「母性」とは何か?私が今、母になって気づいた「母性」の本当の意味
84,837 View巷でよく聞く「母性」という言葉。私は自分が母親になったにも関わらず、この「母性」という言葉に対して何か飲み込むことのできないようなもどかしさや抵抗を感じていました。それは、「母性」という言葉に「無償の愛」のようなイメージを抱いていたからかもしれません。しかし、ある本を通じて私は「母性」への新しい解釈を見出すことができました。
「母性とは?」と聞かれたら何と答えますか?
皆さんは、「母性」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
私は「無償の愛」や「太陽のようなポカポカしたもの」というイメージを持っていました。
みなさんが抱くイメージも、これに近いものがあるかと思います。
しかし私は、この「母性」という言葉の持つイメージにずっと抵抗感を感じていました。
自分が子どもを持つ母親であるにも関わらず、自分とはかけ離れた言葉のように感じていたのです。
私は我が子にとって太陽のような存在にはなれない。
「ありがとう」という見返りも欲しいし、育児中に陰りのある顔をしていることも少なくない、そう思っていました。
「母性」という言葉で悩んでいる女性もいる
「母性」という言葉に悩まされている女性は、もしかしたら多いかもしれません。
「出産したら自然と母性があふれてきた」といった体験談に触れ、「自分は違うのでは……?」と不安になってしまう場合もあるでしょう。
また、「子どもがどうしてもかわいく感じられない」という状況や、「太陽のようにあたたかい愛情を注げるはずなのに……」と自らを責めてしまい、育児の自信を無くしてしまうことも。
私自身、「母性」に対するイメージと、自分の育児に大きなギャップを感じて苦しい思いを抱えていました。
本来「母性」という言葉はこのような意味があります。
母性(ぼせい)とは、女性がもっているといわれている、母親としての性質。また、子を産み育てる母親としての機能のこと。
私たちが抱いていたイメージとは、異なるものだったのです。
私が「母性」という言葉をうまく消化できなかったワケ
私は日々子育てをする中で、なぜ自分は「母性」という言葉に抵抗感があるのだろう?と考えるようになりました。
そして、2つの理由に思い当たったのです。
1.幼き日の記憶
私は幼い頃から、考えがひねくれていた子どもでした。そのせいか、幼稚園の頃からいじめられていました。
私がいじめられたことを母に話すと、母からはいつも、私がかけてほしい言葉と違う言葉が返ってきました。
「男の子だったらよかったなぁ」と言われて、自分自身が否定されたような気持ちになったこともあります。
もちろん、母からは学校のことや部活のことを詳しく聞かれたこともありません。
なので私からたくさん話すのですが、なんとなく鬱陶しがられている気がして、私はだんだん母に話すことをためらうようになっていきました。
たとえ話したとしても、結局は私がかけてほしい言葉と違う言葉が返ってくるので、母に対する反発心が少しずつ生まれます。
しかし母と対峙しようと思っても、母はその土俵に上がってくることはありませんでした。
こうして母娘がぶつかることもないまま、私は高校卒業後には飛び出すように家を出てきたのです。
私の記憶の中には、暗い母の顔しかありません。なんでそんなにつらそうなのか?と思うほどに。
母は決してネグレストや毒親ではありませんでした。
仕事の合間に毎日3食きちんと手料理を作って食べさせてくれ、生活する上では何不自由なく恵まれていたと思います。
それなのになぜ、こんな風になってしまったのか…。
私は、母から愛されたいという思いが強かった。
褒めてもらったり、ただ話を聞いてほしかった。
時には感情をあらわにして私のためにぶつかってきてほしかった。
本当はそう願っていながら、ずっと自分の思いに蓋をして生きてきたんですね。
だから、「母性」という言葉がもつ「無償の愛」「太陽のようにポカポカしたもの」というイメージに違和感を感じていたのだと思うのです。
2.我が子を信じて見守ることの難しさ
子どもを育てていると、「我が子を信じて見守る」ことの難しさを痛感します。
上の子の性格は私と似ているため、幼い頃の私のように友だちができないと本人が悲しい思いをしてしまうのではないかと、不安になります。
そして友だち関係がうまくいくにはどうしたらよいかなどと、うるさいほどに言葉を並べてはあとで自己嫌悪に陥ってしまうのです。
この子は決して私ではないのに…。
我が子を怒るときも同じです。
子どもを怒るとき、つい自分の過去や経験を重ねてしまって自己嫌悪に陥るのです。
我が子への怒りではなく、私自身への怒りや悲しみなのかもしれません。
