これは少し前の話です。
うちの長男、いつのまにか幼稚園で悪ガキになっていまして、休みの日になるたびにホッとしていました。
というのも毎日のように、「◯◯ちゃんを泣かしました。」「ふさげて、◯◯ちゃんのお弁当を投げました」などの注意を幼稚園から受けていたからです。夏休みに入る時に、教会で行われた幼稚園の終業式では、「教会がつまらないから」ということで、ただ一人、教会に入らなかったりもしていたようです。(終業式に参加しなかった)
”子は親の鏡”、と言いますので親としては反省しつつも、「どうしてこうなったんだろう?」というのが正直なところ。それなりにちゃんと育ててたつもりだったのに…。
ちなみに幼稚園の先生は、この問題児をやみくもに怒らずに見守っている、というスタンスでした。
この幼稚園の先生の態度にも通ずるものを、心理学者の河合隼雄さんの著書「『子どもと悪』(1997)岩波書店」を読んでいて見つけたので紹介します。
子どもの「悪」と付き合える?「悪」こそが子どもを成長させる理由とは
30,060 View子どもの「悪」と聞いて何を思いますか?親としては、子どもの「悪」は何とか避けたいことではないでしょうか?ただし、ちょっと見方を変えると、それは成長のための必要「悪」かもしれません。それを決めるのは親の心の持ちよう一つだというのですが…。
幼稚園の悪ガキ大将
「子どもの幸福を願って」は余計なお世話
<日本で、子どもを取り巻く悪として考えねばならぬことは、大人の「善意」による悪ではなかろうか。「子どもの幸福を願って」大人がすることが、子どもの不幸につながっていることが多いように思う。>
親は自分の経験から、”出来るだけ子どもには苦労させたくない”、という思いが強く、いわば子ともにとって、”おせっかい”とも言えるようなことをしてしまっていると言います。
<日本の親や教師は、教えたり、指導したりすることにせっかちで、子どもの中から自ら育ってくるのを待つことができない。>
そして、これが”子どもの悪”の表出を無くしてしまっている、というのです。では一体、子どもの「悪」とは、そもそもどういうものなのでしょうか?
子どもにとって「悪」とは何か?
本書によると「悪」とは
<悪というのは自立へのひとつの契機>、<個性の顕現は、どこかで「悪」の臭いがする>
と書かれており、いずれにせよ、子どもにとっては必要なものである、というのです。
<思春期は人間を底からつくりかえるような大変なときである。このときに、何らかの「悪」を経験しない人はないと言ってもよい。その「悪」の経験によって、子どもはさまざまな形で鍛えられて大人になっていく。>
とも書かれています。
思春期の「悪」と、うちの子どもの「悪ふざけ」はちょっと違うかもしれませんが、いずれも大人の基準から見た「悪」であり、当の本人にとっては、「悪」をしようと意識してやっているのではない、という点では同じかもしれません。
なぜ親は子どもの「悪」の芽を摘み取ろうとするのか?
<基本的には、子ども自身の成長の可能性に信頼をおいて待っておればいいのに、それができない。なぜ、子どもを信頼できないのか。それは自分自身を信頼できないからである。>
<大人がもう少し悪と辛抱強く付き合うことによって、子どもともっと生き生きとして豊かな人生を共に味わうことができるのではなかろうか>
自分としては、この言葉を意識しており幼稚園での悪ガキっぷりも少し放っておこうかな、と思ってみていました。
そして、あれからしばらくたった現在は、驚くことに特に何もしていないのに、園では誰よりも歳下の子の面倒を見て、歳下の子からも慕われる、いい先輩にもなっており、弟の面倒もきちんと見てくれるようになりました。
数多くの子ども達を見てきた幼稚園の先生の対応も、こうしたことを見越してのことだったのかとも思いました。
大人は、こうした子どもの「悪」を見過ごす勇気を持てるか? 我慢できるか? 子どもの自立のための、必要「悪」に耐えることができるのか? このあたり大事なのかなと思いました。
みなさんも、少し長い目で子どもの育ちを見守ってもいいかもしれません。結局、親もその方が楽だったりしますしね。
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