先日、東京・青山にて、とあるイベントが開かれていました。
そこでは、子どもの障害と本気で向き合いながら、家庭で療育をしてきた先輩パパママが100人、大集合!
そして、まさに子育て真っ只中のパパママが、先輩パパママに相談をしたり、一緒にワークをする、というものでした。
当日、会場はものすごい熱気に包まれていました。
「先輩ママの力を、下の世代へ」自閉症児のパパママが100人集結!
3,263 View先日、東京青山にてNPO法人ADDSが、自閉症など発達障害のある子どもの子育てをしている先輩パパママが100人集まるイベントを開催しました。講演やワークショップが中心かと重いきや、そこにはフリマからリラクゼーションコーナーまで様々・・・!気になるその内容と、イベントの背景とは?
子どもの障害と向き合い家庭療育をしてきた100人の先輩パパママが集結!
ネイルサロンにフリマ、子どもの遊び場から、ビジネスプランの提案まで!?
イベントでは、ネイルサロンやメイク、はりお灸がワンコインで体験できるコーナーや、ほっと一息つけるカフェスペースが用意されており、いつも忙しいママたちがゆったりと寛げるスペースもありました。
実はこのネイルサロンやメイクコーナー、カフェやフリマの店員さんは、みんな発達障害のある子の子育ての先輩パパママや支援者。
ネイルをしてもらっている間、お茶を飲んでいる間など、心身ともにリラックスしながら、子育ての相談をすることができるのです。パパママの笑顔が絶えない、とっても素敵な空間でした。
方や、真面目なディスカッションが繰り広げられるスペースも。
慶應義塾大学文学部教授の山本淳一先生からの講演があったり、「こんな仕組みがあったらいいのに!」というアイデアをその場でディスカッションするビジネスプランセッションもありました。
真剣に、でも時に笑いながら話し合いを進めている参加者のみなさんの表情がとても印象的でした。
イベントを主催したNPO法人ADDSは、自閉症児の子育て中のパパママの強い味方!
このイベントを主催したものは、NPO法人ADDSという、自閉症児の保護者が家庭で療育をできることを目指し活動している団体。
自閉症スペクトラム障害のお子さんは、言葉がうまく話せなかったり、 興味の幅がとても狭かったり、手先の不器用さや運動の苦手さがあります。そのような様々な症状から、人とコミュニケーションをとることや、基本的な生活を行うことに困難を抱えている子どもたち・・・そういった状況を改善するため、ADDSではお子さんと親御さんに向けた療育のサポートを実施しているのです。
例えばADDSでは、家庭で療育できることを目指したペアレントトレーニングを提供しており、これには子どもの発達の状況を見極めて課題を構成し、更に保護者や家庭の状態に合わせて日々の療育内容を組み立てる高い支援スキルが必要となります。
この見極めと課題構成の部分は、専門のコンサルタントが担いますが、既に構成された課題を、応用行動分析という理論に則り基本的な方法で日々子どもに実施することは、一定の研修を受けた保護者や、学生・社会人などの初級セラピストでも可能です。
こうして、専門家と保護者、初級セラピストがうまく役割分担をしながら家庭療育を進め、子どもの発達を促進していくのが、ADDSの支援のスタイルです。
ADDSで指導を受けた経験のあるママの感想は?
フリマで洋服を売ってくれていたこの方も、ADDSの支援を受けたママの一人。
「ADDSに出会えて、笑顔が増えました」
そう語る木村さんは、お子さんが知的遅れのある自閉症。
お子さんが小さい頃に、毎週、ADDSのセラピストからトレーニングを受けていたそうです。
「先が見えずどん底な時期もありましたが、今では、息子を無理やりどうしようとかではなくて、彼のゆったりとした世界に合わせていこうと思えるようになりました。
100%息子ばかりで自分は無い、という時期もありましたが、今は息子のことが30%くらい。自分の生活が中心で、息子はその生活の一部と捉えられるようになりました」
笑顔で話す木村さんは、先輩ママとして、フリマに立ち寄ったママたちの相談にも乗っていました。ツライ時期を乗り越えた先輩ママの話だからこそ、相談する側も話しやすいですよね。
「成長している実感が感じられる」学生セラピストも大活躍!
子どもが遊べるスペースやカフェスペースで対応してくれていた金田さんは、心理学を学ぶ大学4年生。
1年生の時から、ADDSでセラピストとして活動しているそうです。
「例えシロウトでも、困っている親御さんと子どもがたくさんいるなら、サポートしたいし、できる人が増えるといいなと思うんです」
心理学専攻とはいえ、療育の経験は全くなかった金田さん。
そんな"シロウト”の金田さんだが、座学と実践の研修を受け、最後は実際に子どもの指導するテストを受け、晴れてセラピストに。
「最初は不安もありましたが、これまで20人以上のお子さんの指導を担当させていただいて、自信もついてきました」
と笑顔で語る金田さんは、なんとも頼もしい。
「自分は専門家じゃないからこそ、同じく専門家ではない親御さんに共感できること、できることがあると思うんです。自分たちだから出せるアイデア、支援があると感じています」
事実、この障害のある子どもの療育という分野においては、支援を受けたい子どもや親の人数に対して、支援ができる専門家の数が圧倒的に不足している。そんな中で、学生セラピストの養成を積極的に進めているADDSは、まさに療育を必要としている子どもとその家族にとって救世主とも言えるでしょう。
「先輩パパママの力を、下の世代に還元したい」イベントに込められた想い
本イベントを主催した、ADDSの竹内さんに、イベントを企画した経緯をお伺いしてみました。
「これまでADDSは6年間活動を続け、100以上のご家庭の支援をしてきました。そういった活動を続ける中で、こんなにお子さんの障害と本気で向き合い、自らの手で主体的に療育を行う保護者がこの規模で集まるコミュニティって、他に無いなと思ったんです」
学校や地域に、先輩パパママはたくさんいるでしょう。
しかしながら、子どもが幼い時期からここまで主体的に我が子の障害と向き合い、一つ一つの学びに立ち会ってきた親たちがこの規模で集まるのは、確かにADDSのコミュニティ以外にあまり無いかも知れません。
「パパママの力、知識、経験を、下の世代に活かしたい。でも、堅苦しい講演だけじゃつまらない・・・だから、フリマやリラクゼーションをしながら、子育てについて気軽に相談できる空間を作りたくて、今回のような形にしました。
「自然に交流ができる」そんな空間の中で、たくさんの方ご参加いただけたことをとても嬉しく思います」
自閉症のある子どもの親御さんが、互いに成長しあえる空間を
ADDSでは、これからも自閉症のあるお子さま親御さまの支援の輪を広げていくとのこと。
今回のイベントのように、親御さんが互いに相談しながら成長しあえるコミュニティが、今後も広がっていくことを願っています。
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