあげることが出来るんです。
産まれた直後の息子。私のもとに来てくれてありがとう
いま不安なプレママに伝えたいこと
でもこれらのことは、産んで初めて気付きました。息子が産まれてきてくれて、初めて分かったんです。
いくら「産んだら変わるよ」なんて言われても、妊娠中は信じることが出来なかったし、それより誰も自分のことを分かってくれない、孤独感の方が強かった。その時にならなければ分からないことって、あるんですね。
だから今あなたが、妊娠してもしそれを心から嬉しく思えなかったとしても、「母になる資格がない」などと自分を責める必要はありません。「産んだら変わるよ」なんて言葉も、信じなくていいです。私も信じられなかったから。
ただそういう可能性があるということ、そして実際に、子どもが生まれたらそれまでの価値観や性格が180℃変わってしまった人がいるのだということを、頭の片隅に留めておいてもらえたら嬉しいです。そしてそのことに、ほんの少しでも希望を感じるのなら、あなたの中に既に、「母性」は生まれているのだと思いますよ。
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