コウノドリも今週で最終話。第6話から、だんだんと現実的な度合いが上がってきていると感じます。
不妊治療、女性の社会進出による高齢出産、妊娠高血圧症、死産、産科VS小児科、、、、。
一つひとつの話に盛り込まれるテーマが毎回とても多いですね。どれをとっても、とても大きな話です。
さて、今回は、あまりドラマでは描かれていなかった、お母さんの容態が急変し大量出血で母子ともに危険な状態になった時のパパについて、元NICUの看護師の視点から、お話したいと思います。
お母さんが緊急帝王切開になると、赤ちゃんが生まれ、状態によってはNICUに入院となります。
ドラマのケースのようにママが多量出血されている場合はママも命の危機なので、集中治療室で治療を受けることになるケースもあります。予想していなかった展開で、赤ちゃんもママも緊急事態になる、これはパパとしては、とても気が気じゃない状態になると思います。
NICUへ入院になり、最初に赤ちゃんと対面するのは、9割以上がパパ。
出生後、赤ちゃんの治療が一段落すると、パパに赤ちゃんの状態の説明がされます。
パパをお呼びして、医師が赤ちゃんの説明をします。この時、取り乱されている方というのはほとんどいなくて、冷静に聞き入っています。時折、質問も交えながらそのときは話を聞いています。先生のお話が終わると、赤ちゃんと面会していただきます。
赤ちゃんは、いろいろなモニターをつけていたり、点滴や胃管などもあって、入院当初が一番見た目の重症感が強いのです。「どうぞ、手を握ってあげてくださいね」とお話しますが、みなさん、最初はかなり緊張されています。
「パパ来たよ~、うれしいね~」と赤ちゃんに声をかけながら、赤ちゃんにタッチすることの効果や赤ちゃんがびっくりしない触れ方をお伝えします。
そうすると、意を決したように、そうっと赤ちゃんに触れてくれます。
NICUに緊急入院する赤ちゃん。その時、パパの反応は?
9,906 View「コウノドリ第6話」では、ドラマの中のようにママの状態が悪化した時、赤ちゃんも一旦NICUに入院になることがあります。ママも赤ちゃんもピンチ!!その時パパはどんな様子なのか、元NICU看護師の視点で、なかなか見えないその時のパパの様子についてお話しします。
ママと赤ちゃん、どちらもピンチ‼︎その時パパは?
赤ちゃんを感じる、最初の瞬間
赤ちゃんにそっと触れた時、パパが初めて、赤ちゃんを最初に感じる瞬間です。
みなさん、とってもいい顔になります。笑顔とまではいかなくても、ふっと緩むような表情をされます。
赤ちゃんは、声も分かっているから、優しくお話してみてくださいともお伝えします。
そうすると、赤ちゃんに触れながら
「パパだよ。わかる?」「だいじょうぶかー?」「かわいいね~」と話しかける方もいれば
「もう大丈夫だよ、頑張ったな。パパがついてるぞ。」とすっかり頼もしい言葉をかける方、
ただただ、「どうすればいいですか?なんかまだちょっと怖いですね。」と、慎重派の方、
「ママに一番に触らせてあげたいんです。」触りたいけど我慢するパパさんもいます。
個人的には、赤ちゃんのことを思うと、赤ちゃんも頑張ったので、パパに「いい子いい子」してあげてほしいな~と思う時もありますが、パパが思う、ママへの温かい気持ちを赤ちゃんも分かっていることと思うので、パパの意思を尊重します。
「ママのことも心配、赤ちゃんのことも心配。ママのことも大切、赤ちゃんのことも大切。」
そう思っているのが、とてもよく伝わります。
大切に思うからこそ、見た目は冷静を装っていますが心の中ではパニックなんだなと思うことがあります。
例えば、
・「ここはどこ?産科?小児科?え?何科?」となってしまっている
・開いていないドアに頭から激突!
・出入り口を思い切り間違えてしまう。。
・赤ちゃんに会えたら、(嬉しさのあまり?)お願いしたものを
すべて忘れてしまったり、取りに来たものを忘れて帰る
・書類の赤ちゃんのお名前欄に、パパの名前を書いている
こんなことも、ちょこちょこあります。
冷静そうに見えても、やはりパパもパニックなのだな、と感じます。
ママが目を覚ました時、その様子は??
ママが目を覚ました時、一番に心配になるのが、やはり赤ちゃんのことです。
ママの状態が落ち着いて、NICUに面会に来てくれた時、ママにも医師から説明をします。その説明の後、ママのお話を聞くと「パパの説明じゃ全然わからなくて。パパしか説明聞いてないのにちゃんと教えてくれなくて、本当にしっかりしてよ!って思いました。」という声をたくさん聞きます。
確かにママの気持ちを思えば、ごもっともですよね。
心配でたまらなかったのですから。なので、そんな時はママにお伝えします。
「ママはみなさん、そうおっしゃいますよ。」と。そして、「パパもパニックですから聞いているようで聞けていないことも多くありますし、聞いたことのない話なので、1回で理解されるかたはほとんどいませんよ。でも、ママも赤ちゃんのことが心配で仕方なかったですよね。」とお話します。
そうするとみなさん、やはり、
「心配で全然眠れなかったです」
「会うまで本当に生きてくれているのか心配でした。」
「不安で不安で涙が止まらないし、痛くて動けないし、とにかく説明を聞きたい気もするけど聞くのも怖かったです。」と話されます。
このように、ドラマ第2話の事故に合われたママの言葉でもあるように「自分の命より大切な存在」なのですから、ママは心配して当然のことでしょう。
そのお気持ちもしっかり伺っていきます。その後で、私たちからその時のパパの様子もお伝えします。
パパも冷静に聴いているかと思ったら、思い切りドアに頭ぶつけていたこと。そして、すごく嬉しそうに愛おしそうに緊張しながら、あかちゃんに触れ眺めて声をかけていたこと。同時にママにも会わせてあげたい、ママに見せてあげたいと一生懸命だったこと。
そうすると少し、ママも納得されます。「そうだよね、私もだけど、パパもびっくりしてたんですよね。」「パパ、頭ぶつけたんだって、面白いね。」と赤ちゃんにお話されたりします。
パパだって、いつも一生懸命
急なお産や、お産の時の思わぬ状況は、ママも赤ちゃんもとても頑張っているのはもちろん、
一番そばで見守るパパもとても一生懸命だなといつも思いました。
時に看護師は、赤ちゃんのメッセージだけでなく、パパの様子も伝達することもしています。
赤ちゃんが入院したり、子どもが病気になったりするのは、夫婦にとっても危機的状況です。多くは男性と女性の受け止め方の違いや、ピンチの時、悲しい時の対処が違うので、そのことで二人の気持ちまですれ違ってしまうことは非常に多いのです。
このお話は、また今度したいと思います。
さあ、今回は出産の時のパパのお話でした。
みなさんのパパはお産の時、どんな様子でしたか?
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