この冬も、急に寒さが増してきました。インフルエンザもだんだんと件数が増え出しており、まだまだ気が抜けません。
今回は、私が幼稚園の先生として気をつけていた子どもの体調管理と感染予防についてお伝えします。
インフルエンザが流行る冬。元幼稚園の先生が教える家庭でできる対策とは
10,415 View冬に猛威を振るうインフルエンザ。熱を出したり風邪をひいてしまう子どもも多い中で、家庭や園では何を気をつけていけばいいのでしょうか?
出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038023726①目標を立て、「健康」を意識
体調管理に目標?と思われるかもしれませんが、子どもに体調管理について意識してもらうためにはとても大切なポイントです。
私がいた幼稚園では、毎日休まず登園すると「皆勤賞」が与えられます。
月末にはクラスのみんなの前で皆勤賞だった子を表彰します。子ども達は皆勤賞のメダルをもらうと、とても誇らしそうにしています。
皆勤賞を取るチャンスは、誰にでもあります。
病は気からという言葉があるように、目標に向かう強い気持ちを持つことが、幼い頃から生活の基礎として育まれるように幼稚園で声掛けをしていました。
特に年長さんは、卒園まであと何日…とカウントダウンが始まります。
「先生は絶対に休みません。できるだけ多くの時間をお友だちと過ごせるように、一緒に頑張ろうね」と、少し強気な発言ですが、そう伝えていました。
子どもたちと目標を共有したおかげで、私も卒園まで休まず出勤することができました。
一人では難しい目標も、それを仲間と共有することで成し得ることができるということ。
大人になっても仲間を作って支え合い、力強く生きてほしいと強く思います。
②「言葉でSOSが出せる」自己管理の大切さ
年齢に関係なく、自分の身は自分で守る、自分の体は自分で管理する、そういった意識を幼いころから身につけていくことはとても重要です。
集団生活の中では、自分の体調や都合だけに合わせた環境で過ごすわけにはいきません。寒いからと言って寒さに負け、暑いからと言って暑さに負けてもいられません。
寒いときは、上着を1枚着よう。暑いから、水分補給を多めにしよう。
寒いからこそ、体を動かそう。汗をかいたから着替えよう。
そんな風に自分の体と相談しながら、環境に自分を合わせるための知恵を子ども達に教える必要があります。
とはいっても、すぐにそれを完璧にすることは難しいでしょう。
まず身につけてほしいのは、「なんだか具合がわるい気がする」という感覚に、自分自身で気が付くことです。
なぜなら、自分で不調を訴えたり主張したりすることができれば、大人が身を守ってくれるからです。
幼稚園では「具合が悪いなと思ったら、すぐに先生に言って下さい」とよく言っていました。
ある日移動中のバス内で「なんだか気持ち悪い」と言って来てくれた子どもがすぐ嘔吐した時は、心配な気持ちと同時に、「言ってくれてありがとう、偉かったね」と言っていました。
集団感染を防ぐためにも、自分の身を自分で守ることは、大好きなお友だちを守ることにもつながるということ。
これも子どもたちに教えていきたいことの一つです。
③家庭で身につけられる生活習慣とは?
ある日、入園したての2歳児の男の子が突然泣き出しました。
「テチュー」と泣いていて、何のことで泣いているのか全く分からず「テチュってなあに?」と聞くと「テチュー」と再び喚き泣いてしまいました。
涙を拭こうとティッシュを持ってその子のところへ向かうと、勢いよくティッシュを取り、泣きやんでくれました。
そう、その子の欲しかったものはティッシュだったのです。
どうやら、お家では鼻水が少しでも出たらすぐにティッシュで鼻水を拭くように習慣ができていたのでした。
その子は自発的に鼻水を拭こうとしていたのです。手を洗う、鼻をかむ、うがいをする。幼稚園ではもちろん子どもたちに教えていましたが、家庭での生活習慣が幼稚園の集団生活でもよく現れます。
お母さんが集団生活に入る前に、教えていたことの一つだと伝わり感動しました。
その子行動を見て、最初はティッシュの無駄遣いにもなっていましたが、みんな真似て自主的に鼻水を意識して拭いていました。
ここでも、1人の子の行動によって感染を防ぐキッカケが生まれました。
また、「鼻水を拭いてあげる」のはお母さんが子どもたちにしてあげている行動ですが、子どももお友だちに思いやりの気持ちを表して鼻水を拭いてあげようとします。
こういう時、なんと声をかけたらいいでしょうか?鼻水を介して感染することもありますから、言葉の掛け方に困りますよね。「お母さんは鼻水を拭いてあげても大丈夫なのに、何故わたしはだめなの?」と言われてしまうかもしれません。
そんなときは、「鼻水を拭いてあげようとする事はやさしいけど、鼻水を自分でふくことを教えてあげた方が、いつでも自分でできるからいいよね」そう声掛けをしてみてはいかがでしょうか。
コミュニケーションで、感染を防ぐことが大事
2歳児の担任をしていた時は、子どもの体調管理に対してピリピリすることが多くありました。
自分の言葉で、「頭が痛い」「具合が悪い」など発言できない分、大人が子どもの様子を見守り続けなければなりません。
とても元気に過ごしていても38℃の熱を出しているなんてこともあったり、特に熱性痙攣になったことがある子など注意が必要です。
私が担任だったときは、毎朝出席を取る時に、必ず子どもたちの様子と声の大きさ、元気の良さなどを確認し、いつもより元気のない子がいたら首のあたりに手を当て、熱がないかを確認していました。
気になることがあれば、子どもに触れて確認してみる。
「嫌な予感」という言葉がありますが、正に嫌な予感が的中することもよくあります。
また、何年か前、ベテラン先生とペアを組んだことがありました。
私は子どもたちの出席を取り終えてから遊んでいる子どもの様子を見守っていたのですが、その先生は1人の子のところへ一目散に向かい「具合わるいでしょ~」といって抱き上げました。
そして体温計を図ると、その子に熱があることが分かったのです。
担任や親が気づけなかったとしても、他のクラスの先生や周りの大人、または子どもたち同士など、お互いがお互いに気にかけあい、多くの目で子どもを見守る。そういったコミュニケーションが非常に重要であると気づいた出来事でした。
インフルエンザは、これからさらに流行していきます。体調を崩してしまう子どもも多いかと思いますが、親と園、周囲と連携しながら、子どもの健康を見守っていければと思います。
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