"子どもの自己肯定感を育もう" 最近よく耳にするこのような文言。
「自己肯定感」とは文字通り、「自分はかけがえのない、大事な存在だ」と感じる心の状態をいいますが、なぜいま、子どもの頃から自己肯定感を育む重要性が叫ばれているのでしょうか。
それは、自己肯定感の高さが学業や仕事、人間関係など、様々な場面に影響を及ぼして、人生をより豊かに生きるための大事な要因になっていると分かってきたから。
もし、自己肯定感が低いと、目標や問題に直面したときに「どうせ自分には無理だ」「自分はダメな人間だ」と悲観的になってしまい、学業や仕事などでつまずいたり、豊かな人間関係が築けない恐れがあるのです。
特に、社会の移り変わりが激しい時代を生きていく子どもには、困難を恐れずに力強く生きてほしい。そう願うママパパが増えているのではないでしょうか。今まさにこの記事を読んでいる皆さんのように。
では、この自己肯定感、どうすれば高めることができるのでしょうか。
自己肯定感を育むための大事なポイント!「●●評価」を重視しよう
2,924 View近年ママパパの関心を集めている"自己肯定感"。この自己肯定感を高める方法は多々ありますが、実は、単に高めようとするよりも、"誰からの評価を重視するか"が大事なポイントとなるようです。
自己肯定感を高めるには、主に3つの方法があります
【その1】自分の信念や考え方、趣味などの個性とその価値を自分で認める。
【その2】家族や友達などの周囲の人から必要とされたり、尊重される。例えば、親から愛されていると実感することで、子どもの自己肯定感が高まります。
【その3】成功したり、良い成績をとったり、目標を達成するなど、社会的な価値を認められる。
要するに人は、自分を自ら認めるか、周りの人から必要とされるか、あるいは、社会から認められることで自己肯定感が高まるのです。
しかし、ここには大きな自己肯定感のワナが潜んでいることに注意しなければなりません!
大切なのは、"誰からの評価"を重視するか
これら3つの方法は、それぞれ"自分でコントロール可能か、それともコントロールが困難か"という視点で、「自己評価」と「他者評価」に分けて考えることができます。
例えば、周りの人からどれほど愛されているのかは、自分の行動次第で相手の評価が変わる可能性はあるものの、結局のところそれを決めるのは周りの人"本人"なので、他者評価となり、自力でコントロールするには一定の限界があります。
分かりやすくいうと、親から虐待を受けている子どもは自己肯定感が低い傾向にありますが、虐待をする親を子どもが変えるには限界がありそうですよね。
また、学校や職場など、社会からどの程度認められているかは、確かにこれも本人の努力次第で評価が変わる可能性はありますが、その評価は外部の基準と判断で決められるものです。
子どもの成績を例に考えてみましょう。子どもの成績は本人の努力が反映されるものの、授業や試験の難易度、他の子どもたちのレベル、先生の判断など、外部の環境と基準によって点数や評価がつけられます。
だから、周りの人からどれほど愛されているのか、あるいは学校や職場でどの程度評価されているのかという外部他者からの判断を重視すると、その評価次第で自己肯定感が揺らぐという、不安定な状態になってしまうのです。
その一方で、自分で自分のことをどう思っているのかというのは自己評価であり、それをより重視することで自己肯定感が揺らぎにくくなります。その際に大事なことは、できるだけポジティブに解釈することです。
したがって、"揺ぎない"高い自己肯定感を育むためには、他の人からどう思われているのか、点数・成績の結果がどうだったか、などの外部評価ではなく、自分がどう考えているのか、自分の個性はなんなのか、といった肯定的な自己評価を重視することが大切なのです。
もちろん、親が注ぐ愛情が子どもの自己肯定感に大きな影響を与えているのは言うまでもありませんが、子どもが自己を認めるような考え方を身につけるためには、親御さんの日常の接し方がポイントになります。
子どもが自己を肯定するための親子会話のコツ
【会話のポイント】
◆子どもの感じ方や意見を聞く
○「○○ちゃんはどう思う?」
◆子どもの意見をむやみに否定せず、受け止める
×「~じゃないよ、―でしょう!」
○「そうなんだね、素敵だね。」
◆子どもを成績などの評価や親の価値観だけで判断しない
×「100点取るなんて凄いわ。いい子ね。ママ本当に嬉しいわ~」
○「100点取ったんだ、凄いね!○○ちゃん、算数楽しい?」「どんなところが楽しいの?」
自己評価を高めるのは子どもだけでいいの...?
