小さな子がよく肌身離さず持ち歩く、フワフワとした感触のタオルや毛布、そしてママのにおいのする服。これらを絶対に離さないのは、ナゼなのでしょう?
これらのものは、発達心理学で「移行対象」と呼ばれています。そして、子どもがこれら移行対象物に執着することは、母親から少しずつ自立していく過程で現れることがある、健全な現象です。子ども自身の不安な気持ちを和らげることにも役立っているとされています。
スヌーピーで有名な漫画『ピーナッツ』の中で、小さな男の子・ライナスが常に持っている毛布を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
お気に入りのタオルや毛布への執着、無理にやめさせないで!わが子の「自立の第一歩」を見守ってあげよう
155,617 View1~3歳ぐらいの小さな子は、お気に入りのタオルや毛布を肌身離さず持ち歩いたり、それらを持ちながら指を吸ったりしている場合も多いですよね。親としてはやめさせた方がいいと思って取りあげてしまうと、子どもは大泣きして余計に離さなくなったりします。実はこのようなフワフワした肌触りのよいものへの執着は、発達心理学では「ママからの自立の第一歩」と位置づけられています。
お気に入りのタオルや毛布、ママの服…。子どもが離さないのはナゼ?
我が家も経験!タオルへの執着
小さな子どもに、こういった手離せない大切な物があると知ったのは、現在中学2年生の長男が1歳の頃。当時長男は、お昼寝や夜寝るときに必ず、大判の水色のタオルを持ってきました。
長男はしゃべり出しがゆっくりだったのですが、3歳頃になるとはっきりとしゃべるようになり、「水色タオルがいいの」「水色タオルが好きなの」と言っていました。指しゃぶりはセットではなかったのですが、毎回長男が「水色タオル」を自分で探してきて寝る姿は、とてもかわいく思えたものです。
タオルと指しゃぶりとのセットで、長男の時とはくらべものにならないぐらい執着が強かったのが、現在小学6年生の長女。長女は1~2歳だった当時、くまのプーさんの絵柄の小さめバスタオルがお気に入りで手離せず、買い物のときまで持っていくほどでした。そのタオルがないと非常に機嫌が悪くなってしまうので、私は3番目の子がまだ赤ちゃんで乳幼児3人の子育てに追われていた時期でもあり、無理に長女からタオルを取りあげることはしませんでした。
ただ、いつもいつも持ち歩いているので、さすがに衛生面は気になりました。お昼寝中にこっそり洗濯をして、浴室乾燥機でガーっと乾かしていたのですが、まだ乾ききらないうちに長女が目を覚まし、「プーさんタオル!プーさんタオル!」と大絶叫することもよくありました。
あまり気にせず、見守ってあげよう
当時の話になると、長男は今でも「そうそう、水色のタオルが好きだったんだよねー」としっかり覚えています。彼にとってはそれだけ大きな存在だったのでしょう。
長女のプーさんタオルは、ショッピングセンターの本屋さんに置き忘れてしまったことがあるのですが、後であわてて戻ってみたら、糸があちこち出てボロボロのタオルなのに、売り場の方が丁寧にたたんで箱に入れて保管してくださっていました。
「こんなに年季が入ったタオルは、絶対大切な宝物だと思ったんです!」と、少し得意げな表情で渡してくださった店員さん。そのの優しさがまだ心に残っています。そんなエピソードも、子どもたちと小さな頃のことを振り返るときに、よく話題に出ます。
その子が離したくないのだから、その子にとっては何よりも大切なもの。周囲があまり気にせず見守ってあげることで、子どもも思う存分執着することができると、サヨナラの時も結構あっけなくやってくるかもしれません。長男、長女のタオルへのこだわりはしっかり覚えていても、いつ卒業したのかはまったく覚えていない私です。
大丈夫!自然に卒業します!
さて、時は移って現在。今3歳8ヶ月の5番目末っ子は、1歳代の頃から私のボーダーTシャツがお気に入り。私のにおいがすると言って、そのTシャツに「におい」という名前までつけていますが、ずっと末っ子が持っているので私が着る機会はなくなり、すっかり末っ子のにおいに変わっています…。たまに私が着ようとすると「におい、着ちゃダメ!」と言うので、「お母さんよりお母さんの服が好きなのかい!」とツッコミを入れる有様です。
このTシャツを、車で出かける時にも持ち歩いていた末っ子。ですが最近、持っていくのを忘れることが増えました。そして出かけた先で、「あれ? におい忘れちゃった。まあ、いいか」なんて言っています。
そんな末っ子を見ると、お気に入りTシャツ卒業もそう遠くないのかなと感じます。そう思うと、親は何だか寂しくなってしまうものですね。
タオルや毛布、ママの服などに執着するお子さんがいると、やめさせた方がいいのかな?とつい心配になってしまうのも親心。しかし実は、それが子どもにとって「ママから自立するための第一歩」なのです。子どもが自分で成長しようとしているのだ、とおおらかに捉え、思う存分こだわらせてあげてください。そのうちに、自然と卒業する日がやってきますよ!
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