原作マンガのあるアニメのなかには、最も盛り上がるべきラストが省略されて終わりを迎えた作品もあります。制作上の都合で仕方なかったものの、煮え切らないラストのために再アニメ化を求める声も絶えません。



アニメ勢は結末を知らず…?アニメ『金色のガッシュベル!!』ビジュアル (C)雷句誠/東映アニメーション

【画像】え…っ? 「見ただけで泣ける」 こちらが原作者自ら選んだ『金色のガッシュ』名場面集です

原作ファンの再アニメ化希望の声多数

 人気マンガのアニメ化は、原作ファンにとってはかなりうれしいものです。しかし、何らかの事情で原作のラストまで描かれずにアニメ放送が終わってしまった作品もありました。

 原作の最終章がアニメ化されず、最近の再アニメ化ラッシュのなかで「リメイクして」と期待の声が出ている作品としてあげられるのは、『金色のガッシュベル!!』(原作:雷句誠)です。天才中学生「高嶺清麿」と、魔界の王を決める戦いに参加させられている魔物の子「ガッシュ」の出会いと成長が描かれた本作は、2003年4月から2006年3月までTVアニメが放送されました。アニメは全150話で、「魔導巨兵ファウード」をめぐる戦いを描いた「ファウード編」まで描かれています。

 しかしアニメが原作に追いついてしまったためか、「ファウード編」は途中からアニメオリジナル展開となり、原作と異なる結末の最終回を迎えます。ラスボスの「クリア・ノート」と戦う「クリア・ノート編」まで描かれることはなく、アニメは終わりました。ガッシュと清麿が圧倒的な強さをもつクリアとどう戦うのか、ガッシュは目標だった「優しい王」になれたのかなど、アニメ勢には謎の残る結果となります。

 ネット上では「クリア・ノート編は最終章として完璧だったからアニメでも見たかった」「中途半端で終わったのが残念すぎる」など、原作ファンやアニメしか観ていなかった人からさまざまな声が出ていました。

 なお原作マンガは、続編の『金色のガッシュ!!2』が2022年より各電子書店にて配信されています。前作に劣らぬ人気ぶりで、アニメで描かれなかった部分を含めたリメイクや『2』のアニメ化を求める声が強まっている作品です。

 ほかにはラストが描かれないどころか、原作の半分も進まないままアニメが終わってしまった作品もありました。たとえば、2001年10月から2002年9月まで放送された『RAVE』(原作:真島ヒロ)があげられます。

 本作はガラージュ島に暮らす少年「ハル・グローリー」が、悪を司る魔石「ダークブリング」に対抗する聖石「レイヴ」の使い手に選ばれ、世界を救う旅に出る物語です。

 TVアニメでは、コミックス全35巻のうち12巻に当たる、六祈将軍たちとの戦いが描かれる「シンフォニア編」までが放送されました。当時は原作が連載中だったこともあり、最終回は敵対する六祈将軍を退散させ、新しい冒険が始まろうとするところで幕を閉じています。

 しかしアニメ自体のクオリティは高く評価されており、「作画の完成度も高く声優もハマってた。ラストだけが残念だった」「真島先生の別作品の『FAIRY TAIL』も最後までやったし、また2期3期と丁寧な描写でアニメ放送してほしい」という声があがっています。

 おそらく大人の事情により唐突に終わりを迎えてしまった作品が、2003年11月から2005年10月まで放送された『ボボボーボ・ボーボボ』(原作:澤井啓夫)です。本作は、全人類をツルツル坊主頭にする「毛狩り」に立ち向かう男「ボボボーボ・ボーボボ」の冒険および、壮絶なギャグバトルが描かれます。

 全76話で放送された同作のアニメ版は「闇皇帝編」の途中で終わってしまい、闇皇帝「ハイドレート」との決着はつかないまま打ち切りとなってしまいました。

 本作は「鼻毛真拳」や「オナラ真拳」など下品な技名に加え、理不尽な暴力ほか過激な内容も多く、原作を知る人からは「問題作」といわれることもありました。そのため、ゴールデンタイム(毎週土曜19時半から)で放送されたアニメ版は、原作の過激な表現がマイルドにされています。にもかかわらず、2004年、2005年にはPTAの「子供に見せたくない番組」調査で10位以内にランクインしました。

 その影響もあってか、ゴールデンタイムから放送枠が変更されたうえに、スポンサーも撤退し、ついには最終回を迎えてしまうのです。ネット上では「あのくだらない笑える感じが恋しい」「改変なしでリメイクを求む」など、今も復活を望む声もあります。