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公開 2015年10月26日  

「アスペルガー症候群」はどんな障害?~我が家の息子の場合~

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「アスペルガー症候群」という障害をご存じですか?最近よく耳にするけど、具体的にどんな特徴があるのかよくわからない、または自分の子どもにも当てはまるのか知りたい、という方へ。我が家の息子の例とともに、その特性をわかりやすくご紹介します。


アスペルガー症候群とは?

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アスペルガー症候群は、自閉症のタイプの1つですが、言葉や知能の発達には遅れがみられません。「自閉症に見えない自閉症」と呼ぶ人もいます。

「アスペルガー症候群」という名は、その症例を最初に発表したオーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーにちなんで付けられました。アスペルガーは、今から約70年も前に、このような子どもたちに治療教育を施しています。

彼が勤務する生活支援施設にやってきた6歳の少年は、大人のように話し、小学校入学前から分数の計算をすることが出来ました。しかし、他の子どもに関心を持つことがなく、遊びに加わろうとすることもまるでなかったそうです。日本でこの障害が広く知られるようになったのは、ごく最近のことです。では、アスペルガー症候群には具体的にどんな特徴があるのでしょうか。

社会性の障害がある

アスペルガー症候群の人は、その場の雰囲気を感じ取ったり、無言の合図(表情や目線など)を読み取ったりすることが苦手です。だから、自分が笑いたくなったら笑うし、発言したくなったらしてしまいます。

我が家のアスぺルガーの息子も、家族が慌ただしく出かける準備をしている時に、まったく関係のない友達の話やゲーム攻略について、熱心に話してくることがよくあります。「今、出かける準備で急いでいるからね」と説明されて初めて、家族が急いでいたということに気づくようです。

また、アスペルガー症候群の人たちは、社会的なルールや暗黙のマナーを、「教えられなくても何となく知る」ということが、なかなか出来ません。

息子は小学校高学年ですが、なぜ目上の人に丁寧な言葉で話すのか、なぜ身だしなみに気を使わなくてはならないのか、その理由を本当には理解していません。「そんな決まり、なんで必要なの?」と聞いてくることがあります。『常識』と思われていることを言葉にして説明するのは難しく、なかなか息子を納得させることが出来ません。

アスぺルガーの多くの人が、本当には納得いかないまま、パターンとして社会常識を身に付けて生活していくようです。

コミュニケーションの障害がある

アスぺルガー症候群の子どもには、目立った言葉の遅れがありません。むしろ、言葉を覚えるのが他の子どもより早く、難しい単語を使って話すことが多いようです。しかし、会話の内容をよく観察してみると、一方的に自分の興味のあることを話し続け、いわゆるキャッチボールのような、双方向の会話になっていない様子がみられます。

アスぺルガーの人たちは、相手が今何を考えているか、相手がその件についてどこまで知っているか、配慮することが苦手なのです。ですから、突然「話の続き」から話し始めてしまうこともあるのです。また、例え話や、遠回しな表現を理解しづらい面もあります。

息子の場合、学校で先生が「そんなに騒ぎたいんだったら、グラウンドに行って走ってこい!」と言ったのを聞いて、本当に走りに行こうとしたことがありました。学校から帰宅後、私に「本当は行きたかったんだけど、誰も行かないんだ。どうして?この次先生に同じこと言われたら、今度こそ走りに行っていい?」と聞いてきたことがありました。

同じ行動パターンを繰り返す、興味のかたよりがある

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アスぺルガー症候群の人たちは、新しいことや不確かなことに強い不安を感じます。不測の事態に臨機応変に対応する力が、他の人よりも弱いためです。そのため、いつも通りであることを、強く望む傾向があります。いつも通りの道、いつもと同じ店、いつも食べているメニュー…。

多くの子どもたちがワクワクする、プレゼントの包みを開けるあの瞬間ですら、アスぺルガーの子どもにとっては、楽しみよりも不安が占める割合のほうが大きいのです。

息子は以前、行事の時に持っていくお弁当を、いつも同じ内容にして欲しいと私に頼んできました。お弁当といえば、多くの子どもが「今日は何が入っているかな?」と楽しみにするものですが、息子にとっては違うのです。開ける時不安に思わないよう、それ以来息子のお弁当はいつも同じメニューにしています。

また、「興味のかたより」ですが、これは一番わかりやすい特徴かと思います。ある特定のものや事柄に強い興味を示し、大人顔負けの知識を蓄えている子どももいます。そして、その興味がなかなか他のことに広がっていかないことも特徴です。興味が別のことに移るときも、広がるというよりは、また違う事柄に深く強く夢中になります。

息子も、スーパーの看板から始まって、工事現場、宇宙、恐竜と順に熱中しました。他の子どもが欲しがるヒーローもののおもちゃなどには見向きもせず、図鑑ばかり欲しがっていました。

独特の、豊かな感性がある!

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このように、アスペルガー症候群の人たちには苦手なことが多くある一方で、その独特の感性の豊かさに注目も集まっています。

常識にとらわれないため、独自の方法で人生を切り開いていき、それが新しいやり方として他の人々に受け入れられることもあります。限定的な興味が、専門家として生かされている例も少なくありません。

息子を見ていて、そのユニークさに感心したり、一途さに敬意を感じることもあります。

自分の子どもがアスペルガー症候群かな?と思ったら、児童相談所や医療機関に相談してみましょう。強いこだわりや、癇癪としか思えなかったものの中に、すばらしい特性を見つけることができるかもしれませんよ。

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