構音障害と診断された娘~本当の「障害」はどこにある?~
42,528 View次女は発達障害グレーゾーンです。3歳児健診で診断名をつけてもらったことをきっかけに、次女との向き合い方を、沢山ある育児情報の中から、色々調べては試しています。100発中1発でも当たったらラッキーです。少しでも子どもが生活しやすくなれば苦労も報われます。
次女の言葉は、他の大人には聞き取れない
発達障害グレーゾーンの次女は、成長するにしたがって、同年代の周りの子達との発達の差が広がってきました。要経過で見てきたのですが、3歳児健診でようやくきちんと検査をすることになりました。
このとき、次女は私の言うことは理解ができていましたし、私自身も次女の言葉を聞き取り、その内容が理解できていました。お互いに意思疎通ができていたわけです。一方、私以外の大人には、次女の言葉を聞き取ることが難しいようでした。先生いわく、母親は子どもの言葉を聞き慣れているし、前後の出来事を踏まえて子どもの言葉を聞いているので、言葉を聞き取りやすいということでした。
その当時の次女の発語は、「セミ→てみ」「ソバ→うば」「はさみ→ああみ」など、サ行・ラ行・破裂音などが言えず、母音に言い換えてしまったり、オウム返しが治らないという状況でした。
こうした症状をふまえて、保健所の紹介で、専門科がある病院に行くことになりました。
初めての検査…診断名は「構音障害」
次女は場所見知りなので、早めに病院に行って心を落ち着かせ、おもちゃ・絵本・おかしなど、次女が安心して受診できるようにしました。病院ではまず、舌の長さや動き、様子などを調べました。次女の話し方が鼻に抜ける感じであったため、軽度の口蓋裂を疑われ、CTを撮りました。
診断結果としては口蓋裂ではなかったのすが、どうも言葉をうまく紡げないということで、「構音障害」という診断名が付きました。当時はこれくらいしか診断することが出来ませんでした。
診断される“安心感”が、次の具体的な一歩につながる
今は医療が発達しているため、色々な症状に診断名が付きます。TV等で「何でも診断名が付けばいいものではない」と仰る方もいますが、私は、今まで診断されなかった不安からか、診断名が付いただけでとても安心しました。
診断名が付かないと、「この子はどういう状況にあるのか」「これからどう改善すればいいのか」が、分からないまま過ごすことになります。診断名が付くことで、「成長の遅い我が子に、どのような手を打っていけばいいのか分からない」という焦りから抜け出し、前に進むための具体的な行動を起こすことが出来るのです。
診断名をネットで検索すると、色々な情報が出てきます。私はたくさんの情報を頼りに、100発打って1発あたればラッキーくらいの気持ちで、次女に合う育て方を試してみることにしました。
本当の「障害」とはなにか?
軽度の発達障害や、発達障害グレーゾーンの子どもにとっては、診断名の障害が「障害」なのではありません。その障害によって起こる問題や課題、つまり二次障害が、その子にとって本当の意味での「障害」となるなのです。
次女の場合、発音が上手にできず、うまく言葉のキャッチボールが出来ない時がありました。私はそのたびに「えっ何言ってるの?」「よく聞こえない」と、次女のおしゃべりに対して、困った顔をしていました。そのせいか、次女が会話の途中で話をやめてしまったり、親子間で次第と会話が少なくなり、どんなことに対しても、次女は「知らない」と言うようになってしまいました。
何度も失敗を繰り返しているうちに「自分はしゃべりは下手な子」「だめな子」と思い込んでしまい、「話してもだめ」「話しても無駄」と自己評価が低下してしまったのです。これが二次障害です。次女は大きくなった今でも、人と話すのが苦手です。
「ごめん、お母さんがよく聞き取れなかったの」
今は、子どもと話すときは、なるべく行動を止めるようにしています。そして目線を合わせるようにしています。どうしても手が離せないときは5分ほど待ってもらっています。すべてがそうできるわけではないですが、なるべくできるように心がけています。
そして次女の言葉が聞き取れなかったときには、「ごめん、お母さんがよく聞き取れなかったの。もう一度言って。」と、“本人が悪いのではなくお母さんが聞こえなかった”という風に言って、次女の自信をなくすような言い方を極力避けるようにしました。
この方法は、自分で色々調べて試した結果です。私は娘に診断名が付いたおかげで、ここまでたどり着けました。
グレーゾーンだからこそ、子どもの様子をよく観察する
診断名が付いたため、教育手帳をもらうまではないものの、保健所が行っている月一回の療育教室に通うことができました。
発達障害グレーゾーンの子は、「周りよりは育てにくい」というだけで、小さい時は普通に過ごすことができます。しかしその分、子どもにとっての「障害」を見逃しやすくなります。その結果、成長するにしたがって子どもが抱えはじめる「困った」を周りが理解できず、親や教師からは怒られるようになり、友達からはいじめられてしまうこともあります。
そのようなことが起こらないように、親御さんは、子どもが小さいころからよく様子を見て、親や周囲を困らせる行動を観察していくことが一番大切だと思っています。「困った子」は、本当は「困っている子」なのです。
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