叱るうえで、もっとも重要なのは、これをしたら叱るということを、予め伝えておくことです。
私は担任時代、してはいけない三原則をつくっていました。
なまけない、人を傷つけない、ウソをつかない。
この三原則に反したら、子どもは叱られるということがわかります。
三原則を決めたからといって、子どもが叱られることをしなくなるわけではありません。
叱られるとわかっていても、それをしてしまった。
そんなときに、子どもに直球で叱っても通じません。
直球で叱るのは、危険な行為をしているときだけです。
5年生を受け持っていた頃です。ある女の子が教室から逃げ出しました。母親べったりで5年生にしては子どもっぽいところのある子でしたから、家に帰ったに違いないと、私は車を走らせて家まで迎えに行きました。
しかし、母親が出てきて帰ってきていないというではありませんか。おそらく家に着いていなかっただけだろうと思いながらも、学校中を探しまわりました。すると案の定、家の裏庭に隠れていたと母親から連絡が入ったのです。
「すぐに登校させてください」
電話の向こうでおろおろする母親に、私はそう伝えました。
叱られるとわかっている子を叱責してもムダ。肝心なのは…
19,806 View「だから、子ども時代に一番学習しなければいけないのは、幸福です ママたちとの対話から生まれた 子育ての知恵ツイート41」(著:陰山英男)より、全10回にわたり「知恵ツイート」の一部をご紹介いたします。
第9回目は「なぜなら善悪を子どもは知ってるから。過度な叱責は、反発ばかりが残るものだ」をご紹介します。
取り返しのつかないようなことになりそうなときは直球で叱る。しかし、そんな場合は稀。多くの失敗は糧になるもの。そんな時は、一呼吸入れて、笑いや軽い皮肉を入れながら、注意する。なぜなら、善悪を子どもは知ってるから。過度な叱責は、反発ばかりが残るものだ。
— 陰山英男 (@Kageyama_hideo) June 21, 2015
叱られるとわかっている子を叱責してもムダ
第一声が肝心。一発で決める
さあ重要なのは、女の子が戻ってきて教室の扉を開けたときの第一声です。
私は考えに考え抜きました。
激しく叱責しては女の子が心を閉ざすのは目に見えています。といって「もう迷惑はかけません」などと言わせても、単なるセレモニーに終わるだけで、何の意味もありません。
心から反省しているわけではないのですから、また繰り返すでしょう。
ここは一発で決めなくてはならない場面です。
最初のひと言が女の子に刺さらなくては、あとの言葉は耳に入りません。
女の子が教室の扉を開けたとき、私はこう声をかけました。
「キミは立派だな」
びくびくして入ってきたのにほめられて驚く女の子に私は続けました。
「こわい陰山先生の授業を抜け出したヤツは過去に3人しかいない。女の子はキミが初めてだ。
キミにそんなに度胸があるとは思わなかったよ。
ただ一つだけ言わせてくれるかな。
そんだけ根性があれば勉強だってできるだろ」
女の子は、テストが20点、30点という成績しかとれませんでした。
じつはそれがコンプレックスとなって、教室を抜け出したのです。
叱られるとわかっていながら、悪いことをする場合、理由は全然別のところにあります。
彼女の場合は、勉強ができないから学校にいるのがつらかったのです。
先生は自分のことをわかっていると思ってもらえれば、心に響きます。
私がそう言ったからといって、すぐに勉強ができるようになったりはしません。
しかしそれ以来、教室を抜け出さなくなりました。
私はこの子のコンプレックスをなくすには、テストで絶対に100点をとらせることだと思っていました。
成績が悪くて自己肯定感が低い子は、100点をとらせるのが一番です。あの手この手を使ってテストの点を上げていきました。
そしてついに6年生の最後の算数のまとめのテストでは100点をとるまでになったのです。
6年生最後の算数のまとめといえば小学校で一番難しいテストです。
あれから15年近くたちますが、今でも毎年、彼女から年賀状が届きます。
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