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公開 2015年12月08日  

注目の「非認知能力」を高める!家庭でできる8つの実践

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様々な教育論の中で注目されるのが、「非認知能力」の重要性。社会的成功と関連づけられたり、幼児期のしつけが鍵を握ったりするなど、気になるワードです。非認知能力を家庭教育でどう伸ばすかを検討・実践し、考察してみます。


社会的成功に結びつく!?非認知能力ってなんだろう

「非認知能力」というワードを耳にしたことはありませんか?
近年さまざまな教育論において注目されて、その言葉を聞くことも多くなりました。

非認知能力とは、IQ(知能)に関係なく、「意欲」「協調性」「粘り強さ」「忍耐力」「計画性」などの個人の特性です。

ヘックマンの著書など最近の教育論を読むと、IQよりもむしろ、この非認知能力が社会的成功に結びつきやすく、また、幼児期のしつけ、就学前教育に投資または質のよい介入をすることが、この非認知能力を高めるとされています。また、2020年からの大学入試でも、この非認知能力を評価の対象とすることが決まっています。


さて、私の連載のタイトルにもなっている「EQ」ですが、EQ(Emotional Quotient)とは、心の知能指数のことを言います。
自己認識、感情の自己抑制、対人スキルや社会的な交渉術、共感力、意欲をも含み、上の非認知能力の一部であると考えます。

ほかに、SQ(Social Quotient=社会的知能、精神的知能)、AQ(Adversity Quotient=逆境指数)、MQ(Moral Quotient=道徳性知能)、CQ(Creative Quotient=創造性知能)などもあります。
これらに加え、性格5因子(BIG5・情緒不安定性、外向性、知性・経験の開放性、同調性・協調性、誠実性・良心的特性)を挙げる人もいます。

非認知能力は伸びる?就学前1年でやってみたこと

子育てする上で、2歳ごろからこの非認知能力の重要性は感じていたので、子育てでもなんとなく意識していました。
特に幼稚園に入ってから、この非認知能力を伸ばすことに寄与したと思われることをまとめてみます。

※非認知能力はそもそも数値化するのが難しいですし、個々の生まれつきの性質が大きく影響します。また、成長をそばで見てきた夫婦間や先生などの評価・感想をして「非認知能力の伸び」と定義したので、多分に主観が入っていますが、影響の大きかったと特に思えることがらを列挙してみます。

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娘のアトリエでの最初の作品は、ゴッホの「ファン・ゴッホの椅子」の模写でした

毎日たった1冊の読み聞かせが驚くほど多くのちからを伸ばす

1:とにかく絵本を読んだ

2軒の図書館を利用し、1回に5〜10冊借りて、月に40冊は読んでいました。

重要なのは読み聞かせの途中で質問を入れることです。

「どうして猫さんは泣いたんだと思う?」
「さっき柿を持って行ったのは誰と誰で何個だっけ」
「なぜお月様はついてくるんだろうね」

これにより、語彙力、共感性、想像力、知的好奇心が養われました。

同時に認知能力も伸びたと思います(ワーキングメモリ=短期記憶)。

ワーキングメモリについては実際、小学校受験で「お話の記憶」として出題されます。これが出来る子はたいてい目を閉じていたり一点を見つめて話を聞いています。頭の中で話の「絵」をイメージしているようです。

遊びと座学、メリハリをつけて

2:なるべく毎日公園で遊ばせた

習い事がある日でも雨が降りそうな日でも、直前まで遊ばせました。遊具がなくても頭を使って遊べるように、あえて遊具の少ない場所に連れて行ったりもしました。また、異年齢の子とも遊ぶよう機会を設けました。

そうすることで、協調性、創意工夫、忍耐力や交渉力、リーダーシップや人の間に入っての調整力(まとめる力)、感情コントロール力などが鍛えられました。
自由遊びは非認知能力を伸ばすのにあらゆる面で有効です。自然に触れながら遊ぶ「公園遊び」を私はとても大切に考えていて、子どものリフレッシュにもなったので、習い事より優先したこともあるほどでした。


3:毎日1時間、座学の時間を設けた

座って集中する時間を作りました。ドリルでもお絵かきでもいいのですが、親も横に座って勉強をすることが大事だと思います。親が一緒にやると子どもは嬉しいようで、そうした時間が習慣になればしめたものです。

結果、忍耐力、集中力、計画性の基礎が養われました。

表現させる、表現に気を配る

4:絵をたくさん描いた

娘は毎日数枚絵を描いていました。
自由に描かせるのはもちろん、親と一緒に模写やデッサンもしました。最近ではアトリエに通っています。

自分はどういった人間なのか、どう感じているのかを、絵を描くことで見つめられたようでした。自己認識や自己感情のコントロール、表現力を身につけるのに役立ちました。

また、絵を描いたあとには「なぜそれを描いたのか」「工夫した点はどこか」「どこにこだわりがあるか」を必ず聞きます。その時は、正しい言葉遣いで、理論立てて説明するように促します。

