地上波で放送されるアニメは、視聴者の様々なニーズに応えるために、幅広いジャンルの作品が採用されます。しかし、なかには内容が過激すぎて、地上波での放送に適しているのか不思議に思う作品もありました。



アニメ『ポプテピピック』1期キービジュアル (C)大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード

【画像】え…っ? 「地上波で放送されたって本当?」「ヤバいキービジュばかり」 こちらが「アニメ化されて驚いた」作品たちです(9枚)

地上波でやるには実験的すぎる?

 毎年、毎クール、視聴者の多様な嗜好に応じた、多岐にわたるジャンルのアニメが放送されています。なかには、かなり過激であったり実験的であったりと、地上波で視聴した人が不思議に思うようなアニメもありました。

『ポプテピピック』

 アニメ『ポプテピピック』は、公式が「世界一無駄な30分」「クソアニメ」と自称し、ファンからも「クソ」と呼ばれることを許容しているというかなり尖った作品で、2018年に第1期、2022年に第2期がTV放送されました。

 原作マンガ『ポプテピピック』は、大川ぶくぶ先生による四コママンガで、主人公の「ポプ子」と「ピピ美」が出版元である「竹書房」の本社ビルを作中で破壊するなど、「なんでもあり」が持ち味のシュールギャグ作品です。アニメ化の際には原作の持ち味に加えて、多数のパロディを展開したり、実写シーンを多用したり、30分枠で15分アニメを声優変更のみで再放送したりと、さらに踏み込んだ「なんでもあり」が表現されたのです。

 これほど斬新なアニメのため、放送当時はSNSを中心にかなり盛り上がりました。しかし、もちろん「シュールすぎてついていけない」という意見もあり、物議をかもしました。

『魔法少女にあこがれて』

 2024年1月に放送されたアニメ『魔法少女にあこがれて』は、「魔法少女もの」という間口の広いジャンルとは思えないほど性的な内容が話題になり、SNSを中心に大きく盛り上がりました。タイトルがまともな魔法少女アニメに思えるため、勘違いして視聴してしまった人もいたようで、地上波で放送するのはかなり挑戦的な内容といえるでしょう。

 アニメ『魔法少女にあこがれて』の物語は、魔法少女に憧れる中学生の「柊うてな」が、謎のマスコット「ヴェナリータ」から力を与えられ、無理やり悪の組織に所属させられるところから始まります。始めは嫌がりながら魔法少女チーム「トレスマジア」と戦っていたうてなですが、次第にサディストの本性を自覚し、魔法少女たちを痛めつけることに快感を覚えるようになっていったのです。

 魔法を使って魔法少女たちを拘束し、抵抗できない状態で性的なことをするうてなの姿は、「女性同士だからギリギリ許されている」という意見が出るほど刺激的でした。

 アダルト要素ばかりが注目を集める同作ですが、ストーリーはしっかりしており、「魔法少女アニメとしても評価できる」という意見も見られます。原作の出版元が『ポプテピピック』と同じ竹書房のつながりから、第1話でポプ子とピピ美がモブとして映り込むなど、遊び心も多い作品です。

『異世界迷宮でハーレムを』

 アニメ『異世界迷宮でハーレムを』は、「小説家になろう」で連載されていた『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』が原作の「なろう系」作品です。原作の連載開始時期は2011年と「小説家になろう」黎明期で、作中に魔王や悪の組織などは登場せず、タイトル通り大部分が「チートを使った迷宮探索とお金稼ぎ」と「奴隷ハーレムでの生活」で構成されており、長く人気を博していました。

 物語の主人公は「加賀道夫」という高校生で、怪しげなゲームのサイトで初期設定を完了した瞬間、異世界に転移します。道夫は「ボーナス装備」や「職業を自由に変えられる能力」などのチート能力を駆使してお金を稼ぎ、「ロクサーヌ」という美人奴隷を購入しました。彼女と甘美な生活を送りながら、迷宮探索も進めた道夫は、2番目の奴隷として「セリーを」購入し、彼はふたりの奴隷とのハーレム生活を送り始めたのです。

 他の要素を排除して「チートハーレム」に特化した内容は、それを求めている方にはたまらない作品です。しかし、最大の見せ場である性的な行為を中心とした奴隷たちとの甘々な生活は、地上波放送では映像はもちろん音声にも規制が入っていたため、視聴者からは「規制だらけでなにしてるか分からない」と不満の声もあがりました。動画配信サイトで配信されている「ハーレムver」では、音声に関しては規制が入っていない状態となっています。