蝶野正洋 (C)週刊実話Web

昨年8月、都内で(アントニオ)猪木さんの愛用品やベルトなどが展示されたイベント「燃える闘魂 アントニオ猪木展」が開催された。

今年は規模、内容共にパワーアップした「超・燃える闘魂 アントニオ猪木展」が、6月20日から京王百貨店新宿店で開催される。

その一環で、かつて営業していた「アントニオ猪木酒場」が京王百貨店内に限定復活。日替わりでトークイベントが企画されていて、俺は6月23日(日)に出演することになっている。

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『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)も協力していて、試合映像を見ながら猪木さんの話ができるのは、俺も楽しみだよ。

猪木さんは過去にもスペアリブのレストランチェーン「アントンリブ」など、個人でさまざまな飲食店を手掛けていた。

「アントンリブ」は六本木にデカい店を構え、料理もすごくおいしかったんだけど、ちょっと時代を先取りしすぎたね。

当時はまだ普及してなかったタバスコの輸入販売とか、猪木さんの事業はやるのが20年ほど早い。

もう少し続ければ時代が追いついたかもしれないし、終わらせるのも10年早いんだよ(笑)。

猪木さんに限らず、プロレスラーは副業や引退後に飲食店をやることも多い。道場生の頃にちゃんこ番をやるから、一通りの料理はできるし、自分の味で勝負したくなるんだろうね。

俺は飲食店とのコラボメニューを出したことはあるけど、経営まではやろうと思わなかった。自分一人じゃ手が回らないし、人を雇うのも大変だからね。

ヒロ斎藤さんは現役時代に副業で焼肉屋をやっていて、仕込みを任せられる店長を雇い、巡業に出ている間は店を任せていた。

だけど、この店長が出入りの業者と組んで仕入れをごまかすなどの不正をしていて、店の経営がガタガタになったと言っていた。

インバウンド価格の制度化もあり?

どれだけいいメニューを作っても、こうした人材の問題だったり、食材の供給が安定しなかったりするから、飲食店経営は本当に難しいと思う。

飲食店といえば、円安の影響もあって外国人観光客向けの「インバウンド価格」を設定するお店が増えているという。

二重価格になってしまうから賛否あるんだけど、俺は悪くないと思う。

日本人同士でも、昔から観光地価格というのがあった。海開きのシーズン中だけ値上げする店とかね。

地方の居酒屋でも、旅行客の料理には、質をちょっと落とした素材を使うみたいな話もよくあった。

誰もが勝手にインバウンド価格を打ち出すと、ぼったくりのような不正も出てくるだろうから、むしろ制度化して税金として一律で徴収してもいいんじゃないかな。

すでに、日本から出国する旅客に対する「国際観光旅客税」や、自治体ごとに宿泊税や徴収金制度を定めているところもあるけど、それの飲食店版だと思えばいい。

全国各地に外国人観光客が増えた一方、現地の人がお店に入れないクレームが増えているそうだけど、それが税金に回ると思えば少しは我慢できる。

お店側が観光客と地元民を見分けるのは、難しいかもしれない。

そこは逆に日本人側が、マイナンバーカードで証明すると値引きされるとかでもいい。

観光で外貨を稼ぐのは日本経済にとってビジネスチャンス。うまく活用する方法を探ってほしいね。

蝶野正洋

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。