歌手のMISIAが5月31日、一夜限りの台湾・花蓮地震被災地支援ライブを、Billboard Live TOKYOにて開催した。

照明が落ち、ステージで瞬き出す無数のキャンドルたち。ゆっくりとたゆたうようなバンドの演奏が始まると、それに続いてMISIAが拍手に包まれながらステージに登場した。披露したのは最新シングル「ゆびきりげんまん」。

4月3日、台湾の東部沖を震源とする大きな地震(花蓮地震)が発生したが、実はその翌日、MISIAはデビュー25周年記念ツアーである「25th Anniversary MISIA 星空のライヴXII Starry Night Fantasy」のファイナルとして、Taipei International Convention Centerでライブを行う予定だったが、その公演は安全面を考慮してやむを得ず中止となっていた。

そうした背景もあり、「被災地の力になりたい」とのMISIAの強い想いが、インクルーシブの理念と平和へのメッセージを発信する祭典「PEACEFUL PARK」シリーズとして今回のライブを実現させた。

「このライヴの収益の一部は台湾の衛生福利部(保健省)公設の『財団法人賑災基金会』に寄付し、災害救助、医療、避難所支援などの復旧・復興活動に幅広く活用していただきます。今夜はライヴと寄付を通じて、被害に遭われた皆様に祈りと想いを届ける夜にしましょう」

配信のカメラに向かって北京語でも語りかけるMISIA。そして、MISIAの呼び込みでステージに登場したのは、台湾出身のビビアン・スーだ。舞台中央で抱き合うと、ビビアンはMISIAに感謝を伝えた。

「花蓮のためにこんな素敵なチャリティーのイベントを開催してくれてありがとう。すごい感動しました。MISIAは私の心の中の歌姫ナンバー1です。歌がうまいだけじゃなくて愛をいっぱい持って生きています。I love you, MISIA. Thank you」

椅子に座って展開したトークでは、MISIAがデビューした1998年当時、すでにブラックビスケッツの一員として日本でも活躍していたビビアンをよく見ていたという話題に。2人がオーディエンスと一緒に「Timing〜タイミング〜」のサビを歌うと、次はビビアンがMISIAの「Everything」をオーディエンスと歌唱。お客さんだけでなくバンドメンバーにもマイクを向けて歌声を要求するなど、会場はとてもあたたかい雰囲気でひとつになっていった。さらに台湾と日本の食べ物や文化など、身近な話題でナチュラルな会話を楽しむ。

そして、2人で披露したのは、ビビアンが初めて作曲した楽曲「翼」とテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」。前者では北京語歌詞をビビアンが、日本語歌詞をMISIAが歌った。本編最後の「愛をありがとう」をパフォーマンスする前には、MISIAがこんな想いを伝えた。

「この曲を作曲してくださったのは台湾のミュージシャンの方なんです。そして歌詞は私が書いて、2パターンあるアレンジをしてくださったのは船山基紀さんと、香港の方。だからこの曲はアジアで作った歌だなって思ってるんです。本当に音楽ってすごいですよね。たくさんの人とつながりながら音楽を作って、そしてたくさんの聴いてくださる方とつながることができる。こんな素敵なことってないですよね」

アンコールではMISIAとビビアンで「STAMINA〜スタミナ〜」「Timing〜タイミング〜」のメドレーをファンキーなアレンジで披露し、ラストは会場全体で「あなたにスマイル」を歌い上げた。