早産で生まれた赤ちゃんがNICUで使う「スナグル」。その意味を知っていますか?
51,181 View早産で小さく生まれた赤ちゃんは、一定の体重に成長するまでNICUの保育器の中で過ごします。その時にベッドとして使う「スナグル」には、赤ちゃんの健やかな成長を願うさまざまな想いが込められています。
保育器の中で過ごす赤ちゃんにとって大切なこと
テレビのドラマやドキュメンタリーで、NICUの保育器の中にいる赤ちゃんの映像を見る機会があると思います。
保育器の中で過ごす赤ちゃんの多くは、早産等の理由で体が未熟な状態で産まれてきているため、温度や湿度、酸素量などを厳密に管理してもらっています。
ママのお腹の中で羊水に包まれている状態に近づけるよう、湿度は高めに設定されているほか、自分では上手に体温調節することができないので、赤ちゃんの体温に合わせて保育器側の温度を調節します。
こうした微調整をするためと、赤ちゃんの体の状態をよく観察する意味も込めて、保育器の中では肌着などを身に付けず、裸にオムツのみの姿で過ごすことが多くあります。でも、保育器の中にただ裸で寝ているのか?というとそうではなくて、実はとても大切なベッドの中に包まれているのです。
ママの子宮を再現するために作られたベッド「スナグル」
そのベッドは「スナグル」と呼ばれるもので、とても特徴的な形をしています。
柔らかい布の中にビーズ状のクッションのようなものが詰められており、その中に包み込むように寝かせてもらいます。そして同じ布で作られたベルトを軽く巻きつけて、上からも優しく包んであげるのです。
私の双子の娘たちも29週の早産で誕生し、しばらく保育器の中で過ごしました。初めて娘たちと面会した時、見たことのない形のベッドに包まれてうつぶせで眠っていたため、担当の看護師さんに「これは何ですか?」と尋ねました。
すると、このように教えてくださったのです。
「これはスナグルといって、ママの子宮を再現しているベッドなんですよ。
湿度や温度は保育器で調整することができるけれど、
ママの子宮に包まれることで得られる安心感は、やっぱりこのようにギュッと包んであげることでしか得られないですからね。
今はまだ本来、子宮の中で成長する時期なので、保育器の中でもなるべくその環境に近い状態を作っているんですよ。」
なるほど、と感心しながら話を聞いていると、看護師さんがニコニコしながらこう言われました。
「ママもこのベッドを作ってみますか?作っている時にママのにおいが染みこんで、赤ちゃんも安心しますよ。」
娘たちに、初めての手作りプレゼント
当時は、急な早産で私の気持ちが追いついておらず、保育器の中で眠る子どもたちを抱っこしてあげることもできなかったため、自分の無力さを痛感して精神的につらかった時期でした。そんな中で手作りしてあげられるものがあると聞き、嬉しくてすぐに型紙をいただいて帰りました。
実は妊娠中、産まれてくる子どもたちのために何か手作りしようとミシンを買ったのですが、双子妊娠で想像以上に体を動かすことが辛かったため、なかなか実行できずにいました。長期入院が決まった時、今度こそゆっくり手作りをするチャンスだ!と編み棒と大量の毛糸を持参したのですが、まさかの急展開で出産することになり、その夢もお預けに。
そんな私が娘たちに初めて手作りしてあげることができたのが、この「スナグル」だったのです。
NICUでの入院生活で私が娘たちにしてあげられることは限られていましたが、このスナグルを作ってあげられたことは、私にとっても大きな喜びでした。
そして少しずつ成長し、このスナグルからはみ出すようになった娘たちを見ながら、成長を実感したりもしたものです。
このスナグルは退院時、これから産まれてくる小さな赤ちゃんたちのために病院に寄付することもできました。実際、うちの娘たちもそうした善意で残されたスナグルにとてもお世話になり、おかげですくすく成長することができたので、今度は我が家も誰かのお役に立ててもらおうかと考えました。
でも、やはり私にとってこのスナグルへの思い入れがとても強く、結局は記念に持ち帰りました。
娘たちと一緒にNICUの保育器で過ごしたこのスナグル。
娘たちが成長してお人形遊びをするようになった時、ふと思いついてこのスナグルに寝かせてみると・・・。大きさがピッタリでびっくり!こんなに小さかった娘が、お人形遊びができるようになったのか!ととても嬉しく思いました。
このスナグルは大切な宝物として、娘たちが大きくなったらプレゼントしようと思っています。
突然の早産を余儀なくされたママが、せめて自分の子宮の代わりになるようにと手作りしたスナグル。成長した未来の娘たちは、これを見て何を思うでしょうか?
育児はとても大変で、私もつい怒りすぎてしまっては寝顔を見て反省するような毎日ですが、このスナグルに込めた当時の想いが、いつか娘たちにも届くと良いなと思います。
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