引越し大手の日本通運が、SNSで圧倒的に支持される理由。

一つひとつの“お客さま目線”が、喜ばれる秘訣

——スタッフ教育の難しさや、大変な点はなんでしょうか。

酒井:OJTを担当していた際に難しいと感じたのは、「お客さま第一」のマインドを全員に同じように持ってもらうことでした。というのも、当社の社員は「引越し」だけを担っているわけではなく、フォークリフトでトラックに荷物を積み込むこともあれば、給食の配送をしたり、美術品を運んだりすることもあります(エリアによる)。

その中で一般のお客さまと接するのは「引越し」のみです。作業からサービスへ頭を切り替えるための伝え方には、苦労しましたね。「自分だったらどのようにして欲しいか」を考えてみてもらったところ、社員の意識が変わったように思います。

——ここまで評価されてきた理由は、NPS以外に何が挙げられるでしょうか。

酒井:家電製品や鏡をガードするマルチボードや、家財を守るネット付き毛布などのオリジナル梱包資材のおかげで素早い作業ができること、作業終了時間を見極めて、それに合わせて十分な人員が配置されるよう調整していること。こうした一つひとつの“お客さま目線”の工夫が、喜ばれている要因ではないかと考えています。

——最後に、スタッフ教育という仕事のやりがいや、これからやってみたいことを教えてください。

酒井:NPSの目標値を達成するためには、従業員のモチベーション向上が欠かせないと感じております。その上で、梱包技術や接客マナーなど、お客さまの安心につながるスキルが必要不可欠のため、更なるスキル習得のためのデジタルコンテンツの作成に力を入れています。それらをさらに拡充させたいですね。

藤田:「教育をする」というのは、まずは自分が正しい知識を理解しないといけません。そのために私も勉強し直すことが多く、スタッフの皆さんと同じくらいスキルが高まっていると感じます。

引越しをする時って、お客さまの生活環境が変わる時だと思うんです。進学や就職、結婚や出産……。やりがいは、そうした大切な節目に立ち会えることですね。引越しで気持ちのよいスタートを切ることが、お客さまの新生活への期待にもつながると思っています。

また、現在は研修のカリキュラムを私自身が企画しているのですが、今後は、プレイヤーである各支店のスタッフにも企画に参加してもらい、本社と支店が一体となれたらと考えています。

(文:原 由希奈 写真提供:日本通運株式会社)