昨年秋のこと。2泊3日の家族旅行へでかけました。ぶどう狩りや水族館、子どもの遊べる美術館など、「子どもが楽しめる場所」をテーマに下調べをし、準備万端という思いで出発した旅行。
しかし、フタを開けてみると、発達障害の長男は、大パニックの連続。行く先々で、奇声を上げる、「行かない!」と拒否、食事は全く手をつけず。家族全員、(いや、次男だけは元気だった…(笑))へとへとになって帰宅したのでした。
旅のしおりを作ろう!〜自閉症っ子との旅行対策から思い出した、旅の楽しみ方〜
4,640 Viewみなさんは、旅行って好きですか?私は大好きです。私にとって旅行の醍醐味とは、はじめての場所、初めての人との出会い。知らなかったことに出会えるワクワク感が、旅をすることの意味でした。そんな私に、「そうでない人がいる」ということを教えてくれたのは、自閉症の息子でした。「はじめて」のことが苦手な息子のために、この夏我が家で工夫したことを、ご紹介します。
出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017007366過去に大失敗!息子がパニックになった旅行
「見通しが立たない」ことへの不安
自閉っ子は、「見通しが立たない」ことへの不安が強い場合があります。私にとっての旅行の醍醐味である、「はじめて」との出会い。それは、長男にとっては苦痛以外の何者でもなかったのです。
どこに連れて行かれて、何をするのかもわからない不安。そんな中では、食事だってのどを通らなくて当たり前ですよね。
旅のしおりで視覚支援
その教訓を生かし、この夏、温泉旅行には、「旅のしおり」を作って行きました。今回の旅行は、親戚3家族での旅行。それぞれの親族とは、面識のある長男。しかし、いつも一緒にいない人と、初めての場所へ一泊というのは、家族旅行よりもさらにハードルが高い!事前にできることはないかと考えたとき、思いついたのが「旅のしおり」作りだったのです。
前日に思いついて作ったので、そんなに凝った物ではありません。家にあった厚紙に簡単な旅の行程を書き、旅館やレストランのホームページの写真を印刷して貼っただけ。
一週間ほど前から、親族の写真をみせ、カレンダーで旅行の日にちを確認するという前フリもしておき、旅行前夜、「こんなので効果あるかしら…。」と思いつつも、長男にこの旅のしおりを見せながら、旅行の流れを説明してみました。
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驚くほどの効果!「旅のしおり」がお守りに。
旅行当日。長男に、「1番のドライブだよ。」「次は2番のレストランだよ。」など、しおりに沿った声かけをこまめにするようにしました。
長男は、自分でも移動時などに「次、2番のレストラン!」とつぶやいていました。不安になると、自分のリュックからしおりを取り出し、次の予定を確認する姿も見られました。
そして、大きなパニックなく、1泊2日の旅行を楽しむことができたのです。これは、長男の成長による部分もあったかとは思います。しかし、こんな簡易なものでも、予定を視覚的に示すことで、長男の心の支えとなったことは確かだと思います。
思いがけず、次男にも効果が!
さて、今回のしおりは、自閉症の長男のために作ったのですが、次男もこのしおりを、ちらりちらりと横目で見ておりました。
そして、「今日は大きいお風呂だね!大きいお風呂、入る!」と言ったのです。実は、次男は以前スーパー銭湯に連れて行ったときに、大泣きだったのですが、今回は、楽しんで入ることができました。次男にとっても、「旅のしおり」は旅行をより安心して楽しむために、有効だったのかな、と思います。
旅は終わっても、楽しみは続く♪
旅行から帰ってきて1ヶ月が経ちました。実は未だに、この旅のしおりが活躍しています。
長男も次男も、しょっちゅうこの「旅のしおり」を引っ張り出してきては、「レストランに行ったね。」とか、「大きいお風呂に入ったね。」とか、ふたりで思い出を語り合っているのです。そんなわけで、旅のしおりはもうボロボロです(笑)
それを見ていて、自分も学生の頃、友人と旅行するたびに「旅のしおり」を作っていたことを思い出しました。いつも旅行には、出発前に作成したしおりを携帯していきました。旅行中には、スタンプを押したり、旅の感想を書き込んだり。旅行後にしおりを見れば、写真を見るのとはまた一味違う、旅の思い出がよみがえってくるのです。
出発前から旅は始まっている!
今回の「旅のしおり」は、自閉症の長男への視覚支援にと思って作りました。でも、今度旅行するときには、長男や次男と一緒に、楽しみながら「旅のしおり」を作りたいな、と思っています。
学生の頃、友人達とワイワイ言いながら作った、旅のしおりのように。旅の楽しみは、出発前から始まっているのです。
最後に 楽しい旅行のための注意点
この「旅のしおり」は、あくまでも楽しんで旅行するための予定であって、「絶対に実行しなければならないこと」ではありません。
今回の旅行で、長男は大浴場には入らず、部屋のユニットバスに入りました。入浴までにかなり疲れている様子だったので、本人と相談して、予定を変更しました。小さなお風呂でゆっくり休んだことで、その後親族との夕食会にも、楽しく参加することができたのです。
旅行って、楽しいけれど、やっぱり疲れもしますよね。自閉症のような、刺激に敏感なお子さんなら、なおのこと。無理は禁物です。また、そういうときのためにも、「予定には変更がありうること」を子どもと確認して、しおりに明記するとよいとツイッターでアドバイスいただきました。当日に変更があった場合は、変更を書き込む欄があると良いかもしれませんね。
夏休みは終わりましたが。これから秋の行楽にむけて、みなさんも「旅のしおり」を作ってみてはいかがですか♪
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