世間的に全く隠していないので、友人知人の皆さんには良く知られているのですが、
私は今、人生を3番目の名字で生きています。
といっても、子どもの頃に親が離婚したとか、再婚したとかではありません。
最初の結婚、27歳までは、ずっと産まれた時の名字で生活していました。
(便宜上、この苗字をAとします)
最初に名字が変わったのは、1度目の結婚の時。
当時の夫と結婚するときに、「名字どうする?」と聞いてみたところ、
「(夫自身が、私の名字を名乗ることは)なんかヤだな・・・」と言われたため、
私が改姓をしました。(この苗字をBとします)
※今考えると、名字の話はともかく、元夫は何についても「なんかヤだな」という論理的に説明のない、感覚的な拒否をする人でした。
それ自体は彼の個性ではあるのですが、結果的に私はそんなところも含めて彼と永年の人生をともにする決意が出来切らず、4年半の結婚生活の末、離婚しました。
【夫婦別姓を考える】3度名字が変わった私が名前について考えたい、とても大切なこと。
7,287 View先日、夫婦別姓に関して、最高裁の判決が出ました。私は現在、産まれてから3番めの名字で生活しています。夫婦で名字を統一すること、またビジネスネームの利用などについて、自分自身の経験に基づいて書いてみたいと思います。
実は、3番めの名字です。
名字を変えるのは、いろいろとめんどくさい。
最初の結婚当時、私は仕事を辞めて専業主婦になりました。
無職なので、手続きは少ない方なのですが、それでも「B薫」になるのは、役所、銀行、カード、改姓に伴う様々な手続きがあり、それはとても煩雑で面倒だったことを覚えています。
でも、当時は初めての結婚にうかれてもおり、今だったら微塵も考えないような、
「あなたのモノになるの♪」的なウーマンリブ団体が聞いたら刺されそうな脳内お花畑状態ではあったので、それらの手続きもそれほど厭わずに終える事ができました。
結婚約4年後、会社員として社会デビュー
31歳の時、就職活動をした私は、専業主婦から社員という名の社会人になりました。
(それまでも仕事はしていましたが、セラピストとしてでしたので、名刺もPCもなく、お給料振込以外の社会的手続きはそれほど多くありませんでした。)
就職して、当時の夫の名字、「B薫」で名刺もつくっていただき、メールのやり取りや、会社のサイトに掲載されるなど、ある意味で名前が広まっていきました。
この時点では、本名=ビジネスネームで、何の問題もなかったのです。
ところが、それから1年も立たないうちに、離婚(笑)。
離婚の原因は、私が仕事にのめりすぎたことという笑えない原因なのですが(苦笑)。
経緯は省いて円満離婚をした私ですが、役職的に社外の方ともたくさんやり取りをする立場であったため、会社内ではそのまま「B薫」として、元夫の姓を使わせていただきました。
戸籍はこの時点で、26歳までの自分の元の姓、「A薫」に戻していましたので、
・年金手帳や給与振込の口座は旧姓(A薫)
・名刺やサイト上は元夫の姓(B薫)
・社内での呼び名も元夫の姓(B薫)
という状態になりました。
当時、同じ課の後輩に「B薫さんって人は、本当は世の中に存在しないんですよね・・・」と言われましたが、まさにそのとおりです。
元夫とは円満離婚なので、その姓を使うことに何のためらいも戸惑いも不快感もありませんでしたが、なんとなく「ビジネス上別の人物を演じている」という感じはありました。
そして、それは心理や振る舞いに良く働くときもありましたし、離人感を感じる時もありました。
再婚。現夫の姓になるものの、ビジネスネームは元夫の姓というねじれ現象が(笑)
それから、縁あって今の夫と再婚しました。(この苗字が熊野です。)
現夫と初めて接点を持ったのは仕事がらみでしたので、現夫は私の本名を「B薫」だと思っていました。
もちろん、素性?を話してお付き合いし、その後結婚。
