鳥山明先生の代表作のTVアニメ版『Dr.スランプ アラレちゃん』は、毎話個性豊かなキャラクターがさまざまな事件を引き起こす大人気作です。放送開始から40年以上が経った今でも、多くのファンに愛されている本作の最終回は、どんな物語だったか覚えているでしょうか。



最終回も通常運転だったアニメ『Dr.スランプアラレちゃん』DVD SLUMP THE COLLECTION(ハピネット)

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名作ギャグ作品は定番セリフで終了?

 TVアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』は放送開始から40年以上経つ今でもファンが多い、言わずとしれた大人気作品です。ただ、人気作品でもどんな終わりを迎えたのか、意外と忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。本作の結末は、最後まで世界観を崩さず「らしさ」を忘れない終わり方をしていました。

『Dr.スランプ アラレちゃん』は、『ドラゴンボール』を手がけた鳥山明先生の連載デビュー作『Dr.スランプ』を原作としたアニメ作品で、1981年から1986年まで放送されました。

 本作はのどかな「ペンギン村」を舞台に、自称天才科学者「則巻千兵衛」と、彼が作った少女型ロボット「則巻アラレ」、なんでも食べる「ガッチャン」らがさまざまな事件を巻き起こすギャグ作品です。基本1話完結で物語が進行していきますが、ペンギン村に神が降り立つ回など3話続くエピソードもありました。

 その最終回は、ほかの回同様にギャグ要素多めの展開で幕を閉じました。物語冒頭、「ブータレブー」(通称:ブタさん)の定番セリフである「ペンギン村に朝が来たぞーい」が、「今日はいよいよ最終回だぞーい」と変更されています。

 作中のTV番組のなかでも「アラレちゃんが終わることについてどう思うか」というテーマで、レポーターの「スッパマン」がペンギン村の人びとにインタビューする姿が描かれました。

 そして千兵衛は、「用意していた大発明」として大きなロケットを発射し、感動のフィナーレを演出することを企みます。しかし、村の人びとに「最終回だから地球が危機に陥り、千兵衛はロケットで宇宙に避難する」などと勘違いされてしまうのでした。

 人びとはパニックになり、作者の鳥山先生も「勝手な最終回をするな」とやってきますが、千兵衛は無人のロケットを発射します。宇宙に飛び立ったロケットでしたが、なぜか地球に戻り地上に落下してしまいました。そして、落ちたロケットから小さなロボットが出現し、「おしまい」と書かれた旗を振りながら「さいなら」と言うのです。

 発明の成功に大喜びする千兵衛の後ろで、拍子抜けした観衆たちは「どてっ」と全員でずっこけてしまいます。最後は、メインキャラクターがそれぞれ視聴者に向けて挨拶し、アラレちゃんの号令で「バイちゃ!」とおなじみのセリフを叫び、物語が終わりました。

 最後までアラレちゃんらしさ全開で、しんみりするような雰囲気はいっさいありません。この自由なラストを覚えている人も多かったようで、「最後まで平和で緩くて、ただただ笑えた」「最後までギャグに全振りしたスタイルを貫いてて尊敬」といった声があがっています。

 ちなみにマンガの最終回は千兵衛が「最終回用のメカ」を作り上げたところから始まり、村の人びとが勘違いする展開はなく物語が進行して、全12ページとあっさりとした描写で完結します。1984年8月に『Dr.スランプ』が終わった後、11月から『ドラゴンボール』の連載が始まるという、鳥山先生にとって怒涛の1年となりました。

 名作と呼ばれる作品でも、どんな展開で終了したのか案外忘れてしまっているもので、今振り返ってみると、当時とは違う新たな発見ができるかもしれません。この機会に改めて鑑賞してみてはいかがでしょうか。