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公開 2021年01月02日  

子どもの話を聞き流していませんか?大人が陥りやすい「リスニング・ブロック」を知っておこう

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親のコミュニケーションスキルについてのご紹介です。子どもの話を「きく」ことについて、つい無意識のうちに、から返事をすることはありませんか?そもそも、話を「きく」という行為にはどのような意味が込められているのでしょうか?


子どもの話を“聴く”ことの大切さ


「きく」には「聞く」と「聴く」と「訊く」の3つがあります。



「聞く」は、意識していないのに、音として自然に耳に入ってくる状態のことです。

例えば、電話で話しながら、テレビの音が耳から入ってくるような状態を指します。

「訊く」は、尋ねる、訊問(きつもん)するという意味があります。

直訳すると“質問を発してそれに答えさせる”ということになります。

この表現では、何か強制的に答えさせるようなイメージがありますが、コミュ二ケーション学では、ここまで強い意味はなく、何かを尋ねる、質問するという状態だと理解していただければと思います。

最後の「聴く」は、コミュニケーションにおいて最も重視される要素で、注意深く耳を傾けるという意味を持ちます。

これは、相手が何を伝えようとしているのかをしっかり受け止めるという状態のことです。


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相手の話を真剣に“聴こう”とする時、人は次の4つのいずれかの行動をとると言われています。

1. 相手のことを心から理解しようとしている時

2. 相手を楽しませようとしている時

3. 相手に援助や慰めを与えようとする時

4. 自分のために何かを学ぼうとしている時


いかがでしょうか。

もちろん、同時に複数の意味が込められる場合もあるでしょう。

日常のコミュ二ケーションでは、話している相手のことをより深く理解したいと思ったら、その人の話を上記1~4の状態で、真剣に“聴こう”とするでしょう。

相手のことを何とかして理解したいと思ったら、より熱心に耳を傾けるに違いありません。

「聴く」という行為の背景にある心理は、「その人の話を心から聴きたい!」と思う気持ちなのです。

一方で、皆さんは子どもの話を聴く時にこのような行動をとりながら聴いているでしょうか。


子どもに対しては「リスニング・ブロック」してしまう人が多い?

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子どもの話となると、大人は聴いているような素振りを見せても、実は聴いていないということがあります。

人の話を聴けなくする要因のことをコミュ二ケーション学では、「リスニング・ブロック」と呼んでいます。

意訳ですが、「人の話を聴けなくするもの」という意味を持ち、自分の心の状態(人の話が聴けないときの心の状態)を指しています。

例えば、子どもの話を聴く時でも、「自分の興味がある部分しか話を聴いていない」あるいは、「子どもの話を少し聞いただけで、すぐにアドバイスしてしまう」などです。

これは何か悪いことをしているようなイメージを持たれやすいですが、誰でも無意識のうちにしてしまうことなので、あまり気にすることはありません。

しかし、自分が陥りやすいリスニング・ブロックのことを知っておく必要はあります。

なぜならば、自分が陥りやすいリスニング・ブロックを知っておけば、実際に子どもの話を聴いていないときの自分の状態に気づくことができるからです。

つまり、自覚することで、このリスニング・ブロックは出現しにくくなるのです。


全部で12種類ある「リスニング・ブロック」

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驚くべきことに、このリスニング・ブロックには12もの種類があります。

今回は、イメージをしていただくために、一部を紹介いたします。

まずは「比べてしまう」というリスニング・ブロックについて解説します。


比べてしまうとはどういうことか?


「比べてしまう」というキーワードを見た瞬間、「あ、わたし、やってしまったことあるかも…」と思い当たる方はいないでしょうか?

この傾向がある方は、「日ごろから何でも分析する人」が多いように感じます。

比べるということは、「いくつかのものを比較する」という行為でもあるので、決して悪いことではありませんが、この傾向がある方は、大か小か、右か左か、長いか短いかなど、つい分析的になって自分の世界の中だけであれこれ考えを巡らせてしまいやすくなります。

こうなると相手(子ども)の話はすんなり入ってこなくなってしまいます。

また、自分と相手(子ども)、または他の人と比較してしまうという傾向が顕著にみられることもあります。

ここが、実は一番の問題です。

なぜならば、相手(子ども)が失敗した話をした時にも

「上の子なら別のやり方をしていたはず…」

「自分なら、もっと違う方法を見つけたはず…」

「他の子ならもっとうまくできたはず…」

などと考えてしまうからです。

比較することで手いっぱいになって、相手(子ども)の話はあまり耳に入ってこなくなるのです。


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ちょっと思い当たるな、という方もいたのではないでしょうか。

まずは「自覚・認識」をすること。これも大事なことです。

子どもと普段、どんなコミュニケーションをとっているか、ぜひ振り返ってみてくださいね。

次回は、その他のリスニング・ブロックについて解説します。


※ この記事は2024年10月28日に再公開された記事です。

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