それから、転職するまでは本名「熊野薫」ビジネスネーム「B薫」として仕事を続けました。
転職のタイミングで、現姓の熊野に統一し、熊野薫として、仕事もはじめました。
その後、妊娠、出産。
退職を経て、考えることがありました。
個人事業主としてのビジネスネームは、「B薫」。
2012年に会社員を辞め、個人事業主として開業した時に選んだ名前は、元夫の姓のB薫でした。
今考えると、なんで?と思いますが、当時は当時でまともに悩みぬいた末の決断でした。
セラピストをしていたのは、B薫の時代。
ディプロマ(資格証明書)も、インストラクターとしての知名度も、すべてがB薫だったのです。
昔の仕事で個人事業を行う以上、その当時の名前にした方がいいのではないかと(当時は)真剣に思いました。
また、個人事業という後ろ盾のない状況に、なんとなく本名を使うのが怖かった、という
気持ちもありました。
(今となっては、3年前に戻って自分に全力で説教をしたい気分ですが・・・)
ご縁をいただき、開業後数ヶ月で大手有名雑誌に1ページ特集して頂く機会を得たのですが、その際の名前は「B薫」。現在激しく後悔していることの一つです(笑)。
結局、事業に真剣になるとともに、振込先などの現実的な障壁がたくさん出てきて、
2014年1月からは、本名の熊野薫で活動をしています。
(開業が2013年11月。なんちゃってビジネスネームの終焉は、意外と早かったです)
名字が変わることの不便と不利益、そして心理的な負担。
結局、結婚して離婚して、さらに結婚した私の自己責任といえばそれまでなのですが、名字の変更による不便と不利益、心理的負担をたくさん味わった今回の人生(笑)。
もちろん、「別の私になれる」というファンタジーも同時に味わう事ができましたが、時間や認知、またちょっと専門的なことをいうとSEO的な損失コストがかなりあったのでは?と思います。
・生まれ持った苗字を大切にしたい(超個人的なことですが、私自身は自分の生まれ持った苗字があまり好きではありませんでしたので、この感覚は今でも全くありません。)
・真剣に携わってきた仕事やキャリア、評価、それらをコツコツと積み重ねていきたい
(いわゆる、ビジネスネーム)
人にはそれぞれ、名前に対する「思い」があります。
そしてそれは、人それぞれ、違います。
もちろん、女性だけじゃない。
とある人の意見で、なるほどなと思ったのですが、夫婦別姓を男女差別、という観点から捉えるのは、ちょっと違うと思っています。
なぜなら、結婚する男女の選ぶ苗字は、法律的には男性の姓でも女性の姓でも、どちらでも良いのです。
なぜか、男性側に属す傾向があるというだけで(元夫の「なんかヤだな」がいい例です)、女性側の姓を選んでも何の問題もありません。
現在の法律が、男女どちらかの姓を選ぶこと、と決定された事を考えると、
・そもそも、苗字(氏)とは何なのか
・自分はそれについて、どう考えるのか
・そして結婚後の実社会を生きる上で、どうしていきたいのか
を男女ともに、個々人が考えていかなくてはならないのではないでしょうか。
もちろん、
・やはり結婚後も、自分の持つ姓名を名乗ることが、男女ともに当然の人権である
という主張、選択も含めて。
結局のところ、大切なのは、「自分という軸」そして「思い」
40年以上人生を生きてきて、結局のところ大切なのは、自分とは何者なのか、という「軸」なのだと思います。
私自身は、苗字がねじれた時間が大きかったことや(笑)、自分の本来の姓にそれほど愛着がないため、自分の氏名(苗字+名前)にはこだわりがありません。
けれども、持って生まれた姓を大事にしたい、仕事上使ってきた姓を大事にしたい、という思いは人それぞれ、あると思います。
だからこそ、「自分はどうしていきたいのか」を、結婚が可能になった年齢の人たちは考えていく必要があるのかなと思います。
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