これで論理的な思考力、語彙力が伸びた実感があります。


5:正しい日本語を使うようにした

「ママ、牛乳!」は家では通じませんでした。「ママは牛乳ではありません」。

略さず、最後まできちんと話すように<繰り返して>言いました。これは、挨拶や靴をそろえるといったしつけの一環でしたが、面倒でもやったほうがいいと思いました。一事が万事‥になるので、このあたりのけじめは必要だと思います。

ソーシャルスキル、誠実性や協調性が養われましたが、この取組みには親の生活態度も問われます。子どもは自分が言われるのに親が出来ていないと納得しません。

時間やものを管理させて計画性や責任感をはぐくみ、シミュレーションで共感性を養う

6:時間と所有物の管理を自分でさせた

娘の持ち物は、場所を与えて自分で管理してもらうようにしていました。管理、整頓が出来ないなら場所は返還・おもちゃなどは処分と厳しいルールを伝えましたが(さすがに処分には至っていません)、子どもがブツブツ言っても徹底して紛失物は自分で探し、掃除も自分でするように促しました。5〜6歳の子でもきちんと管理できました。

時間については、「早くしなさい」「お風呂に入りなさい」というのでなく、娘に何時何分に次の予定を実行するか決めてもらいます。

親が言うより、自分で決めた約束は意外なほどに守りました。時計の読み方を覚えましたし、今していること(遊びなど)には、どれくらいの時間が必要か、締切(出かける時間、寝る時間など)までにはどれくらいあるか考えるようになりました。

責任感、計画性が養われたように思います。


7:シミュレーションドラマをやった

喧嘩などがあった時、危険でないならなるべくその場では介入せず見守りました。自己解決ができない時、自分の正当性を主張したいけれどできない時、自分の過ちを認められない時など、感情の処理や相手との関係回復が難しいときに、ドラマ(演技)をやりました。

親子で当事者(娘とけんかの相手)の立場をかわるがわるやって、どんな態度・言葉がきつく感じるか、味わいます。
言った方、言われた方どちらであっても学びがあります。最初は正当性を主張していた娘が、それでも自分はこんな態度が悪かったと反省し、翌日自ら謝りに行き、相手も謝りさらに仲良くなる、ということがありました。

好戦的ではいけませんが、自然に発展するけんかは経験すべきと思います。特に幼少期にぶつかっておけば、本人なりの解決法、感情処理の方法を学びます。大人になってからは遅いので、人の痛みを知るためにも、たくさん人とかかわり、たくさんけんかも経験して欲しいと思います。

上に書いたように、感情コントロールや対人スキルを学びました。

一番大事なのは、自己肯定力

上記のように様々なことを実践してきましたが、常に心がけていたのが、

8:「あなたはそのままで素晴らしい」と伝えることでした。

色々なことにチャレンジし、それを褒めることを繰り返すと、子どもの中には「ママにとって(都合の)いい子だから褒められるんだ」という思いがどうしても浮かんでしまうと思います。それをなくすために、結果ではなく過程を褒めるのはもちろん、「そのままでも大切な宝物なんだ。いてくれるだけでありがたいんだ」ということを、毎日のように伝えてきました。

子どもの心の中の安心できる基地を作ってやりたいという気持ちで伝えてきましたが、同時に必ず 「同じように、他の子もそのご両親にとって大切な宝物。あなた自身も、お友達もどちらも大事にしなさい」ということ、「ものにも、すべて作った人(親)がいる。だからものも大切にするように」ということも伝えました。

このメッセージで、自己肯定力から生まれた、逆境に負けない心が育ちつつあるように感じます。


これら8つの実践にあたって、「意識すること」と「子どもに向き合う少しの時間」は必要でしたが、どれも普段の生活や遊びの延長でお金もかかりません。

また、働きながらでもできました。ちょっとの意識の差で、普段の声がけの質・しつけする際の自分の振る舞いも変わりました。「遊び」「学び」に色々なバリエーションが生まれたと思います。

私のやり方は、私が様々な書物を読むなどして得た知識を、娘を見ながら試していった一例です。非認知能力の中のどれを伸ばしたいか、普段の生活でそれを伸ばす方法は何か、目の前のお子さんと向き合ってじっくり考えるのも楽しい時間だと思います。そこで生まれた自分なりのアイデアを、ぜひ周囲のお母さんとシェアして子育てを楽しんでいただきたいです。


参考文献:

神戸大学大学院人間発達環境学研究科 研究紀要第 2 巻第 2 号 2009
研究論文 感情の適応的機能-感情知能・感情コンピテンス・感情自己効力感に着目して
The adaptive function of emotion
- Focus on emotional intelligence, emotional competence, and emotional self-e cacy
森 口 竜 平 * Ryuhei MORIGUCHI*

「学力」と「社会力」を伸ばす脳教育 澤口俊之著 講談社(2009)

子どもの「逆境に負けない心」を育てる本 楽しいワークで身につく「レジリエンス」 単行本(ソフトカバー) – 2014/12/22
足立 啓美 (著), 鈴木 水季 (著), 久世 浩司 (著), イローナ・ボニウェル (監修) 法研

The Effects of Personality Traits and Behavioral Characteristics on Schooling, Earnings, and Career Promotion
李 嬋娟 (著・明治学院大学) 、大竹 文雄 (著・大阪大学) (労働市場制度改革研究・2014)


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