私は子どもを産み育てるまで、こんなにも自分が喜怒哀楽の激しい人間だと思っていませんでした。
そんな自分に嫌気がさす毎日を送り、必要以上に「子育ては大変だ」と感じていたのです。
私は我が子に無償の愛を注げていない。太陽のようになれない。
我が子を信じて見守ることの難しさを感じていた私は、ますます自分の心と「母性」という言葉がかけ離れたもののように思えました。
そんな時に出会った1冊の本が、私の概念を変えてくれた
そんな時、私は1冊の本に出会いました。この『母性』という本を読んで、私が抱いていた「母性」への概念が変わりました。
いえ、この言葉を消化することができたのです。
『時は流れる。流れるからこそ、母への思いも変化する。
それでも愛を求めようとするのが娘であり、
自分が求めたものを我が子に捧げたいと思う気持ちが、母性なのではないだろうかーーー。』
(『母性』湊かなえ著、新潮社)
この一節は私にとって、「無償の愛」よりも「太陽のようなポカポカしたもの」よりも、しっくりくる「母性」の解釈でした。
子どもが親に愛を求めることは悪いことではなく、また、その愛を求める気持ちを1番理解している母親自身が、子どもの気持ちを汲んで満たしてあげたいと思うこと―。
この本を読んだことで、私は長年うまく飲み込むことができなかった「母性」という言葉を、詰まることなく噛み砕いて消化できたような気がします。
「母性」は、ポカポカした暖かいものでもなくてもよいのです。特別なものでなくてもよいのです。子どもの気持ちにきちんと寄り添いながら、自分が幼い頃に母親に求めたものを、今度は我が子にも捧げたいと思えばいい。
そう分かったとたん、私は気持ちがフッと楽になりました。
過去を受け入れ、変化しはじめた気持ち
私は子どもを産んでからというもの、幼き日の記憶が幾度となくよみがえり、大きな壁となって目の前に立ちはだかっていました。
過去の自分と決別しなければ、今のこの幸せが色褪せてしまいそうで、私は思い切って母にぶつかっていくようになりました。
母も、もう親となった私が相手だからか、お互いにぶつかりあうことができました。何度も何度もぶつかりあって、そして母の背中が丸く見えるようになったこの頃、やっと過去の自分に納得して決別できたような気がしています。
昔の母は、これまでの私と同じように育児で悩んでいたのかもしれません。仕事をしながら育児をし、充分に愛情をかけていたつもりだったのかもしれません。でも、幼かった私は母にそれ以上の愛情表現と、笑った顔を求めていたのです。
私はこれから、自分の中にある暗い顔の母親像をぶち壊して、新しい母親像を作るべく前進したいと思っています。
親が我が子にできることとは…「母性」への疑問を通じて希望が見えた
我が子に悲しいことがあると、親というものは自分のことのように悲しく思ってしまいます。また親の喜びは子どもの喜びでもあります。
母となった今、あらためて感じていることです。
そして、親は大人なので経験していることも多く、それをどうにか我が子の道しるべに…と、つい余計なことをしてしまいがちです。
これも、我が子に起こっていることを親が自分のことのように感じてしまうからではないでしょうか。
我が子は、自分とは別の「1人の人間」です。
自分のお腹から産まれ、日々同じ時間を過ごし、顔や性格が似ていても。子どもには子どもの人生があることを、受け入れなければなりません。
我が子との関わり方は、浅すぎてもどっぷり浸かりすぎてもうまくいきません。
自分の過去や経験を子どもに重ねずに、ちょうどいい距離を見つけていくこと。
我が子を信じて見守ること。
親としては大変さを感じるかもしれませんが、我が子の気持ちに寄り添ってうまく距離をはかることも必要なのかなと思っています。
「母性」とは一体何なのか?
私はずっと抱いてきたこの疑問が1冊の本によって晴れ、子育てと自分自身のこれからに希望を持てるようになりました。
今、かつての私と同じような思いをしている方がいたとしたら、いつの日か希望を見出せることを願っています。
結論
「母性」とは、キラキラしたものでも、無償の愛のようなものでもありませんでした。
子どもが「親に愛されたい」と感じる気持ちを汲んでやり、それを満たしてやろうとすること。
それが「母性」なのだと、私は考えます。
子どもを産んだからと言って、誰しもが最初から「母性」を持っているわけではないし、人によって「母性」に対するイメージや解釈が違ってもいいのです。
「母性」という言葉を重圧として感じているかもしれない方が、少しでも参考にしていただけると嬉しいです。
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