ここまで、子どもの"揺るがない"自己肯定感を育むためには、他者評価よりも自己評価を重視させるのが望ましいと話してきましたが、ここでママパパのみなさんに知ってほしいもう一つ大事なことがあります。
確かに、親御さんがお子さまへの接し方を工夫するのは大切です。しかし、実際にはやはり、子どもは一番身近な存在である親の考え方に大きな影響を受けてしまいます。
もし、ママパパのみなさんの自己肯定感が低ければ、育児や仕事で生じる挫折感やストレスが子どもに伝わってしまったり、あるいは子どもに対しても自分と同じようにネガティブにみてしまう恐れがあります。
そこで、子どもに揺るがない自己肯定感を育むためには、子どもの自己評価を重視するとともに、ママパパご自身の自己肯定感を高く保ち、深い愛情を注ぐことが望ましいのです。
もう既に自信をもってるよ、という親御さんはとても素敵ですが、一方で、いまそんなに自信が持てていないという方も不安になる必要はありません。先に説明した、他者評価よりも自己評価を大事にする考え方に従って、悩んだ時には立ち止まって考え方を見直してみましょう。
例えば、以下のような悩みの場合。
◆働いていて、子どもと一緒に過ごす時間が少ない。傍にいれないなんて親失格ではないか
◆育児に覆われて家の中が片付いていない…家事・育児がきちんとできないなんて、ダメだなぁ
◆子どもが良い子にしてくれないのは、自分のしつけがよくないからではないか
これらは、「母親なら家事と育児をきちんとこなすべきだ」という家族や世間一般の価値観・評価またはその思い込みが前提にあり、無意識のうちにその理想像に合わせて自分を比べているからこそ、プレッシャーやストレスを感じてしまうのです。また、その他にも、子どもの成績、パパの収入、パパの会社での地位などもすべて他者からの外部評価です。
このような外部からの評価やそれに基づく理想に左右されていないかどうかを見直し、ママパパご自身が自分に対してポジティブに考えることで、同じ状況でも以下のように解釈することができます。
◆働いていて、子どもと一緒に過ごす時間が少ない。傍にいれないなんて親失格ではないか
➡私が働くことで生活に余力が生まれ、自己実現もできている
◆育児に覆われて家の中が片付いていない…家事・育児がきちんとできないなんて、ダメだなぁ
➡家の中が片付いていないのは、それだけ育児を頑張った証
◆子どもが良い子にしてくれないのは、自分のしつけがよくないからではないか
➡子どもを自分の思い通りにしようとしても無理なこと。"悩む"ほど自分はよく子どもと向き合っている
※育児やその他に追われているなど、状況によって肉体的・精神的に過度な負担を感じている場合があります。無理をせずにまずは身近な人にご相談を。
"物は考えよう"という諺がありますが、まさに自分の考え方こそ、自分自身でコントロール可能なもの。
育児も家事も仕事も、すべて思い通りに実行できる人はほとんどいません。自分にできる範囲のことを意識しながら、できなかったことよりできたことに目を向けて、自分を褒めることを心がけましょう。そして困ったときには周りの人に頼りましょう。
まずはママパパのみなさんが前向きに自己を認める、その姿勢こそが子どもの揺るぎない自己肯定感を育むための一歩なのかもしれません。
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