先日、ブロードウェイ劇「王様と私」の公演中にちょっとしたハプニングが起きました。
情緒的なシーンが盛り上がりを見せるところで、観客席から悲鳴のような叫び声が響き渡ります。お母さんと一緒に劇を見に来ていた自閉症の子どもが、パニックを起こしてしまったのです。
観客席からは
公演中に子どもが大声を出してしまった。親子を責めた観客に対する俳優の反論が素晴らしすぎる!
148,491 Viewブロードウェイ劇「王様と私」の公演中に叫んでしまった自閉症の子どもとそのお母さん。他の観客から罵声を浴び、ショーの終わりに二人がいた席は空席だった…このエピソードで心が痛んだ出演者のケルビン・ローさんが自身のfacebookページに投稿をしたその内容とは?
ブロードウェイ劇「王様と私」の公演中に起きたあるエピソード
"Why would you bring a child like that to the theater?"
「なんでそんな子どもを劇場に連れてくるの?」
"Get rid of that kid!"
「その子どもを追い出せ!」
という声がお母さんに向けられました。
子どもが劇やショーの途中に叫んでしまった。
日本でもたまに見かける光景ですよね。
しかし、この公演の出演者であるケルビン・ローさんは、このエピソードに心が痛んだと言いいます。
ブロードウェイ俳優のFacebook投稿が話題に
ケルビン・ローさんのFacebook投稿は約3万回シェアされています。
ステージからこの出来事を見ていた彼は
This is wrong. Plainly wrong.
こんなことを言うのは間違っている。単純に間違っている。
What they didn't see was a mother desperately pleading with her child as he gripped the railing refusing- yelping more out of defiance. I could not look away. I wanted to scream and stop the show and say- "EVERYONE RELAX. SHE IS TRYING. CAN YOU NOT SEE THAT SHE IS TRYING???!!!!"
みんなには、レールにしがみ付きながら叫ぶ息子さんを必死に落ち着かせて連れ出そうとしていたお母さんの姿は見えていなかった。私は舞台の上で、彼女の姿から目を離せなかったんだ。ショーを止めて、「皆んな落ち着け!彼女は頑張っている!彼女が頑張っているのが見えないのか?!」と叫びたかった。
と、お母さんと子どもにひどい言葉を向ける他の観客に反論しています。
そして、さらにこう続けます。
For her to bring her child to the theater is brave. You don't know what her life is like. Perhaps, they have great days where he can sit still and not make much noise because this is a rare occurrence. Perhaps she chooses to no longer live in fear, and refuses to compromise the experience of her child.
お母さんが息子さんをショーに連れてきたのは勇敢だと思う。みんなは彼女の人生がどんなものか知らないと思うが、もしかしたら、息子さんが騒ぐことなく二人で素敵な時間を過ごす日もあるかもしれない。今回のような出来事は滅多に起きないことなのかもしれない。お母さんは(葛藤の末)もう怯えながら生きることをやめ、自分の子どもの経験を妥協することをやめる決意をしたのかもしれない。
自分の子どもには、たくさんの経験をさせてあげたいですよね。
しかし、まだ小さな子どもを連れて出かけるとなると、このエピソードの様に自閉症の子どもでなくとも
「他の人の迷惑になってしまうかも…」
「イヤな目で見られないかしら…?」
と悩んでしまうことも多いと思います。
このお母さんはそういった悩みがたくさんある中で、自分の子どもに最高の経験をさせてあげようと思って劇に来たのかもしれませんね。
「家族」に優しい社会を作っていく
最後に、ローは彼が目指す「劇場」のあり方についてこう書いています。
I am in a show that is completely FAMILY FRIENDLY. The King and I on Broadway is just that- FAMILY FRIENDLY- and that means entire families- with disabilities or not.
私が出演するショーは全ての「家族」のためにある。ブロードウェイの「王様と私」もそうだ。障害の有無などは関係なく、全ての家族のためにある劇だ。
彼は全ての親子が心配ごとなく来れる"family friendly"(家族に優しい)な劇場を作りたいと話しています。本当に素晴らしい考え方ですね。
最近は日本でも、劇団四季の親子観劇室や、赤ちゃんと一緒に映画を見に行ける「ママシアター」など、「家族に優しい」劇場が増えています。
このようなサービスがもっと増え、周囲の目を気にせずとも子どもと一緒に様々な経験ができる社会が広がって行くことを心から願っています!
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