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街中の「鮮魚店」減少に歯止めが掛からない。

1970年代の全盛期には全国で5万店以上あったが、約10年前に1万店を切ってしまい、今も年々減少傾向にあるという。

「年末年始に買い物客でごった返す東京・上野のアメ横ですら、かつて40軒近くあった鮮魚店や乾物屋が今や数えるほどしか残っていませんよ」(フードジャーナリスト)

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全国各地の鮮魚店も経営に行き詰まって次々に閉店しているのが現状。近い将来、街の魚屋さんはなくなってしまうかもしれない。

「2000年代に入ると、ショッピングモールなどが台頭。全国で大型鮮魚店の出店攻勢が続き、街中の鮮魚店は客を奪われてしまいました。また、最近ではインターネットの普及で、消費者が産地から直接買うことができるようになり、需要はさらに減っています」(同)

一般客に魚の食べ方を教える役目も

ここで、魚の流通の仕組みを説明しよう。

全国の主要漁港には「産地市場」が設置され、水揚げされた魚はすぐに同市場の「卸業者」に販売委託され、競りを通じて高値を付けた「仲買人」の手に渡る。

仲買人は、買い付けた魚を各地のニーズに合わせ発泡スチロール箱に詰め、「消費地市場」へトラックなどで輸送する。

「鮮魚店」は、地元の市場に届いた魚を買い付けるため、早朝、市場に出掛けて魚を「仲卸業者」から仕入れている。

東京・豊洲市場の水産仲卸業者が言う。

「時には旬でない、なじみのない魚も含まれているが、鮮魚店は安ければ購入します。その際、仲卸業者からどうすればおいしく食べられるのかアドバイスを受け、店に買いに来た一般客に魚の食べ方を教える役目まで担っていたのです」

鮮魚店の激減は、日本人の「魚食離れ」も大きく影響している。

水産庁のデータによると、魚介類の1人当たりの年間消費量は、ピークだった1989年に比べ、2021年度は43%も減っているという。

「そういえば、八百屋はあるが、魚屋はなくなった」と実感している読者諸兄も多いはず。

日本の食文化の屋台骨を支えてきた魚屋さんが消えゆくのは寂しい限りだ。